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インタビュー 2021年4月1日(木)19:00

雨宮哲監督の「SSSS.GRIDMAN」制作スタイルと“白飯”からはじまった「SSSS.DYNAZENON」 (3)

「SSSS.DYNAZENON」キービジュアル

SSSS.DYNAZENON」キービジュアル

(C) 円谷プロ (C) 2021 TRIGGER・雨宮哲/「DYNAZENON」製作委員会

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■ダイナドラゴンからはじまった「SSSS.DYNAZENON

――「SSSS.GRIDMAN」の好評をうけ、次をつくろうとなったのはいつ頃だったのでしょうか。

雨宮:あとで聞いたことですが、「SSSS.GRIDMAN」の放送中には次をやろうという話がはじまっていたそうで、間に合うなら最終回で「続編決定」と告知しようかなんて話も出てたみたいですね。それを聞いたときは「マジか。どエスだなあ」と思いました。

――「SSSS.GRIDMAN」はこれ以上の終わりがあるのかっていうぐらい、きれいな終わり方をしていますものね。

雨宮:僕らは次があるなんて思ってもいなかったので、一回しかやらないつもりで最終回をつくっていましたから。

――他のインタビューで、「SSSS.GRIDMAN」は完全燃焼でつくれたけれど、いい意味で不完全燃焼だった部分もあると話されてましたよね。

雨宮:そうですね。放送されるなかで、視聴者の方々からいろいろな反響をいただいてそう感じた部分もあるんですけれど。

――次をつくることが決まって、「SSSS.DYNAZENON」という企画としてかたまるまでいろいろなことがあったと思います。

雨宮:いろいろありましたね。その過程は複雑すぎて一言では説明できません。世の中的に「SSSS.GRIDMAN」の正当続編が望まれていることはよく分かるものの、完結させすぎていてそれは難しい。ただ、「SSSS.GRIDMAN」でひとつだけやっていない要素があるので、それをとっかかりにやってみようと。それがダイナドラゴンでした。

――「SSSS.DYNAZENON」の製作が発表されたとき、「SSSS.GRIDMAN」と同じ「グリッドマン」が原作で「SSSS.DYNAZENON」と言われてもよく分からなかったのですが、原作ファンの方は「ダイナ」というワードでピンときていたようです。

雨宮:1クールの構成では内容的に入らなかったので、ダイナドラゴンはあえて入れなかったんです。といっても別に続編をつくるために空けていたのではなくて、単に「SSSS.GRIDMAN」の尺に入らなかった。ただ、アフレコのときにグリッドマン役の緑川(光)さんが「ダイナドラゴンやってないですよね。続きとしてダイナドラゴンがでるやつをぜひつくってください」と何度も言ってくださって。そのときは、「考えておきます」とお返事していましたが、続編を考えるときにユーザーにもそう思う方がいるだろうなと後押しになりました。

――「SSSS.DYNAZENON」を2話まで拝見すると、キャラクターは一新されて、怪獣との戦いが終わっても「SSSS.GRIDMAN」のように街はもとにもどっていませんね。

雨宮:「SSSS.GRIDMAN」はきれいに終わらせましたから、あれをなかったことにしたくないというのはスタッフの総意としてありました。アカネの物語は完結していますから、彼女が帰ってきてしまったら約束を破ってしまうし、それはしたくない。新しくはじめるなら、そこは守りたいねと。そういう部分であえて枷(かせ)をつくって、ダイナドラゴン単体で「SSSS.GRIDMAN」と同じように面白いものをつくれるかが次のチャレンジだねとなったんです。

――なるほど。

雨宮:グリッドマンがパソコンにぽんっと映って話しかけてくるという、いちばん面白い部分が使えないし、アカネもいない。牛丼屋に入って白飯を出されたけれど、なんとか美味しいと言わせてみせようというところからのスタートでした。

■「SSSS.DYNAZENON」も原作「グリッドマン」の入り口のひとつ

――2話まで見て印象的だったのが、蓬(よもぎ)や夢芽(ゆめ)の親との関係が描かれていることで、「SSSS.GRIDMAN」にはない要素のように思いました。

雨宮:「SSSS.GRIDMAN」では大人を描かないのがルールだったので、そのカウンターなのかもしれません。「SSSS.DYNAZENON」が4対4のチーム戦みたいになっているのも、「SSSS.GRIDMAN」では基本裕太しか戦っていなくて、あとはみんな見ているだけでしたから、今回はみんなで戦う話にしようと。そんなふうに前回やっていないことをやる、前回やったことはやらない。そうした対比で見られるといいかなと思いながら、プロットを練っていきました。「SSSS.GRIDMAN」を見た人はそうしたところを意外に思ってくれるかもしれませんし、「SSSS.DYNAZENON」だけを見ても、きちんと分かるようなつくりにしているつもりです。

――たしかに「SSSS.DYNAZENON」から見ても、まったく問題ないですね。

雨宮:「SSSS.GRIDMAN」と同じように、「グリッドマン」という原作の入り口のひとつになったらいいなと思いながらつくっています。

――1話でダイナゼノンが登場する3DCGパートは、「SSSS.GRIDMAN」からさらにパワーアップしているように感じました。ピント外れの質問かもしれませんが、最初に合体ロボが登場して、それが最後の見せ場で恐竜型のダイナレックスに変身するのは、そういう順番なんだと驚かされました。

雨宮:原作にはダイナドラゴンというドラゴン型のメカがいて、そっちが主軸なんです。「SSSS.DYNAZENON」ではロボット形態のほうが持ち味ではあるんですが、そういうことで恐竜形態のほうに華をもたせています。あと、ダイナレックスのほうが動かすのが大変なので、出しどころを絞りたいという制作的な事情も……。
 「SSSS.GRIDMAN」のときと同じように「SSSS.DYNAZENON」も、メカデザインの構成にあわせてストーリーをつくっています。マーチャンダイジングごっこといいますか、メカデザインにあわせて各話のネタを考えて、ストーリーの大まかなラインを決めていくという。そこから各話を具体的にどう見せていくかは、脚本の長谷川(圭一)さんに上手く調整していただいて、わかりやすくなっていると思います。

――差し支えなければ、「SSSS.DYNAZENON」の制作状況を聞かせてください(編注:取材を行った3月上旬時点)。

雨宮:本編の制作はだいぶ前に終わっています。序盤のスケジュールは「SSSS.GRIDMAN」のときよりもいいくらいで、アフレコ時にも色がついていました。

――すでに最後まで完成しているのですか。作品の手ごたえはファンの方がこれから見てからだと思いますが、監督自身の仕事として今回いかがでしたか。

雨宮:前回よりさらにスタッフが成長していい仕事をしてくれて、監督としてかなり楽をさせてもらいました。「SSSS.GRIDMAN」のときも初めてにしてはやれたのだと思いますが、「SSSS.DYNAZENON」はもっときれいに進んだ気がします。ノウハウが積まれてスタッフも慣れた人が多かったですし、今回初めて入ってくれた人の仕事もとてもよかったです。自分としては、ほんとにいいことしかなくて、つくっていて本当に楽しかったです。幸せな仕事だったと思います。

――「SSSS.DYNAZENON」の3話以降を楽しみにしているファンの方に一言お願いします。

雨宮:「SSSS.GRIDMAN」を見た方もそうでない方もフレッシュに楽しめるものをつくったつもりです。もちろん「SSSS.GRIDMAN」を応援してくださった方々のおかげで「SSSS.DYNAZENON」はできているので、その部分の期待には応えられるようにつくっているつもりですし、いい意味で裏切るような部分もあるはずです。
 作中にいろいろなギミックを仕込んでいて、キャラクターやメカのビジュアルにも「なぜこうなっているのか」が読み解けるようなヒントを入れています。ストーリー込みでビジュアルを楽しんでもらえたらなと思っていて、何回も見てそうした部分にも気づいてもらえたらうれしく思います。

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