2017年10月12日（木）20:30

「3月のライオン」第2シリーズ桐山零役の河西健吾、二海堂晴信役の岡本信彦に聞く　高校生プロ棋士・零と藤井四段の共通点は負けず嫌いな棋風？

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昨年10月から今年3月にかけて第1シリーズが放送されたテレビアニメ「3月のライオン」。主人公・零のプロ棋士としての過酷な戦いと人とのふれあいによる成長を描いた羽海野チカの漫画を原作とし、繊細な心情表現とコミカルな日常シーンも魅力となっている。10月14日（土）よりNHK総合で放送が始まる第2シリーズに向けて、桐山零役の河西健吾（写真右）と二海堂晴信役の岡本信彦（写真左）に作品への思いを聞いた。

――第1シリーズ放送の反響で、印象的なものはありましたか。

河西：零くんの声が僕で良かったとの感想をたくさんいただけて、とても嬉しかったです。原作は人気の高い作品で、零くんの声には、それぞれのファンの方なりのイメージがあると思います。その思いに応えられたのかなと報われた気がしました。

岡本：両親の田舎が愛媛なのですが、そこのおじいちゃんたちから反応がありました。「ノブ、いつもテレビで見ているぞ。サインをくれ！」との声をたくさんいただきました（笑）。

――お互いが演じるキャラクターの魅力は、どこにあると思われますか。河西さんには二海堂晴信、岡本さんには桐山零についてお願いします。

河西：二海堂の魅力は、ポジティブなところだと思います。いや、「ポジティブになろうとしている」という言葉のほうが正しいですね。今言いかえた真意は、第2シリーズをご覧いただければ分かっていただけるかと。もともと熱い男でしたが、第2シリーズでは、さらにそこが強調されていると思います。

岡本：零くんは生い立ちが複雑で、幼い頃に大人の汚い部分を見てしまっているので、他者と接することにつらさを感じてしまうんです。そのため、他人との間に線引きをしがちなのですが、手が届く人たちが困っていたら損得なしに飛び込んでいける優しさももっている人だと思います。第2シリーズでは、川本家の３姉妹や担任の林田先生、将棋の仲間たちから様々なものをもらって、少しずつ人間らしい感情が表に出てきます。相変わらずこじらせている部分はありますが、人として何かを得ていく描写がいくつも出てきます。

河西：演じている僕自身、第2シリーズでは将棋しかなかった零くんに、それ以外の存在が生まれたように感じています。もともと彼は将棋だけがよりどころで、対局相手としか会話が成立していないようなところもあり、まったく将棋と関係ないのは川本家の人たちしかいませんでした。でも、第2シリーズでは別の関係性も出てきます。

――今年は、藤井聡太四段の公式戦29連勝をきっかけに将棋ブームがまきおこりましたが、このブームをどのようにご覧になっていましたか。

河西：この作品に関わるまでは、「将棋は、今の若い人にはあわないのかな」と思っていましたが、将棋会館で奨励会の若い子たちが楽しそうに指しているのを見て、「自分もやっておけば良かった」と思いました。作品との関係でいうと、藤井四段は年齢的には零くんより年下ですが、若き天才棋士という部分ではリンクしているところがあると思います。役に入り込んでしまっている自分としては、話題をかっさらっている藤井四段を見ていると、なんだかジェラシーを感じてしまいます（笑）。

岡本：僕は子どもの頃から将棋を指していたので、ついに世代交代がきたのかという気持ちになりました。先日も菅井竜也さんが羽生善治さんを下（くだ）されましたよね。佐藤天彦さんを含め、菅井さんの世代は強い方が多くて、将棋界に新しい波がきているのだなと思いました。その最たる例である14歳の藤井聡太さんから将棋ブームが生まれたことが嬉しかったです。作品との絡みで言いますと、藤井さんと零くんは、負けず嫌いな手を指すという点で似ている気がします。藤井さんはオールラウンダーな指し手ですが、その中でも零くんにも通じるような手を差されているようにみえます。