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インタビュー 2015年9月11日(金)20:00

「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 映画監督 押井守 後編 「攻殻」はI.Gでしか作れないと思う

「イノセンス」場面カット

イノセンス」場面カット

(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD.

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押井守監督へのインタビュー後編。「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」公開後のムーブメントから「イノセンス」へ到る道、そして「攻殻機動隊 新劇場版」を好意的に評した真意を聞いた。

「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の世界的なムーブメントは、日本での公開が落ちついてから時間差できたという。

「しばらく熱海に帰って遊んで暮らそうと思っていたら例のビルボードの話がきて、そこから色んな騒ぎがおきて……。あとは、ご存知の通りだと思うんだけど、その内実がわかるのは3年ぐらい経ってからですね。何回も海外にいって、ようやくわかった。そこからデジタルバブルのようなものがおきて、色々な企画が動き始めたんです」

デジタルエンジン構想の旗印で制作が開始され、未完に終わった「G.R.M.」で、押井監督いわく「謎の3年間」を過ごしたのち、「落とし前」のような気持ちでヨーロッパで「アヴァロン」を制作。その後、押井監督は石川社長から「いいかげんにアニメの世界に戻れ」と言われて複数の企画を提示された。

「幾つか挙げていたけど、『攻殻2』以外は全部当て馬。石川は明らかに『攻殻』でバクチをしたいという顔をしていた。今度は海外セールスを全面にだして、金を集められるだけ集めて、でっかい仕事をしたいっていうさ。海外は明らかに『攻殻』の先を観たがっていたし、そうした要望が石川のところにもあったんでしょうね。『攻殻』の続編は落としどころがみえていたから、じゃあやろうと。ただ、『今度はいっぱい予算があるんだろうね』と言ったら、石川は『うん、任せろ』と。最初は、海外からの出資をあてこんでいたんですよ」

そこから、石川社長と押井監督の海外スタジオまわりが始まった。「色々な人間にあって、凄く面白い経験だった」そうだが、あることがネックとなって出資までにはいたらなかった。

「イノセンス」場面カット

イノセンス」場面カット

(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD.

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「どこのスタジオでも同じことを言われたのは、脚本を共同開発したいということ。要は、向こうの脚本家を立てるという話ですね。もうひとつ言われたのが、とにかく男と女の話にしろと。『イノセンス』もバトーの純愛物語なんだけど、向こうはもっと直線的なラブストーリーを要求してきた。僕はラブストーリーにはあまり興味がないから、人間と犬の愛じゃ駄目かって話もしたんだけど。『ヒューマン・ドッグ・ストーリー』と言ったら、これはウケた。ただ、誰もいいとは言わなかった。お客さんは男と女のラブにしか興味がないんだから、それをやれって。これは駄目かなと思ったね」

海外スタジオへ向けて成田空港を出発する前、石川社長と押井監督の間で、「攻殻」の続編は押井監督の脚本で作ることを約束していたという。

「石川が偉いなと思うのは、その約束を守ったこと。向こうの言うとおりにしていたら、最低2、3年は余計にかかっていたと思う。そうなると、もうアニメーションの現場なんて組めないからね。いいスタッフを使おうと思ったら、彼らにあわせてスケジュールを組むしかないんだから。僕自身、例の3年間があったから、待つのは二度とゴメンだと思っていたしね。そんなわけで話は見事に決裂したんだけれど、向こうは映画ができたらぜひ扱わせてほしいと言ってきて、海外の配給が先に決まった。まだ作品もできていないのに」

配給のめどは立ったが、肝心の制作費のあてはない。「そこからは僕は関与しないんだけど、たぶん石川の戦い。あいつが大活躍した」と押井監督は語る。

「当時は、ファンドマネーで映画を作るのが流行っていて、銀行も映画に投資したんですよ。それで、えらいお金が集まったんで、これはもう一生涯に一度のチャンスだと思って、『イノセンス』ではやりたいことを全部やった。スタッフたちも、ここぞとばかりに死ぬほどやるから、全然ものがあがらなくてね。このままでは永遠に終わらないから段平を振り回すしかなくて、そうなると必ずトラブルになる。『あいつには、まだやらせているじゃないか』って。それで結果的には、何人かの貴重なスタッフと縁がきれた。アニメーションの現場は人間関係がすべてだから、いったん信頼関係がきれたらもう修復できない。それだけの犠牲をはらったから、映像に関しては大満足でしたよ。もちろん音響もね」

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イノセンス

イノセンス 3

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