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特集・コラム 2020年5月6日(水)19:00

【明田川進の「音物語」】第37回 伊藤かな恵さんとの対談(後編)プラスアルファが求められる今の声優 (2)

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伊藤:今のお話を聞いて、青二の入所式のことを思い出しました。もともと私は専門学校のときに、学院からの仕事としてアイドル活動をしていまして。「何事も勉強だからやってみなさい」と言われて、苦手ながらやっていたのですが、自分が表にでることにずっと抵抗を感じていたんです。そんなこともあり、入所式では「アイドルの役として“かわいい”を表現することはできますが、私自身はアイドルではなく役者としてがんばります!」というような挨拶をしました。

明田川:(笑)。

──入所式の挨拶では、皆さん、伊藤さんのような決意表明的な挨拶をされたのでしょうか。

伊藤:うーん、あまりにも緊張していたので、覚えていないです(苦笑)。当時の私は、たくさんのマネージャーさんが見てくれているこの場で「思いを伝えねば」というふうに考えていて、今思うと過敏になっていたように思います。

──専門学校時代にアイドル活動をしていたから、そうした期待もされているのではと思われたわけですね。

伊藤:どうですかね(笑)。アイドル活動をしていた経歴はあるので、お芝居に生かすことはできます! と伝えたかったのかと思います。そんなことを、明田川さんの話を聞いて思い出しました(笑)。

明田川:伊藤さんが入ってからしばらくしてから、青二さんでは「全日本美声女コンテスト」に入賞した人が入ったり、オスカーさんともジョイントされたりしていますし、そういう意味では声優とアイドルの垣根は、昔と比べるとぐっと低くなっているように思いますね。

──この機会に、伊藤さんから明田川さんに聞いてみたいことはありますか。

伊藤:(少し考えて)私が最近思うのは、スタジオのオーディションではなく、テープオーディションで決まることが増えているのかなあということです。テープでは対応力が見れないじゃないですか。「もっとこうして」と言われて「変わったね」というのが見れないのに、テープ一発で決まることが多いのは、どうしてなんだろうと思うことがあります。

明田川:理由のひとつとして、伊藤かな恵という人がテープオーディションできたら、このぐらいのことはやってくれるだろうと分かるから「それで大丈夫」となるんでしょうね。芝居や人となりは分からないけれど、テープオーディションで気になったとなったら、やっぱりスタジオに来てもらうと思います。そこで対応力があるとなったら、仮にそのキャラクターに選ばれなくても、他の役ででてもらうことはあると思う。もうひとつはシビアな話だけれど、予算が潤沢にない作品では、スタジオオーディションをやるとスタジオ費などかかるからと、テープだけで決めちゃうことも最近はありますね。

伊藤:ああ、それはシビアですね。

明田川:ベテランの人のなかには「私の声なんて分かっているんだから、オーディションに呼ぶ必要はないでしょう」という人も、たくさんいます。だから、オーディションには行きませんと。
また、どんなふうに演じる人か分かっているけれど、このキャラクターについてはどう変化してやってくれるかなとなったときには、来てもらうこともあります。だけど、そこで期待どおりにやってくれなかったなとなったら終わりになっちゃうよね。

伊藤:ということは、オーディションをする前に気になった人を決め打ちで声をかけることもあるってことなんですね。

明田川:この人だったら絶対に期待どおりやってくれるからと、「この役はもうこの人」とオーディションの前に決め打ちしているケースはいっぱいあるはずですよ。
 今の話に関連して僕がよく話すのは、オーディションに呼ばれたとき、どうしても自分に合うキャラクターではないからといい加減にやるよりも、違うなとは思っても一生懸命やったほうが、「このキャラクターにはあわないけれど、別のキャラクターでやってもらいたいね」と関係者に思ってもらえるということです。そこで真剣にやらなかったら、それっきりになってしまいますから。この話のポイントは、オーディションに来ている時点でその曜日は空いているってことです。オーディションは収録と同じ曜日にやることが多いですから。

──明田川さんから、伊藤さんに何か質問はありますか。

明田川:ミュージカルはやらないの?

伊藤:(驚いて)ミュージカルですか? そんな話がくることなんて、あるんでしょうか。

明田川:芝居ができて歌も歌えて、これだけ人気があるとなったら、誰かが考えると思うんですよね。そういう別の世界でやることによって、伊藤さん自身の幅がより広がっていくんじゃないかなあと。ミュージカルはスケジュールがしっかり押さえられるから、声の仕事がやりにくくなるかもしれないけれど、もし伊藤さんのキャラクターを生かせるミュージカルの話があったら面白いんじゃないかな……と思っただけです(笑)。

伊藤:ありがとうございます! やってみたい気持ちはすごくあります。もともとミュージカルは大好きで、声優を目指すきっかけになった「HUNTER×HUNTER」のミュージカルも、声優さん自身がやられているのを見にいきました。舞台を見るのは好きですし、自分がミュージカルをやることにも憧れがあります。

──最後にひとつ聞かせてください。青二プロの伊藤さんのページにあるボイスサンプル()を聴かせてもらったら、1つめのボイスが少年の声で驚かされました。これは何か意図があったのでしょうか。

伊藤:順番は事務所が決めてくれていると思います。録ったなかから順番を選んでいると思うのですけれど……すみません、私にも分かりません(笑)。

明田川:2通りの意図が考えられるんじゃないですかね。伊藤かな恵のサンプルだと思って聴いて、最初が男の子の声だと「あ、こういう声もできるんだ」と思ってもらえる。もう1つは、「え? 男の子?」とインパクトを与えつつ、実はこういう方向もやりたいとさりげなく意思表示するという。

伊藤:たしかに男の子の役のような、性別を越えた役をもっとやりたいという話はずっとしていて、実際にやらせてもいただいています。もしかしたら、そうした意図があるのかもしれません。

協力:マジックカプセル、青二プロダクション
司会・構成:五所光太郎(アニメハック編集部)

アニメハック公式Twitter、フォロー&RTプレゼントキャンペーン
<賞品>
伊藤かな恵さんサイン色紙、1名様
<応募期間>
2020年5月6日~6月7日23:59
<応募方法>
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明田川 進

明田川進の「音物語」

[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム)
マジックカプセル代表取締役社長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。

作品情報

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