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インタビュー 2017年8月4日(金)20:30

アルバム「M25」をリリースしたmilktubのbamboo「ゲームもクラウドファンディングも全部バンドに繋がっている」 (2)

――DVDに収録したライブの撮影や編集にかかった費用は、クラウドファンディングで集められていますね。

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bamboo: 25年の節目のライブでしたので、映像として残しておきたいと思ったんです。ただライブDVDってニッチですから、僕らクラスのミュージシャンだとリクープすら難しい。だったら、僕らがインディペンデントでやろうと。最初は、ランティスの木皿(陽平)が「ウチでやりませんか」と言ってくれたんですが、そこまで迷惑はかけられないと思い、「いや、これは自分で作ります」と映像自体はクラウドファンディングで作り、アルバムに同梱するDVDに入れてもらいました。

――なぜ、クラウドファンディングだったのでしょう。

bamboo:僕はCAMPFIREの顧問をしていて、日本のクラウドファンディングにかなり深く関わっているんですよ。ケースバイケースですが、「商業的にはちょっと難しいけれど、みんなでやったら面白いよね」というものにはいいのかなと。アルバム自体は、ランティスさんから出すことに意味があると思ったので、クラウドファンディングは使いませんでした。

――PCゲームのプロデューサー、クラウドファンディングのキュレーターとして活動されているなかで、milktubのボーカルとしての顔もあるのですね。

bamboo:外からはそう見えるのかもしれませんね。僕からすると、ゲームもクラウドファンディングも全部、milktubをやるためのオマケのようなものなんですよ。milktubを続けるために必要な色々なものを、人から与えてもらう縁がなかった。それを全部自分たちでまかなっていたら、今こうなっているというだけの話で。だから、どうしてPCゲームメーカーをやっているかというと、自分の曲のタイアップ先なんですよね。

――ああ、タイアップするための作品を自分の会社で作っていると。

bamboo:何億円溶かしたか分からないですけどね(笑)。僕はお金のことで人に迷惑をかけるのがいちばん嫌なんですよ。クラウドファンディングについては、自分でお金を集めて物を作ることができる環境がほしくて研究していたら、他の人の面倒までみるようになっただけで。僕の中では全てがバンドのあるべき姿に繋がっていて、どれが欠けていてもダメだったと思います。

――ゲームもクラウドファンディングも、バンドを続けるための活動なのですね。ゲーム業界でお仕事をされるようになったのは1999年頃ですか。

bamboo:PCの前に家庭用ゲームもやっていたので20年ぐらいやっています。現役のクリエイターとしては、もう賞味期限切れかもしれないなという思いもあるので、今は若手のゲームクリエイターを助けるスキームやプラットフォームを作ったほうがいいのかなと考えています。最後っ屁で、ちょうど「キラ☆キラ」というゲームの続編を作っているんですけどね。

――「キラ☆キラ」も、クラウドファンディングを予定されているそうですね。

bamboo:物が売れないと嘆くよりも、楽しんでお金をだしてもらえる方法を考えたいなと思っています。milktubのアルバムもゲームもアパレルもみんなそうで、僕は全部まとめて「ロックンロール・エンタテインメントカンパニー」と呼んでいます(笑)。自分たちが作ったものを楽しんだり面白がってくれる人がいたりすることにこそ、僕らが存在する価値があるんじゃないかなと……なんだか壮大な話になっちゃいましたが(笑)。

――ミュージシャンの方が、お金のことを含めた自己プロデュースをそこまで考えているのは珍しいと思います。

bamboo:僕は自分のことをミュージシャンだと思ったことが一回もなくて、ずっとロックスターになりたかったんです。いまだにコードもよく知らないですし、歌もそれほど上手いわけではありませんが、他のミュージシャンやアーティストの方にはできないことを沢山もっていて、それで戦っています。それこそランティスには、若手の方をふくめて「歌オバケ」みたいな人がいっぱいいますからね(笑)。僕は自分の考えや思っていることを、「こういうネタどないやねん」と世の中にぶつけられる体勢をできるだけ長く続けたいなと思っています。それが今回のアルバム「M25」で、そのためのクラウドファンディングやゲームなんです。

――アルバムにも収録されている「有頂天家族2」のオープニング主題歌では、舞台の京都にロケハンに行ったり、富山にある制作スタジオまで足を運んだりされていました。ご自身のやりたい音楽と、アニメの世界をどのように融合されているのでしょうか。

bamboo:僕らの場合、アニメのタイアップは数年に一回なので、1本1本命がけにならないと次がないんです。チャンスを必ずものにするため、その1曲を大事にしたい。なおかつ、僕はゲームや物語を作る側でもあるので、作り手がどんなものを意図しているのか気になります。「成るがまま騒ぐまま」を作るときは、吉原(正行)監督と色々お話することができて、その辺りがよく分かりました。僕らの仕事は、歌と曲で作品の世界観を伝えることで、そこでコケると存在価値がなくなってしまう。「バカテス」でも、「(健全ロボ)ダイミダラー」でも「有頂天」でも曲が好評なのはやっぱりホッとしますし、内心「せやで!」と自慢したくなる気持ちもあります(笑)。

――「成るがまま騒ぐまま」も「M25」も、MV(ミュージックビデオ)が大変凝った作りでした。これは、映像を入り口にまずは聴いてもらいたいからでしょうか。

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bamboo:模索のひとつですね。今はもうCDが売れなくなって、若い子たちはYouTubeなどの映像メディアとの組み合わせで音楽に触れています。これからは「曲を作る」というよりも、「曲と映像を作る」という風に曲と映像をセットで考えていかないと戦えないんじゃないかなと。曲だけ聴いてもスッと入って出ていってしまいますからね。曲そのものに力がなくなったのか、世の中の音楽の聴き方が変わったのかは分からないですが、少なくとも現状では、耳から入ってみんなの頭の中に残るためには、(映像で)目にとめるものにしないといけないのかなと思っています。

――最後に、「有頂天家族2」でmilktubを知ったファンの方に、アルバム「M25」についてひとことお願いします。

bamboo:たまに格好いいことを言ってますけど、基本的には全力でバカをやっていますので、映像や音楽などをチェックしていただけると、生活が少し豊かになるんじゃないかと思います。応援していただけると有難いです。

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有頂天家族2

有頂天家族2 38

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