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特集・コラム 2020年8月22日(土)19:00

塗装ずみカプセルフィギュアの誕生とその黄金時代

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まずは、この2カ月の間のホビー業界の動向から。
 なによりも大きな出来事は、中堅フィギュアメーカーのアクアマリンの倒産。8月6日に詳細が出ましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による業績悪化とのこと。人気キャラのクオリティの高いフィギュアを継続して発売していただけに、この倒産はファンにも大きな衝撃を与えました。ニュースでは事業継続の可能性も探っているとありましたが、フィギュアの場合、金型などの制作が進行していると他社で引き継いで出る場合もあるのでそういったことにも期待したいところです。
 そして一瞬ゾワッと情報が駆け巡ったのが、海洋堂にファンドの資金が入り、「株式を海洋堂旧経営陣から取得」したという話題。海洋堂から公式には体制その他の変化はないと発表されています。コレに関してはまずは状況がどう変わっていくか様子を見る必要があります。
 ホビー系のイベントに関しては、相変わらず中止や延期が相次いでいます。そんななかで8月2日にAK-GARDENが開催されました。残念ながら私は参加できなかったのですが、コロナ対策、ソ-シャルディスタンスにも最大限気を使った入場方法で、今後のイベント開催のひとつのモデルケースになりそうです。
 オンライン開催は各所で準備されていますが、まだ未開催なので実際にはどうなるか? 来年2月のワンフェスに加え、12月にはエヴァワンフェス(前回記事で当日版権をオンライン開催と書きましたが、それは誤りでした)も開催予定。ただ、コロナがどうなっているか予想もできず、未参加を決めたディーラーやメーカーも見かけます。オンラインも実イベントもまだまだ波乱がありそうです。

塗装ずみカプセルフィギュアの誕生

と前振りはこのくらいにして、今回は各所に専門店ができるなど人気が高まっているカプセルフィギュアについて、その大まかな流れをまとめてみたいと思います。これが市場の変化とも密接な関係があって、なかなか面白いのですよ。
 普通、ガチャとかガシャポンと呼ぶことが多いと思いますが、これらはメーカーの登録商標。一般商品名としてはカプセルトイやカプセルフィギュアということになります。
 このカプセルトイは、駄菓子屋の軒先の駄玩具だったり、キン肉マンのキン消しだったり、コレまでも何回かブームになってきています。そのあたりを語り出すときりがないし専門外なので、私の専門ジャンルであるフィギュア関係中心で話を進めます。
 昔のカプセルフィギュアでは単色やデフォルメのものが中心でした。ちゃんと塗装ずみでリアル頭身のフィギュアがカプセルで登場したのは1994年にバンダイベンダーから出た「HGウルトラマン」が最初。その後も怪獣やヒーロー系を中心に展開されていくのですが、95年12月に「DX美少女セーラームーン」が登場します。これがバンダイのカプセルフィギュアとしては最初期のフルカラーの美少女キャラアイテムとなります。ですが、ガレージキット的な造形を取り入れた商品としては94年に「クロスアップシリーズ セーラームーンR」というものが発売されています。これはそれなりの大きさのPVC製フィギュア本体に、プラ製のセーラー服や武器パ-ツを装着するというもの。おそらくこれがマスプロダクツで美少女ガレージキット的な造形を取り入れた商品のほぼ最初の例。

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参考までに、発売当時ゲーム誌の電撃王94年4月号(メディアワークス・刊)で自分が書いた記事。このリアルでセクシーなボディラインは当時としては驚異的でした。

コアなファン層の獲得

バンダイからはその後も「新世紀エヴァンゲリオン」「キューティーハニーF」「サクラ大戦」「機動戦艦ナデシコ」などのカプセルフィギュアが続々と登場します。
 そんなところに新たに登場したのがユージン(現タカラトミーアーツ)のSRシリーズ。「科学忍者隊ガッチャマン」などから始まったのですが、98年12月に「ToHeart」のカプセルフィギュアを発売します。この「ToHeart」は翌年3月に家庭用ゲーム機移植版が発売されて、アニメも放送されるものの、オリジナルはR18の美少女ゲーム。トミーグループのユージンでそういった作品が、しかも数十万個店頭に並ぶことになるカプセルフィギュアで発売されるとは意外な出来事でした。しかしこれが大ヒット! レミィというキャラはパンツの色が6色あるという告知を一切していない仕掛けがあって、連日「パンツの色は何色(があるん)ですか?」というセクハラめいた問い合わせが多数あったとか(笑)。ボールジョイントによる首のすげ替えやスカートを外した状態でも飾ることができるといった、その後スタンダードになる仕様もこの時に生み出されています。なお、今から思うと信じられないポイントとしては、未塗装のクリアー仕様がレアとしてイベントで大行列ができるくらい大人気だったこと。現在だと完全にハズレ扱いになるところですが、スカートパーツだけをクリアーにして飾るとかいろいろ楽しみ方もありました。
 これ以降、ユージンは続々と美少女キャラクターのカプセルフィギュアを発売していきます。中でもカプコンの格闘ゲーム「ヴァンパイア」のカプセルフィギュアは圧巻。マンガ家のうたたねひろゆき氏がこのフィギュアのために描いたデザインを立体化し、カプセルいっぱいに詰まったボリュームとトップクラスのクオリティ、ギリギリまで攻めたセクシーな仕様で数百万個を売る大ヒットとなっています。
 ユージンではブリスター入りの単体フィギュアのSRDXシリーズも展開していましたが、こちらではアニメやゲームなどさらにマニアックな作品が並んでいました。このSRDXは後の美少女スケールフィギュアに先駆けるような存在なのですが、この誕生にはカプセルフィギュアのSRが大きな役割を果たしています。99年に発売されたSRDX第1弾の「機動戦艦ナデシコ」ルリはもともとはSR用に作られた物だったのですが、大きすぎてカプセルに入らず、単体発売されることになったのです。
 美少女キャラクターを続々と発売したユージンに対して、バンダイもHGIFシリーズや「萌え・あ・ら・も~ど」といったシリーズを展開。「美少女戦士セーラームーン」や「新世紀エヴァンゲリオン」「ガンダムヒロイン」といったメジャーな作品ばかりではなく、「陸上防衛隊まおちゃん」「朝霧の巫女」などスターチャイルドアニメや「双恋」「機神咆吼デモンベイン」などちょっとコアな作品までラインナップしていきます。

コストの上昇と市場の変化

時期としては2000年前後から05年くらいまでがこういったカプセルフィギュアのピーク。ユージン、バンダイ、さらに美少女系は少ないですが海洋堂。この3社が競うようにしてクオリティやボリュームを上げ続けていきます。当然原価も上がっているわけで、どこまでこれが続けられるのか、3社がまるでチキンレースをやってるみたいだなぁと当時感じていました。
 なお00年代前半はこの3社以外にも、ブームにのっかってカプセルフィギュアを手掛ける新メーカーが出てきたりもしていました。ちょっと高めの値段でR18の美少女ゲームキャラをエロくフィギュア化したものがあったりしましたが、その多くはクオリティも低くそのうち消えていきましたが。
 そして03年あたりからコストの上昇と求められるボリューム&クオリティに対応するために、300円のカプセルが登場してきます。200円から300円になったということは、それまで1000円で5個買えていたのが3個しか買えないということ。この差はかなり大きく感じました。その後も価格は上がっていき、400円、500円のものも登場するようになります。一方その頃から1/8や1/6などの大型スケールフィギュアが人気になり始め、コアなファン層はカプセルフィギュアの大きさやクオリティでは満足できなくなってきます。マックスファクトリーの「DEAD OR ALIVE 霞」フィギュアが登場したのは04年。これがフィギュア市場を大きく動かしその後のスケールフィギュア人気に繋がるわけです。
 00年代後半になると、コアなファン向けのカプセル商品はどんどん減っていきます。代わりに価格も高く設定できる(クオリティやボリュームも上げられる)トレーディングフィギュアにそういったコアな作品が登場するようになりますが、またそれは別の話で。

カプセルフィギュアのその後と現在

カプセルフィギュアでは、バンダイの手掛けるようなメジャー作品は引き続き登場し続けましたが、2010年くらいからまた新しい流れが生まれます。キタンクラブの「コップのフチ子」など、フィギュアでも小さめでネタ的なものが増えてきたのです。それらは幅広い層に受けて、何回目かになるカプセルトイブームを起こします。
 また近年は造形面でも企画面でもさらに凝った仕様のものが登場するようになっています。外側のカプセルもフィギュアの一部として使用したり、光るギミックとフィギュア本体が別カプセルだったり、くじ的に何等級かボリューム&内容差がある仕様だったり、いろいろ販売方法も工夫されています。秋葉原の街中には数十、数百のカプセルベンダー機がずらりと並び、専門店もあちこちにできはじめています。
 ただ、コストの上昇は収まらずこの先どうなっていくかはなかなか読めないところ。00年頃200円だったカプセルフィギュアを今再生産して発売すると数千円になったりするわけですから(もちろん生産数のケタが異なるので単純な比較は出来ませんが)。さらに、カプセルはその販売方法故に内税でやるしかない(1台のベンダー機に550円とか複数種類の硬貨を入れることはできない)ので、消費税のアップも直接響くのです。そもそも低コストでハイクオリティなカプセルフィギュアを作れる中国の工場は、もうほとんどないという話も聞いています。こんな条件のなかで企画と工夫でどういったものが作れるのか、そちらの意味でも最も熱いジャンルといえるかもしれません(この8月には1回2000円の「仮面ライダー01」イズのカプセルフィギュアがオンラインに続いて実店舗での販売も始まるというトピックもありました。電子マネーを使うスマートガシャポンというマシンで、流石に販売店はかなり少ないですが。それにしても全3種を揃えるのは大変そう……)。

なお、00年代のカプセルフィギュアブームで非常に大きな役割を果たしたユージンですが、8月25日発売の「月刊ホビージャパン」10月号でメインスタッフにインタビューをしています。その記事はフィギュアの歴史を振り返る「フィギュアJAPANマニアックス」という連載で、その時代の証言や秘話満載で非常に興味深い記事になっていますので、あわせてお読みいただければ。

島谷 光弘

ホビー&フィギュア トレンド

[筆者紹介]
島谷 光弘(シマタニ ミツヒロ)
フィギュア専門誌「フィギュアマニアックス」を企画・編集し、2000年頃からフィギュアが質、量、人気ともに拡大する10年以上の時期をメディア側で見続ける。現在はフリーでウェブ「ホビーマニアックス」の運営や、ホビー系のウェブやメディアで執筆中。

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