「機動戦艦ナデシコ」20周年で、うえだゆうじ、桑島法子、南央美、佐藤竜雄監督らが今だからこそ話せる裏話

メインキャスト3人が登壇！

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1996～97年に放送されたテレビアニメ「機動戦艦ナデシコ」（以下「ナデシコ」）の20周年を記念したスペシャル上映イベントが、テレビシリーズの初回放送日であった10月1日、TOHOシネマズ新宿で開催され、主人公テンカワ・アキト役のうえだゆうじ、ミスマル・ユリカ役の桑島法子、ホシノ・ルリ役の南央美らが登壇した。

「機動戦艦ナデシコ」は、木星方面から現れた謎の敵・木星蜥蜴（もくせいとかげ）に立ち向かうべく、巨大企業・ネルガル重工が建造した実験戦艦ナデシコと、個性的なクルーたちの奮闘を描くSFアニメ。人型機動兵器エステバリスや戦艦ナデシコによる戦いに加え、主人公テンカワ・アキトを取り巻くラブコメ要素や、往年のロボットアニメを模倣した作中作「ゲキ・ガンガー3」など、サブカルチャーを取り入れたストーリー展開も話題になった。

この日は、ナデシコを離れたクルーたちが再結集するという筋書きが共通した、テレビシリーズ第23話「『故郷』と呼べる場所」と劇場版「機動戦艦ナデシコ The prince of darkness」が上映され、うえだ、桑島、南、佐藤竜雄監督、XEBECプロデューサーの千野孝敏ら登壇者が、当時を振り返りながらトークショーを繰り広げた。

桑島法子

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うえだ、桑島、南の「ナデシコ」メインキャスト3人が一堂に会するのは、21世紀に入ってからでは今回が初めて。うえだが「20周年なので、成人を祝う気分で楽しんでください」と呼びかけると、桑島から「みんな、老けたね……」、南から「こんなに集まって、みんなバカばっか」と劇中の名ゼリフになぞらえたメッセージが飛び出し、ファンたちを喜ばせた。

今だから話せる裏話を聞く「なぜなにナデシコ」のコーナーでは、佐藤監督が「放送前年の95年の夏にお話をいただいて、その年末に企画が二転三転してSFアニメに決定しました。その後、文芸面でのスタッフの刷新もあり、4月から10月という非常に短期間で作り上げた作品です。『ゲキ・ガンガー』のストーリーが、『ナデシコ』本編とリンクしていく流れも、第5～6話のアフレコ中に決まったほど、制作は切迫していました」と、当時の厳しい制作状況を告白。千野氏は「当時の現像所は、1日に2回しかフィルムの納入を受け付けていなかった。それにどうやって間に合わせるか、いつもハラハラしていました。スタッフが、フィルムを電車の網棚に置き忘れてしまうという事件もありました」と、アナログ時代ならではの苦労を振り返った。

また、うえだは「専門家が集まるナデシコの中で、アキトはひとりだけ素人なので、あえて浮いて感じられるようにお芝居しました。叫びは声が割れることも厭わずに演じましたが、後に『スーパーロボット大戦』参戦時に苦労することになりました」と苦笑いし、「ナデシコ」がデビュー作だった桑島は「本来なら、自分を役に近づけるための努力をしなければいけないのですが、ユリカ役には『（無理をしなくても）ユリカにぴったりハマる人』が選ばれたようで、瞬発力で演じさせていただきました。本当にビギナーズラックだったと思います。今見直してみると、ありえないトーンでしゃべっていますね」と往時に思いをはせた。

南央美

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一方、当時すでに相当なキャリアを積んでいた南は「新人が必要とされていたオーディションだったんですが、所属事務所が変わった直後だったので、『事務所的には新人』としてオーディションを受けられました（笑）」と、こちらも数奇なめぐり合わせがあったことを明かした。ちなみに、劇場版で主人公を務めるまでに成長したルリだが、テレビシリーズ当初はそれほど重要なキャラクターとは目されておらず、ストーリーエディターの會川昇は「（オーディションで）ルリ役を取りにきたのは南だけだった」と言っていたという。

最後は、桑島が「先日、私も声優として20周年を迎えました。今度は30周年の節目にみんなで集まりたい」、佐藤監督も「本当に嵐のような作品。よくこの短期間で完成させられなと、振り返れば冷や汗が流れます。またこういった機会を設けられたらいいなと思っています。またお会いしましょう！」と再会を約し、トークショーの幕を閉じた。