「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー Production I.G 石川光久 後編 「新劇場版」で生まれた種を体感してほしい

「攻殻機動隊 新劇場版」キービジュアル

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株式会社プロダクション・アイジー（以下 I.G）の代表取締役社長・プロデューサーである石川光久氏へのインタビュー後編。「攻殻機動隊」を「I.Gの道しるべ」と語る石川氏が、新たな決意で臨んだ「攻殻機動隊ARISE」「攻殻機動隊 新劇場版」への想いとは？

「攻殻機動隊ARISE」（2013～2014年）は、公安9課の前日譚を描くストーリー。スタッフ、キャストを一新した「攻殻機動隊」を作る決意は「ARISE」というタイトルに込められている。

「今まであったものを一度壊してから、もう一回立ち上がる（ARISE）。そうした決意で挑んだのが『攻殻機動隊ARISE』でした。押井さんの作った劇場2作も、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX（以下、『S.A.C.』）』3作も、作ったあとにやりつくした感があったんですよね。『Solid State Society』を作ったあとに神山（健治）さんと、この延長線上で作るのは疲弊感で物を作るようなことになるのではないかと話したことがあるんです。ファンの方は続きを望むかもしれないけれど、『S.A.C.』の延長線で作る危険さを感じたんですよね。神山さんの才能を生かすという面でも、次は一回神山さんに外れてもらった方がいいし、『攻殻機動隊』としても新しいものを立ち上げないと出口が狭くなってしまうのではないかと思ったんです」

「攻殻機動隊ARISE」の総監督には、黄瀬和哉氏が起用された。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」には作画監督として参加、数々の作品で腕をふるってきたアニメーターの黄瀬氏が、監督業を手がけたのは驚きだった。

「攻殻機動隊ARISE -GHOST IN THE SHELL- border：1 Ghost Pain」場面カット

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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「自分で言うのもなんですが、紙一重の起用ですよね（笑）。『攻殻機動隊』というタイトルでなかったら、黄瀬が総監督をすることは一生なかったんじゃないでしょうか。これだけ大きなタイトルだったからこそ、黄瀬にあっていたというか……。2011年に『たんすわらし。』（平成22年度若手アニメーター育成プロジェクト参加作品）という作品で黄瀬が初監督を務めたんですが、その時に監督としての資質があるんだなと思ったんですよ。今回、総監督として相当な負荷がかかったはずですが、彼がたってくれたおかげで、『ARISE』では迷いをふきとばして新たなスタートをきることができたんじゃないかと思います」

「攻殻機動隊ARISE」は、総監督のもと、各エピソードに監督がたち、数カ月ごとに約1時間の劇場作品として公開していく変則的なスタイルをとった。どんな狙いがあったのだろうか。

「『攻殻機動隊』はI.Gの道しるべのような作品だと思っているんですよ。アニメ制作のデジタル化が進むなかで、ここで一度、アナログな手法で描き続けているアニメーターたちを暴れさせたいと思ったんですよね。I.Gはアニメーターを抱えてずっとやってきたという、底力のようなものを証明したかった、という思いもありました。実際にクリエイターがどこまで好きにできたと思っているかはわかりませんが、このスタイルのおかげで凄く暴れられたんじゃないかなと思うし、こうした作り方を許してくれた製作委員会には本当に感謝しています。その経験がすべて『新劇場版』に集中していきました」

押井さんにやらせちゃいけないなって、僕のゴーストがささやくんですよ(笑)

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