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インタビュー 2017年11月4日(土)20:30

アルバム「LONDON MAGIC」をリリースした福山芳樹に聞く 「マクロス7」「キングゲイナー」「武装錬金」主題歌制作の舞台裏 (2)

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――「キングゲイナー・オーバー!」の歌詞は、「井荻麟」名義で富野監督が書かれていますよね。

福山:富野監督に「ここの歌詞の意味は、どういうことなんですか」とお聞きしたら、「これはなあ、こういうことだよ!」「ええーっ!」みたいなやりとりもあってビックリしました(笑)。映像がついたものも、思わず吹き出してしまうぐらい面白かったです。歌に映像をつけるときって、あのぐらいぶっ飛んでいるほうがいいんでしょうね。曲自体がすごいのに、そこをさらに映像で上書きしていくのはすごいなと。「キングゲイナー・オーバー!」では、じっくりと時間をかけてレコーディングができたのも思い出深いです。「マクロス7」のときは、2日で8曲とか、そういう感じでしたから、あのときも、もう少し時間をかけられたら、もっとちゃんと歌えたのではないかと、少し恥ずかしく思ったのを覚えています。

――「マクロス7」のときは、限られたスケジュールのなか、濃密なかたちで歌を録られていたのですね。

福山:お話をいただいてから録音するまでが、すごく短かったんですよ。おそらく絵は、すでにできあがっていたのではないかと思います。「マクロス7」で面白かったのは、途中でキャラクターの設定が変わったことですね。はじめに見せてもらったものには「熱気バサラ、19歳」とあったのが、僕が歌ったら「21歳」になっていましたから。

――少し年齢があがったのですね。

福山:僕の歌声のこともあると思いますし、作品としても、成長物語というより、できあがったミュージシャンとして描かれていましたから、19歳ではちょっと足りなくて、調整されたのではないかと思います。

――「キングゲイナー」のあとは、こちらもファンが多い、2006年放送の「武装錬金」オープニング主題歌「真赤な誓い」を担当されます。

福山:今でも、愛着をもって聴いてくださって本当にありがたいですよね。このときは、原作者の和月伸宏先生と、監督の加戸誉夫さんが僕を指名してくださったんです。そこから原作を読んで、いろいろ考えながら10曲ぐらい書いたと思います。そのなかから「真赤な誓い」が生まれました。

――2008年放送の「仮面のメイドガイ」のエンディング主題歌「ワクガイ!!」も福山さんが歌われていたのですね。今回の取材のために調べていて、初めて知りました。意識して聴かないと福山さんだと分わからないぐらい方向性が違うもので、驚きました。

福山:そうですか(笑)。「メイドガイ」は、キャラクターがセーラー服を着ている大男でしたので、できるかぎりバカバカしいことをやろうと思ってやった感じですね。僕なりの言い方でいうと、「バカロック」という言葉になります。

「LONDON MAGIC」ジャケット

「LONDON MAGIC」ジャケット

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――ここまで伺ってきたように、アニメソングでの福山さんは、激しい曲を熱唱されるイメージですが、今回のアルバム「LONDON MAGIC」では、やさしい感じや、歌いあげるような楽曲が印象的です。アニメで福山さんの歌に親しんできた方は、意外な感じをうけるのではないかなと思いました。

福山:2年前にだしたミニアルバム「Magnolia」は静かな感じの楽曲を中心にまとめていますが、今回の「LONDON MAGIC」は、激しい曲も入っているんですよ。「マクロス7」のときも、わりといろんなバリエーションの曲がありましたし、自分としてはそんなに変わっていないんじゃないかなと思いますが、やっぱり、「真赤な誓い」や「キングゲイナー」、JAM Projectでも担当がシャウト系なので(笑)、外からはそう見えるのかもしれないですね。今回のアルバムが、今までと違うとしたら、ドラム以外はすべて僕が演奏していることだと思います。

――話を少し戻しまして、「LONDON MAGIC」を作られたきっかけを聞かせてください。

福山:きっかけというほどのことはなくて、アルバムをだそうと思いながら、いろいろな曲をずっと作っていました。そんなときに、プライベートでロンドンに8日間旅行にいきまして、そのときの様子を「あそこに行ってきた」みたいに、ずっとツイッターでつぶやいていたんです。うちのカミさんは、作詞家の福山恭子というのですが、彼女が僕のツイッターのつぶやきを要約して歌詞にしたのが「LONDON MAGIC」なんです。

――なるほど。ロンドンで福山さんが感じたことをツイートした文章が、歌詞のもとになっていると。

福山:そうです。僕のつぶやきを、カミさんが歌詞に上手くあてはめてくれて。だから、たぶん言葉としては全部、僕がつぶやいたものがもとになっていると思います。

――表題曲の「LONDON MAGIC」以外も、どれもユニークなタイトルだなと思いました。

福山:ありがとうございます。自分で言うのもあれですけど、歌詞については、今まで作ったアルバムのなかで、いちばん面白いものになったんじゃないかなと。僕の場合、アニソンも、そうでない曲もたいてい曲が先で、今回も僕が「ラララ♪」みたいに仮に歌ったメロディをわたして、詞を書いてもらっているのですが、アルバムのタイトルになっている「LONDON MAGIC」の歌詞の「MAGIC♪」というところなど、まさにマジックがおきたなと思いました。

――福山さんが作られた曲に、「マジック」というワードがぴったりはまったと。

福山:僕の場合、そういうことがわりとあるんですよ。「マクロス7」のOVAに「DYNAMITE EXPLOSION」という曲があるのですが、そのときも僕が最初ラフに歌っていた歌詞は「ダイヤモンド」だったんです。それを監督が聴いて、「ダイナマイト」に変えたという(笑)。僕自身は作詞をそんなにしないですけれど、空耳で歌詞をつくっている人は多いと思いますよ。うちのカミさんも、「福山の曲は、けっこう空耳で作詞をする」と言っていました。

――ああ、なるほど。福山さんが仮歌だったり、ラフに歌われたりしたときのフレーズが、奥様や監督には、そのように聴こえたという。

福山:そうですね。そうやって詞と曲をあわせていくことが多いです。

――ご自身が作られた曲と、奥様が書かれた歌詞との化学反応が、今まで以上によいものになっている感触があるのですね。

福山:すごくよかったと思います。こんな感じの曲だから、こんな歌詞の内容だったらいいんじゃないかと、全部ふたりで話しながら作っていって、その過程で没にした曲もかなりありました。収録のことでいいますと、ボーカルは自宅にあるスタジオで録音しているのですが、ディレクションはカミさんの福山恭子がやっていて、これがかなり厳しいんですよ。彼女から歌のOKをとるのは、世の中でいちばん厳しいです。

――そんなに厳しいのですか。

福山:ギリギリまで諦めずに録音しました。自分としては、いい感じに歌えているかなと思っても、「いや、全然歌えていない」みたいなやりとりがありつつ(笑)、作っていきました。

――「LONDON MAGIC」のようなオリジナルの楽曲と、アニメソングを作ったり、歌ったりするとき、福山さんの中で切り替えられるところはありますか。

福山:歌うときは、まったくないですね。違いがあるとしたら、曲を作る部分じゃないかと思います。とはいえ、アニソンを作ることが多くなってきたので、そうでない楽曲をつくるときも、自然と90秒のサイズで仕上がることが多いんですよね。職業病といいますか、意識せずになんとなく作ってみても、やっぱり90秒におさまってしまう感じで。

――なるほど。

福山:ちょっと別の話になってしまいますけど、一時期ニコニコ(動画)でMAD(動画)がはやったじゃないですか。まったく違う曲と映像をつなげているのに、よくあうなとはじめは思ったんですが、ちょっと考えてみると、あうはずなんですよ。だって、90秒なんですから。尺も決まっているし、90秒という縛りのなかで、だいたいこの辺りで盛り上げてっていう構成なんかもパターンがあるから、速い曲とかだと、わりとビシッと映像と音があうのは、そういうところがあるからなのかなと思ったことがありました。

――「LONDON MAGIC」に収録されている10曲は、90秒の縛りを意識せずに作られたのですよね。

福山:あえて、そうした構成をはずすように意識してつくった曲もありますが、90秒になっているのもありますよ。よくできたなと思って聴きなおしてみると、Aメロ、Bメロ、サビがあって間奏が入るところまで、だいたい90秒ぐらいになっている。やっぱり職業病なんでしょうね。

――自然と90秒におさまる曲ができることが多いのですね。

福山:そうですね。ただ、それこそ「マクロス7」の頃なんかは、そういう作り方ではなかった時代だったと思いますし、人によってまちまちなんじゃないかと思いますけれど。

――最後に、ファンの方にひとことお願いします。

福山:今年は、「マクロス」35周年で、ネットの一挙放送などで新しいファンの方にも見ていただいているようでうれしく思っています。新しいアルバム「LONDON MAGIC」、ぜひ聴いてもらえるとうれしいです。11月からはJAM Projectのツアーもありますので、こちらもよかったら遊びにきてください。

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イベント情報・チケット情報

JAM Project JAPAN TOUR 2017~2018 TOKYO DIVE【大阪・1回目】 0
開催日
2017年11月5日(日)
時間
18:00開始
場所
グランキューブ大阪(大阪府)
出演
JAM Project

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