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インタビュー 2017年2月2日(木)20:00

満を持して完成した「虐殺器官」 中村悠一&櫻井孝宏が語る、2年間の断絶を経て研ぎ澄まされた「日常にも潜む恐ろしさ」

(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN

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わずか34歳で夭折した小説家・伊藤計劃さんが遺した作品群を劇場アニメ化する、ノイタミナムービー第2弾「Project Itoh」。その最終作となる「虐殺器官」が、2017年2月3日に封切られる。今回は、主人公のクラヴィス・シェパードを演じる中村悠一と、物語のキーマンであるジョン・ポールを演じる櫻井孝宏に、同作の収録の裏側を語ってもらった。

同作は、07年に発表された伊藤さんのデビュー作が原作。サラエボが核爆発で消滅し、混乱のさなかにある架空の近未来を舞台に、後進国で発生した大量虐殺の陰に潜み「虐殺の王」とあだ名される言語学者・ジョンと、彼を追跡するアメリカ情報軍特殊検索群分遣隊に所属する大尉・クラヴィスの物語を描く。

制作会社の倒産というアクシデントによる約2年の断絶を経て、満を持しての公開となる今作だが、音声の収録作業は2年前に完了していたという。「一度中止した計画が、再度形になっていくというのは、ほとんどないこと。制作サイドの『絶対に完成させるんだ』という熱量を、より強く感じました」という中村の言葉に、櫻井も「原作を読まずに見られる方は、とても刺激的な映像に驚かれるはず。この2年間のご苦労によって、村瀬修功監督の中に蓄積されたものが作品に反映されて、よりエッジが際立っているのかもしれません(笑)。ためらいがあっては作れない作品だと思います」と首を縦に振った。

中村演じるクラヴィスは、感情の影響を受けない「戦闘前感情適応調整」を受けた兵士という役どころで、演じるに当たってのハードルは相当に高いものだった。中村は「『感情をコントロールされて戦場に送り出される』ということが、いったいどういう気持ちになるのか、想像を巡らせるのがとても難しかった」と、収録を振り返る。クラヴィスたち兵士は痛覚も遮断されており、同僚のリーランドを演じた石川界人が、肉体がダメージを受けているのに、声をあげられないことに生理的な違和感を抱き「どのタイミングなら苦しんでいいんですか? 」とスタッフに尋ねたものの、「最後まで普通にしゃべってください」と返されていたのが、特に印象的だったという。「冒頭、戦場にいるはずのクラヴィスたちが、フラットなやり取りをしているシーンには、みなさん違和感があると思います。でも、それこそが今作のストーリーの根幹にも関わってくる重要なポイントなんです」と話す中村に、櫻井は「任務のために『本来感じるものを、感じないようにさせる』ことに恐怖を覚えました。でも、程度は違えど、実は日常生活の中でもよくあることなのかもしれません。ジョンが扱う『虐殺の文法』も、僕たちが送っている日々の中に潜んでいるものなのかも。だからこそ、とても恐ろしく感じるんでしょうね」と神妙な面持ちを見せていた。

(C)Project Itoh / GENOCIDAL ORGAN

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一方、櫻井演じるジョンも、難しいキャラクターだったという。櫻井は「とても頭の切れる人物なので、僕にも彼の考えが完全に理解できているわけではありません」と苦笑いしつつも、「でも、その行動原理はとてもシンプル。たとえば『スタバ(スターバックス)』なんて日常感ある言葉が出てくることからも気づきますが、どこかタガは外れているものの、決してメチャクチャな人物ではない。何が起ころうと自分の決めたことをやり遂げるというジョンの思いを手がかりにし、現場の熱量にも助けられながら、なんとか全うできました」と自信を覗かせた。

今作の見どころを聞かれると、中村は「一見すると、とても難解なお話に見えるかもしれません。実際に、原作はそのイメージ通り、深遠なテーマを描いた作品です。でも、今回の劇場版は、原作小説で数ページにわたって描写される膨大な情報を、絵で表現して瞬時に伝えるという、映像化のメリットを最大限に活かした作品になっています。とっつきやすく作られていますので、ここから原作小説に興味を持っていただけると、とても嬉しいです」とアピール。櫻井は「タイトルである『虐殺器官』という謎めいた4文字の言葉が、いったい何を表しているのか。それは自分自身と対話することで、見えてくるものなのかもしれません。みなさんに、それぞれの答えを見つけていただきたいと思います」と呼びかけた。

作品情報

虐殺器官

虐殺器官 26

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