2026年3月13日(金)22:00
ピクサー、「モンスターズ・インク3」を開発中
ピクサーが「モンスターズ・インク」シリーズの3作目を開発中であることが明らかになったと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務めるピート・ドクター監督へのインタビューで判明したもので、監督や脚本家、キャストはまだ決まっていない。あわせて新作オリジナル映画2本の存在も明かされた。ひとつはアジアの神話に着想を得た「オノ・ゴースト・マーケット(原題)」、もうひとつはピクサー初の本格ミュージカルとなる作品だ。
「モンスターズ・インク」(2001)は、子どもの悲鳴をエネルギー源にするモンスターの世界を描き、ピクサーを代表するシリーズのひとつとなった。2013年には前日譚「モンスターズ・ユニバーシティ」が公開され、ディズニープラスではスピンオフシリーズ「モンスターズ・ワーク」も配信されている。しかし、ピクサーにとって3作目の開発は単なる人気シリーズの続編にとどまらない。その背景には、スタジオの大きな路線転換がある。
ピクサーは2017年の「リメンバー・ミー」以降、オリジナル作品で大きなヒットを生み出せていない。ドクターCCOは監督たちに自由を与えすぎたことを認め、自伝的な題材の作品が幅広い観客に響きにくかったと振り返っている。昨年公開の「星つなぎのエリオ」はピクサー史上最大の不振作となり、ディズニーに1億ドル(現在のレートで約159億円)超の損失をもたらした。かつてオリジナル2本に対して続編1本の比率で作品を送り出してきたピクサーだが、いまや続編2本にオリジナル1本と、方針を大きく転換している。ピクサーのジム・モリス社長は、その理由を端的にこう説明する。
「率直に言って、スタジオとして存続できるだけの収益を確保するためだ」
一方で、オリジナル作品にも新たなアプローチで取り組んでいる。「オノ・ゴースト・マーケット(原題)」は、生者と死者が交流する超自然的な市場を描くアジアの神話がベースで、「リメンバー・ミー」「ソウルフル・ワールド」に続くピクサー3度目の死後の世界の物語となる。「私ときどきレッサーパンダ」のドミー・シー監督が手がける新作は、ピクサー初の本格ミュージカルになるという。2027年公開予定の「ガット(原題)」は「あの夏のルカ」のエンリコ・カサローサ監督が手がけるベネチアを舞台にした物語で、コンピューターによるリアルな質感ではなく、手描き風のビジュアルに挑戦する。
現在公開中の最新作「私がビーバーになる時」は批評家から好評を得ており、広く共感を呼ぶコンセプトへの回帰が実を結びつつある。ドクターCCOはウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューの締めくくりにこう語っている。
「くだらないものを作り続けるくらいなら、スタジオを畳んだほうがいい。本当に信じられる作品を作ることに、すべてを懸けたい」
続編とオリジナルの両輪で新たな黄金期を築けるか。転換期を迎えたピクサーの今後に注目が集まりそうだ。
作品情報

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