テレビアニメ「信長の忍び」木下秀吉役の山口勝平に聞く　本格派の作りは、まるで「3分の大河ドラマ」 (2)

イメージを拡大

――歴史の知られざる一面にも光を当てているのですね。

山口：重野先生は、別作品として「真田魂」という漫画も描かれているのですが、コミックス1巻後半が長篠の戦いなんですよ。「信長の忍び」でも長篠の戦いが描かれているので、同じ戦いの裏側が、別作品で描かれているんですね。信長から見れば武田軍は敵ですが、武田側から見れば、当然織田軍が敵になる。そんなふうに、色々な角度から見られる先生だからこそ、名台詞が随所に散りばめられているのだと思います。司馬遼太郎さんのような、深みのある描き方ですよね。そんな原作をアニメ化した本作は、まるで「3分の大河ドラマ」のようと言いますか……。5分のショートアニメで、本編の正味はわずか3分ですが、作品がもつパワーやこだわりは、大河ドラマと遜色がないぐらいのものではないかと思います。

――大河らしいという点では、登場する武将の多さも共通していると思います。キャストが多くて、アフレコ現場は大変そうですね。

山口：和気あいあいとした現場で、皆さん、すごく楽しんで演じられています。メインの皆さんはいわずもがなですが、六角承禎役の坂本頼光さんなんて、カクカクしゃべりすぎて、ぎっくり腰になるんじゃないかと思いました（笑）。遠藤直経役の梁田（清之）さんも、低いトーンでゆっくりとしゃべる役が多いから、こんなに速いスピードで演じたことはないのでは？　現場に最初にいらした時に、「いやあ、（絵の尺に台詞が）入らねえんだよ……速いよなあ……入らねえよこれは……」って（笑）。ただ 、チャレンジできること自体は、役者にとって本当に楽しいことなんですよね。僕も、「ねね殿」という台詞がとても言いづらくて困って、「早く結婚してくれ！」と思っていました（笑）。

――ああ、そうすれば「ねね」と言えると。

山口：そうです（笑）。あと、ナレーションもやらせていただいているのですが、難しい漢字や用語が多いんですよ。場所、お城、人物、どれも言いにくいです（笑）。最近のでは朽木元綱（くつきもとつな）という武将に苦労させられました。

――大地監督から、演技指導のようなものはあったのでしょうか。

山口：0コンマ1秒単位で、間の取り方を大事にされているなと感じます。また、録音監督のたなか（かずや）さんは、大地監督と長く組まれているので、あうんの呼吸で演出をしてくださっていると思います。たなかさんは音楽に凄くこだわる方でもあるので、美濃三人衆が歌うことになったりもして（笑）。携帯アプリの鍵盤を弾きながら、その場でハモりの確認されて、そういうのも楽しかったです。

――放送は終盤をむかえていますが、今はどんなお気持ちでしょうか。

山口：「信長の忍び」がアニメになって大きな反響があり、本当に嬉しかったです。見てくれた人が、みんな口をそろえて面白いと言ってくれる作品なんだという想いを、あらためてもつことができましたし、私もこの作品を大事にしていきたいと思っています。もちろん、原作の先のエピソードをアニメとして続けていくことができれば、本当に嬉しいのですけどね。姉川の戦いも見られますし……これは、個人的にも見たいのですけれど（笑）。演じたいシーンもまだまだ目白押しなので、これから皆さんと一緒に盛り上げていけたらいいなと思っています。

――放送終了後は、作品関連のイベントが複数控えています。10月14日の池袋・東京総合美容専門学校内ホールで行われるスペシャルイベントは、かなりの大所帯になりますが、意気込みなどありましたら聞かせてください。

山口：2期の放送途中に新宿バルト9で行った1期のイッキ見イベントや、阿佐ヶ谷ロフトAで行ったトークイベントが、すごく楽しかったんですよ。自分が演じた作品を、作品を好きなファンの方たちと一緒に見て、会話をしたり触れあえたりできるのは、本当にいいものですよね。10月のイベントも、楽しいものになるのではないかと思います。アニメファンはもちろん、原作漫画ファン、歴史ファンの方々にも、楽しんでいただけるように僕も頑張ります！

前のページへ 1 2 次のページへ