スマートフォン用ページはこちら
ホーム > ニュース総合 > 片渕須直監督&のん、「この世界の片隅に」から3年を経て「全てがつながった」 > (3)

インタビュー 2019年12月20日(金)21:00

片渕須直監督&のん、「この世界の片隅に」から3年を経て「全てがつながった」 (3)

のんとすずさん

――前作の公開後、映画のファンから「すずさんを演じたのがのんさんでよかった」という声が上がっていました。「この世界の片隅に」「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」という作品は、“女優のん”にとって、どのような存在ですか?

イメージを拡大

のん 本当に特別な作品になりました。自分がこれから役者をやっていくうえで、絶対に欠かせない作品というか。今後出合えるか出合えないか……というくらいのすごい作品。大切にし続けていく作品です。

――ひとりの女性として作品を見た時、のんさんにとってすずさんはどのような存在でしょうか。

のん 「すずさんとそっくり」と言ってくれる人もいますが、自分ではそこまで「すずさんとばっちり重なっている」とは思っていませんでした。でも、「ぼーっとしていると言われながらも、働き者なところが似ている」と言われた時に納得してしまって。絵を描くのが好きなところや、監督がおっしゃっていた「言葉にできない分、右手で絵を描く」という感覚には以前から共感していましたが、「働き者な部分が似ている」というのは意外で……でもすごくしっくりきて。「慣れないながらもいろいろなことに挑んでいって、北條家でお嫁さんとしての役割を果たそうとするすずさんは、確かに働き者だ!」と思い、そこでやっと自分とすずさんが重なりました。

――監督から見て、今ののんさんと今作のすずさんに通じる部分はありますか?

片渕監督 3年前、「この世界の片隅に」の最初の試写会で、完成版を初めて見たのんちゃんはポカンと目を見開いていて。「自分はいったい何を起こしちゃったんだろう」みたいな顔をしていて。そこから3年経って、今ののんちゃんは自分からすずさんのことをたくさん語るし、すごく変わったなと感じています。今回は、「どういう風に演じると、どういう結果が見えるのか」と、かなりの自覚を持ったうえで演じてくれたような気がします。すずさんを描いてきたのと同じような思い、「のんちゃんはこういうところにたどり着けたんだな」という思いがあります。

3年経った今、見ている“景色”

――今作は、すずさんの女性としての葛藤が浮き彫りになったこともあり、「『この世界の片隅に』公式ファンブック」に載っていたあるエピソードを思い出しました。すずさんが哲と再会した夜の出来事について、小野大輔さんの「なぜあの場面ですずさんを抱かなかったのかがどうしても分かりません」という問いに対し、監督は「この作品の真ん中にはなによりも『女性の情念』というものがある」という話をされたそうですが、「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が完成した今、改めて作品の真ん中には何があると思われますか?

イメージを拡大

片渕監督 「女性の情念」とかは述べた覚えがないです。むしろ、この作品の意味合いはもっと一周まわったところにあって、女性とかっていうよりは、人間ってこういうものなんだなというものだという気持ちです。そこを中心に据えるところにまで、たどり着いちゃったというか。

小野さんには、「水原哲は不純な立場ではなく、良い奴なんだと。すずさんのことを本気で考えているから、あの場面でああいう行動をとったんだ」という話をしたんですね。それは同時に、「すずさんの人間性を肯定する人として出てきてほしい」という意味合いでもありました。リンさんの他にすずさんの絵を認めてくれるのが哲なんです。だから、小学校の頃にすずさんが描いた絵は良かったなという話をしてくれるし、すずさんが「ここから先はいきたくない」と言ったら、幼なじみに戻ってくれる。男だから女だからというよりも、人として認めてくれているかどうか。そういうことだったのだと思います。

のん 私は、すずさんが自分の居場所を見つけようとしている姿が心に残っていて。そして、最後はすずさんがお母さんになると決めて、固い意志でみんなと暮らしていく姿がすごく印象的でした。シラミの子がお家にきて、「この子をお風呂にいれなきゃ!」となる場面では、“未来を生きていかなきゃいけない象徴”である子どもが家にきたことによって、みんなが明日を生きようとするというか。そうやって毎日がまわり出して、未来が見えたことに、鳥肌が立ちました。希望の灯りをつないでいく、明日を生きることへの希望が見える作品だなと思いました。

アニメハック公式Twitter、フォロー&RTプレゼントキャンペーン
<賞品>
のんさんサイン入りチェキ、1名様
<応募期間>
2019年12月20日~2020年1月19日23:59
<応募方法>
1.アニメハック公式Twitterをフォロー。
2.公式Twitterがツイートした、プレゼント告知のツイートをRT(リツイート)。キャンペーン終了までフォローを外さないようご注意ください。
対象ツイートはこちら⇒
3.当選された方には、キャンペーン終了後、公式twitterアカウントからDM(ダイレクトメッセージ)をお送りします。

1 2 3 次のページへ

作品情報

この世界の(さらにいくつもの)片隅に

この世界の(さらにいくつもの)片隅に 7

広島県呉に嫁いだすずは、夫・周作とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19(1944)年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らし...

アニメ映画・OVA情報TOP 作品情報TOP イベント一覧

フォトギャラリー

  • インタビューに応じたのん、片渕須直監督

フォトギャラリーへ

特集コラム・注目情報