2026年2月28日(土)19:00
【明田川進の「音物語」】第89回 よく出してくれたなと思った「アニメ音響の魔法」と鶴岡陽太さん、岩浪美和さん

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このコラムを書籍化した「音響監督の仕事」の出版が決まったのと同時期に、「アニメ音響の魔法 音響監督が語る、音づくりのすべて」(BNN刊)という書籍の取材をうけ、アニメ音響の歴史についてお話しさせてもらいました。本書の企画・取材をされた藤津亮太さんに僕を取材するよう勧めてくれたのは、音響監督の鶴岡陽太さん(※同書に「協力」としてクレジット)だったそうです。
僕の本は思い出話のようなものですが(※編注)、「アニメ音響の魔法」は鶴岡さんをはじめとする多くの音響監督や、声優、音楽家の話をもとに、アニメの音の歴史や奥深さが体系的にまとめられていて、よく出してくれたなと思いました。本当は、僕も理事として関わっている音声連(日本音声製作者連盟)がフォローしたり援助したりしなければいけなかったと思うぐらいです。かつては、音声連もそういう冊子を出していたんですよね。鶴岡さんも音声連の理事をされていますから、今こうした本を出す意義があると考えられて協力されたのではないかと思います。
編注:明田川さんは謙遜されていますが、「音響監督の仕事」(星海社新書)もアニメ音響の魅力を深く知ることができる1冊です。「アニメ音響の魔法」との併読を強くお勧めします。

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鶴岡さんは、自分専用の音響スタジオをつくられていて、「AKIRA」の音をつくり直すダビングのときにお世話になったことがあります。すごいスタジオでした。また、ずっと前の話になりますが、鶴岡さんは西﨑(義展)氏の会社(※ウエスト・ケープ・コーポレーション)にいらして、その頃、直接的ではありませんが、すれ違っていました。
僕は西﨑氏が手がけた「ワンサくん」(1973)の音響監督を務めた流れで、「宇宙戦艦ヤマト」(1974~75)の音響監督をやる話が最初、僕指名でグループ・タックにきたんです。ただ、「ワンサくん」で西﨑氏の作品は大変なことになるのが分かっていて、とても僕にはできなかったので、田代(敦巳)氏にお願いすることになった経緯があります。その後、どうしても田代氏ができなくなって、「YAMATO2520」(1995~96)では僕が音響監督を担当することになりました。
「アニメ音響の魔法」に登場している岩浪美和さんは、現在マジックカプセルでお仕事していただいて大変お世話になっています。また、仁(※明田川さんの息子で音響監督、マジックカプセル代表取締役の明田川仁氏)が音の仕事で制作として初めてついた音響監督が岩浪さんでもありました。「アニメ音響の魔法」でも語られていますが、岩浪さんは映画館に自ら足を運んで映画館ならではの正しい音響を調整することを手弁当でされ、岩浪さんが音響を監修したスクリーンを手がけるなど、映画の音響の素晴らしさを普及する活動をされています。
昔は音響スタジオが、自分たちの作品が映画館でどう鳴らされるかを気にして積極的に関わっていました。ただ、多くのスタジオが貸しスタジオになっていったことで、岩浪さんのような外部の方のほうが関わるようになったという流れがあるように感じています。
※「アニメ音響の魔法 音響監督が語る、音づくりのすべて」の詳細は下記記事をご参照ください。
https://anime.eiga.com/news/123214/
本コラムを書籍化し、明田川仁氏との音響監督親子対談、原口正宏氏による詳細な作品リストなどを追加収録した「音響監督の仕事」(星海社新書)発売中。
詳細は下記記事をご参照ください。
https://anime.eiga.com/news/124279/
明田川進の「音物語」
[筆者紹介]
明田川 進(アケタガワ ススム) マジックカプセル会長、日本音声製作者連盟理事。日本のアニメ黎明期から音の現場に携わり続け、音響監督を手がけた作品は「リボンの騎士」「AKIRA」「銀河英雄伝説」「カスミン」など多数。
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