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特集・コラム 2018年2月10日(土)19:00

【前Qの「いいアニメを見に行こう」】第1回 声オタとして「ポプテピピック」「キリングバイツ」「ゆるキャン△」を見る

(C) 大川ぶくぶ/竹書房・キングレコード

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アニメにおける「声」の力を痛感している2018年1月クールである。などとコラムを書き出せば、「はいはい、『ポプテピピック』の話をするのね」と勘の良い読者はお気づきになることだろう。正解。まあ、コラムのタイトルにも入れてんだけど。お題のセレクトにひねりがなくてすみませんな。とまれ、何かとお騒がせな要素がてんこもり、さまざまな切り口から語ることのできる「ポプテピピック」だが、個人的にはやはり「声」の魅力がなんといっても印象に残る。自分、声オタなんで。

毎回、あっと驚くような組み合わせの豪華役者陣が主人公であるポプ子とピピ美に配役され、しかも、(ほぼ)同内容の映像に声をあてる。これまで映像作品では一部洋画の吹替などでしか楽しむことができなかった、一流の役者陣による同じ作品での別アプローチによる芝居の比較という実に贅沢な楽しみ方を毎週堪能できるというのは、とても素敵な事態だと言わざるをえない。特に男性の役者陣が演じる姿がいい。自分の役者としてのパブリック・イメージに役のほうを寄せるパターンがあれば、無理を承知で可能な範囲(別に裏声で演じるとかそういう話ではなく)で役に近づき、「女子高生役」らしさを出そうとする人もいる。いずれも味わい深いが、個人的には三ツ矢雄二さん、中尾隆聖さん、古川登志夫さんの芝居が、本来であればないはずの引き出しを異次元から召喚しているような感があり、特に印象的だった(※原稿を書いている時点では5話までオンエア済み)。

さて、「声」の力という意味では、もう2作品ほど今期見逃せない(聞き逃せない)作品がある。「キリングバイツ」と「ゆるキャン△」だ。

キリングバイツ」は「一騎当千」や「クイーンズブレイド」といった作品を想起させる「女闘美もの」の新作。類例として挙げたタイトルからも伝わるかと思うが、少々クラシックなお色気&バイオレンス要素がてんこもりで、アラフォーアニオタには実に心地よい。そんな今作の密かなチャームポイントは諏訪部順一さんによるナレーション。シリアスさと、やや芝居がかった「笑い」のバランスが絶妙で、本作の裏主役といっても過言ではない。諏訪部さんのファンの方もそうでない方も、ぜひ一度、その美技に酔っていただきたい。

そして「ゆるキャン△」。「まんがタイムきららフォワード」(芳文社)連載のコミックが原作の、いわゆる「きらら」系作品だ。「きらら」系作品といえば、魅力的な美少女キャラクターたちの愛らしいやりとりをベースに、「プラスα」の何かを乗せるのが特徴で、今作の「α」は地に足の着いたキャンプ描写と、雄大で美しい自然描写だ。落ち着いたレイアウトと、鮮やかな背景美術が目にうれしい。そんな「ゆるキャン△」なのだが、ナレーションをあの大塚明夫さんが担当している。読み上げるのはごく普通の内容で、声の調子もさらりとしたものなのだが、美少女キャラクターたちのわちゃわちゃした行動に大塚さんの説得力のある声が重なると、絶妙な異化効果が生じてなんともいえないユニークな味わいが生じる。これが、たとえば能登麻美子さんであったなら(「うっかりペネロペ」大好きマン的な妄想)、ひたすらほんわかとした可愛いきらら時空が発生していたことだろう。それはそれで見てみたい気もしなくもないけれども、やはり1本の映像作品として考えたときに、ほのかな違和感でひと味を作品に足している大塚さんの起用は正解だと思うわけである。声オタとして。

では、今回はこんなところで終わらせていただこう。次回以降もゆるっと、心の琴線に触れたアニメについて考えたことを書き綴っていくつもりだ。ちょいとめんどくさい友達の茶飲み話でも聞くような感覚で、お付き合いいただければ幸いだ。

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

ポプテピピック

ポプテピピック 72

暗闇は無く、無知があるのみ。―ウィリアム・シェイクスピア―

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