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イベント 2016年10月20日(木)20:00

【TIFF2016 特別寄稿】成長する夏の作家・細田守 (2)

●「夏」を手がかりに「映画の本質」に迫る

近年の4作品についても「通過儀礼」「変化」というキーワードに注目すると、主人公の「以前以後の変化」に映画の軸足を置いていることが、はっきり見えてくる。

(C)「時をかける少女」製作委員会2006

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『時をかける少女』の主人公・真琴はタイムリープ能力を浪費するちゃっかりした少女から、自分の脚で目的へ向かって走る大人の入り口へ。『サマーウォーズ』の主人公・健二は自己評価の低い内向的なふるまいから、人と人のつながりを信じられる行動力へ。『おおかみこどもの雨と雪』の主人公・花は大切な人の喪失から、その人の生命の継承を見届ける境地へ。そして『バケモノの子』の主人公・蓮(九太)は見捨てられた孤独な少年から、身近にある大切なものの豊かさに気づける青年へ……。

こうしたポジティブな変化は、タイムリープ、変身、デジタルワールド、異世界などアニメーション独特の時間・空間・属性を超越させる特殊な設定で強調される。だが、特殊なのはおおむねその点だけで、他に起きることはリアリズム重視だ。

主人公の変化は当然周囲にも影響をあたえていくし、心身の成長ともシンクロしている。そうした成長の連なりが、人生や社会といったより大きなものと接続されていると気づけば、映画で切りとられた時空間は、短くコンパクトながらも小さな個人が大きな人生を見つめなおす触媒として機能する。人生の指針が急に変わったりはしないかもしれないが、そこで生じたささやかな変化のきっかけは、時間が経てば観客個人の一生を左右するほどのものに育つ可能性を秘めている。映画の時間を通じて得られた体感を他者と語り合う機会があれば、より大きな熟成と拡がりも生むだろう。

細田守監督は、映画がもつこうした特質を確信して、一手一手を打ってきたように思える。単純にその場その場で生じる「泣ける」「感動する」という反射的な作用も大事にしつつ、それが織りなして生まれる大きなパワーを信じている。むしろ映画をつくることで自身も観客とともに先へ行きたいという気持ちを抱いている。何本も作品を並べて浴びるように観て感じて、じっくり考えれば、その姿勢が感触として伝わってくるはずだ。

こういう思考の果てに、実は「映画体験」そのものが先述の「夏休みの通過儀礼」と酷似しているということに気づく。ドアを開けて暗闇の異世界へと飛び込み、光と音のエネルギーを浴びながら場内の観客とゆるく空気と感覚を共有し、死生観に満ちあふれた高低差の激しい疑似体験をして心を揺るがす行為。

内なるものを解放するためにキャラクターの芝居や激しいアクションがあり、心に染みいる美しい風景や自然物、気象の変化も必要なのだ。こうして活性化された心で映画館の外に出たとき、もし風景が少しでも違って見えたなら、それは観客自身が変化し、成長したという証なのだ。この「鑑賞以前以後の変化」が映画では何より重要ではないか。

細田守監督は「夏」を手がかりにして、こうした「映画の本質」に迫ろうとしている。であれば、「映画とは何か」を見つめなおす映画祭で特集するにふさわしい。

作品情報

時をかける少女

時をかける少女 2

あるきっかけから「今」から過去に遡ってやり直せる力、タイムリープ能力を持ってしまった紺野真琴は、ひとたびその使い方を覚えると、何の躊躇も無く日常の些細な不満や欲望に費やしてしまいます。大好きなも...

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