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ニュース 2022年1月28日(金)18:30

「ジブリ作品を残していきたい」 宮崎吾朗監督&鈴木敏夫プロデューサーが「ジブリパーク」にこめた願い

「ジブリパーク」内の案内役を務めた宮崎吾朗監督

「ジブリパーク」内の案内役を務めた宮崎吾朗監督

(C)2022 Studio Ghibli

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スタジオジブリ作品を題材にしたテーマパーク「ジブリパーク」のメディア向け発表会が、開業地である愛知県の愛・地球博記念公園で行われた。あわせて、スタジオジブリが初めて手がける、「風になって、遊ぼう。」と題された愛知の観光PR動画とビジュアルもお披露目された。「ジブリパークのある愛知」の魅力を、スタジオジブリの世界観に沿って描いている。

スタジオジブリの世界を再現する同施設は、「青春の丘」「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」「もののけの里」「魔女の谷」の5つのエリアに分かれている。愛知県の大村秀章知事と、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが登壇した発表会の第1部では、開業情報と各エリアの詳細を紹介。まずは3つのエリア(「青春の丘」「ジブリの大倉庫」「どんどこ森」)が11月1日に開業し、その約1年後に、残りのふたつのエリア(「もののけの里」「魔女の谷」)がオープンする予定だという。また新たに、「どんどこ森」エリアのなかに、「となりのトトロ」のトトロをイメージした「どんどこ堂」が作られることも発表された。

(C)2022 Studio Ghibli

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観光PR動画「風になって、遊ぼう。」は、「ジブリパーク」来園客に愛知の魅力を伝える目的で製作された。森のなかで旅人が残した鞄から、羽根が書かれた版画を見つけた少女が、風とともに愛知県内の15のスポットをめぐっていく。「四月の永い夢」「わたしは光をにぎっている」の中川龍太郎が監督、Ussiyが映像ディレクター、岩崎太整が音楽を手がけた。鈴木プロデューサーは、「風になって、遊ぼう。」製作の経緯と、「ジブリパーク」への思いを語った。

(C)2022 Studio Ghibli

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鈴木プロデューサー「僕らが実写というか、アニメーションではないものを手がけることは、非常に珍しいわけなんですが、いま見ていて『けっこういいじゃん』と思いましたね(笑)。実は中川監督から2~3年前、いきなり僕に、『南の国のカンヤダ』(鈴木プロデューサー初の小説)を映画化したいという手紙が来たことで、知り合ったんです。それで、今回の映像を作ってもらうことにしました。なぜ僕が中川監督にお願いしようと思ったかというと、性格が宮崎駿にそっくりなんですよ。あんまり深く考えないで、すぐに手を出すという(笑)。感性ややることなすことが、非常に宮崎駿に似ている方なんですよ」

鈴木プロデューサー「僕が『ジブリパーク』に来たのは、2020年11月以来でした。そのときは宮崎駿もお忍びで来ておりまして。宮崎駿っていう人は、人がやっていることを黙って見ていられない、気になってしょうがないタイプ。息子であろうが、やっていることが気になるみたいで、簡単にいうと監視に来たんですね(笑)。『少しでも突っ込めるところがあったら文句を言おう』と、行く前からかなり興奮しておりまして、とにかく文句を言う準備をずっと整えておりました(笑)。まず僕らが圧倒されたのが、広さ。当日は雨が降っていたんですが、その雨がなんともいえない雰囲気の良さで、雨のなかを歩くことが全く苦痛じゃなかった。そこで宮崎駿が、『決めた! これは吾朗に任せる』と言い切ったんですよ」

11月1日に開業する、展示室などが設置される「ジブリの大倉庫」内観

11月1日に開業する、展示室などが設置される「ジブリの大倉庫」内観

(C)2022 Studio Ghibli

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そして、約1年2カ月ぶりに同施設を訪問した鈴木プロデューサーは、「『ジブリパーク』はいわゆるテーマパークではなくあくまで公園ですが、楽しい場所にしたいという、当初からの精神を貫いていると思います。今日実際に見て、僕の感想としては……良かったですね(笑)。大村知事ともご相談していくなかで、ジブリの誰に任せようか考えたときに、僕が思いついた人はひとりしかいなかった。宮崎吾郎、彼がいちばん適任だろうと思ったんです」といい、「この仕事を本当にやって良かったなと思います」と充実した面持ちで振り返る。展示室や子どもの遊び場などが設置される「ジブリの大倉庫」エリアも見学したそうで、「『大倉庫』は『三鷹の森ジブリ美術館』の精神が生きていますね。発展形が、『大倉庫』のなかにあったんですよ。それを見ながら、ある種の手ごたえを感じたんです」と自信を見せ、最後に「ぜひ期待していてください」と締めくくった。

(C)2022 Studio Ghibli

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続く第2部には、宮崎吾朗監督が参加。計画が立ち上がった当時の経緯について、「13年9月、宮崎駿監督が長編作品から引退すると宣言したんです。そのあと、14年末に一旦制作体制を解散する形で、スタジオ機能を止めようという方向になりました。僕は当時スタジオの外の仕事をしていたんですが、15年春にジブリに戻ったら誰もいなかったんです。そのときに『ジブリパークの仕事、やる?』と言われて、僕は失業するのが嫌だったから『やります』と答えたという事情があって。けっこう切実だったんですよ」と明かす。

宮崎吾朗監督「スタジオジブリとして将来どうするのか。長く映画作品を作ってきたものですから、今後も残していきたいという思いがありました。ですが、やっぱり映画というものは時代とともにあるので、放っておくと忘れられてしまう。忘れてほしくないから、何か作りたいねということで、テーマパークという形になりました」

愛・地球博記念公園は、愛知県民にとっては思い入れが深い「愛知青少年公園」(02年閉園)の敷地を利用し、誕生した。子どもの遊び場だった「愛知青少年公園」にまつわる思い出を聞いたという宮崎吾朗監督は、「土地に対して思い出や記憶を持っている人がいっぱいいて、現在も公園として使っている。『ジブリパーク』ができることで、その記憶が壊されたり、いまある公園がなくなってしまったりするのは筋違い。ですからお邪魔にならないように、公園の未利用の場所や、あまり使われていない場所などの隙間に入っていくイメージを持っていました」と、こだわりを語っていた。

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