2026年2月9日(月)22:00
CG映画なのになぜ衣装デザイン賞?「アバター」衣装デザイナーが明かす実物から始める創作術

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「アバター ファイヤー・アンド・アッシュ」が第98回アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされたというニュースに、首をかしげた人もいるかもしれない。全編パフォーマンスキャプチャーとVFXで製作され、完成した映像にはCGキャラクターしか映らない映画に、なぜ「衣装」の賞が与えられるのか。その答えは、衣装デザイナーのデボラ・L・スコットが実践する、実物の制作から始めるアプローチにあると、米インディーワイヤーが報じている。
スコットは「紙の上でデザインしたあと、最初にやるのはワークショップに入って試作品を作ることです。そこから文化が生き生きとしてくるのです」と語っている。「ファイヤー・アンド・アッシュ」では、数百着もの衣装やアクセサリーが実際に制作された。VFXアーティストがデジタルで衣装を仕上げる際に、素材の質感や動きへの反応を正確に再現するためである。たとえばケープが風にはためく様子や、歩くときの揺れ、肩に投げかけたときの動きは、アートワークだけではCGアーティストに伝わらない。こうした物理的な挙動を知るために、実物が不可欠なのだ。
俳優の演技が衣装デザインを変えることもある。アッシュ族のリーダー、ヴァランを演じたウーナ・チャップリンの場合、当初は全編を通じて同じ衣装の想定だった。しかしチャップリンの力強い演技を見たスコットとジェームズ・キャメロン監督は、複数の衣装チェンジを設けることを決断する。「ウーナ・チャップリンには独特の歩き方やキャラクターの見せ方があり、もっとプレゼンテーション性のある、揺れのあるものが必要だと気づきました」とスコットは振り返っている。それぞれの衣装はデジタル世界で何度も構築し直され、数年にわたって改良が続けられた。
スコットは1997年の「タイタニック」でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞しており、今回が2度目のノミネートとなる。「アバター」シリーズには約20年にわたって携わり、アッシュ族のデザインに着手したのは約10年前のことだ。キャメロン監督の方針で、すべてのデザインは世界各地の先住民族の文化に根ざしている。CG映画であっても衣装デザインが物語を伝える不可欠な存在であることを、今回のノミネートが証明しているといえそうだ。











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