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特集・コラム 2020年2月18日(火)19:30

続フィギュア工場のお話 新型コロナウィルスの影響や「ヒロアカ」や

中国の地下鉄入り口では利用者の体温を計測

中国の地下鉄入り口では利用者の体温を計測

Photo by Betsy Joles/Getty Images

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今回は「ワンダーフェスティバル」後ということで、気になったフィギュアについてまとめてみよう……というつもりだったのですが、前回で記事にした中国の工場(https://anime.eiga.com/news/column/figure_trend/110378/ )がとんでもないことになっているので、まずはそれから。

それはもちろん新型コロナウィルスの件。前回原稿を書いた時点では状況がどうかわっていくかまだ判然としない状態だったのですが、記事がアップされるころには一挙に拡大。現在都市の閉鎖が行われていたり、渡航制限、検疫があったりと大変なことになっています。
 ワンフェス会場で業界の人と話していても、もっぱら新型コロナウィルスの影響がどうなるかという話題が出ていました。
 ワンフェスに参加予定だった中国メーカーや中国ディーラーが参加できなくなっていたり、新作サンプルを持ち出せなくて展示ができなかったりという話も聞きました。

ニュースでも扱われていますが、中国の工場は軒並み休業。もちろんのこと、そこにフィギュア工場も含まれるわけです。休業は2月いっぱいとも3月いっぱいとも、さらにもっと伸びるのではないかともいわれています。もともとこの時期は春節で工場はお休みなのですが、その休みが延期されているという状況なのです。
 この休業によって、当然のことながら発売予定だったフィギュアが軒並み発売延期となっているわけですが、その延期後の発売日でさえキープできるのかはまだ判断できないでしょうし、さらに玉突き状態でこの先のフィギュアの発売予定も狂うことになり、この影響はかなり長引きます。
 もともと春節明けは新しいワーカーを確保(休みの間に帰った田舎で情報交換してより良い工場へ移動するのが当たり前)したうえでその教育も必要なので、生産ペースのキープやクオリティコントロールが難しいものなのですが、この状況でこの先どうなっていくのかがまったく読めません。工場再開に向けて国を挙げて邁進していくと思いますが、電子機器等に比べれば当然フィギュアなどは優先順位は低いはずですし。
 発売が遅れて夏前になると、そこでさらにもう一つの問題が起こります。それが夏のオリンピック。こっちのほうは生産ではなく流通の問題。オリンピックの影響でかなり流通が滞ることになるので、フィギュアの発売日もおおきな影響を受けることになるのです。
 この工場の休業によって、中国のフィギュア工場もいくつか潰れるのではないかという予測もでています。また、フィギュアメーカーにしてもかなり厳しい状態に置かれることになり、あまり考えたくないですがコレが続けばどこか倒産するところが出てもおかしくはありません(その場合いちばん厳しいのは中規模のフィギュアメーカーかも)。

なお、4月に予定されていたワンフェス上海は延期が決定しています。まだ開催日時の再設定は出ていませんが、なかなか厳しそうという噂も。個人的には今年は取材に行くつもりだったのでかなり残念です。

実はフィギュアをめぐる状況でもうひとつ、かなり厳しいことが起こっています。それは「僕のヒーローアカデミア」をめぐる騒動。
 現在、中国で「僕のヒーローアカデミア」のアニメやマンガの配信が止まっているというのはご存じかと思います。もともと配信していたのは最大手の配信媒体であるBiliBiliですが、BiliBiliは実は中国のフィギュア流通を一挙に担う存在でもあるのです。アニメを配信しつつ、フィギュアをはじめとするそのグッズを販売する。昨年の「AnimeJapan」では、中国のフィギュア流通の最大手であることを大きくアピールしていました。そして、「僕のヒーローアカデミア」配信停止と同時に、フィギュアやグッズの受注ページもなくなったのです。
 「僕のヒーローアカデミア」はフィギュアとしても非常に人気が高い作品であり、各メーカーからさまざまなものが出ています。そして、現在のフィギュア市場は日本だけではなく海外もターゲットにしないと成り立たないところまで来ています。その海外市場でも北米と並んで特に大きいのが中国。中国では「僕のヒーローアカデミア」フィギュアは中国限定版がでるくらい人気も高かったのですが、その市場が一瞬にして消えたわけです。予約受付中のフィギュアも多数あったようですが、この様子ではそれもキャンセルになっているはず。これもメーカーにとっては工場休業と並ぶ大きなダメージとなるわけです。

前回の記事で中国工場への依存度の高さとそこからの転換ということを書いたばかりでしたが、まだまだその中国工場抜きでフィギュアを作れる状況にはありません。5年10年で段々変わっていくはずと思っていたのですが、この騒動の情勢によってフィギュア業界も市場も強制的に変化を受け入れなければいけないということになるかもしれません

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

作品情報

僕のヒーローアカデミア(第4期)

僕のヒーローアカデミア(第4期) 61

超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個...

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