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特集・コラム 2026年3月27日(金)19:00

【前Qの「いいアニメを見に行こう」】第65回 声優の凄みを味わう「魔王の娘は優しすぎる!!」 そして子育てアニメブーム?

(C)坂本遊也・白泉社/「魔王の娘は優しすぎる!!」製作委員会

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アニメから久野美咲さん演じる幼女の声がしてくると、かなりの確率で涙ぐんでしまうのです。なんてイノセンス。それは、いのち。というわけで、今クールは毎週モニタの前でベソベソしてました。「魔王の娘は優しすぎる!!」を見て。
 これ、すごいアニメですよ。久野さんが演じるのは、世にも恐ろしい魔王の娘であるにもかかわらず、やることなすこと愛らしく、どんな凶悪な存在を前にしても、どんな状況におかれたとしても、周囲を優しい空気に染めあげてしまう幼女・ドゥ。魔王は優秀な側近であるジャヒーを通じて、ドゥを魔族らしく残酷な性格に教育しようとするが、ドゥの備えた天性の資質が、ことごとく狙いをはねのけてしまう。とにかくこのドゥというキャラクターの圧倒的な魅力で、作品を牽引する構造になっている。「キャラが立ってる」「キャラで保ってる」などと褒められる作品はアニメには多々あるけれども、これこそポジティブな意味で、まさに「キャラクターアニメ」と称するのがふさわしい。
 そして、そこまでのキャラクターの魅力をどこで担保しているのかといえば、久野さんの声と芝居なわけであります。キャラクターデザインも可愛いし、作画や演出も丁寧ですけども、キャラの魅力の芯はとにかく声。久野さんをこのキャラに配役することありきでアニメ化の企画を立てたとしか思えない。ここまで声優の持ち味に賭けたアニメって、そうそうない気がします。毎話数、力の入った童謡風のキャラクターソングまで用意されているんですもの。まわりのキャストもよかった。大塚明夫さんがパパの魔王で、祖父が千葉繁さんで、ママが井上喜久子さん。どんだけだ。他にも存在感のある名優ぞろい。声優という仕事の凄みを感じたければ、必見ではないでしょうか。

それにしても、今期は子育てものが妙に目に留まりました。流行ってるのか? それとも私の個人的な問題か? 「29歳独身中堅冒険者の日常」も楽しかったですね。スラム育ちの独身男性冒険者・ハジメが、ひょんなことからダンジョンで拾った子どものサキュバスのリルイを育てる。リルイに子どもっぽい小生意気なところがあったり、子ども同士の横の交流を見守る感じがあったりするところが、また「魔王の娘は優しすぎる!!」とは違った味わい。村ぐらしのちょっとスローライフっぽい雰囲気もよくて、まった楽しめました。子育て要素じゃないけど、ハジメと幼なじみのヴェロニカのつかず離れずの微妙な距離感の描き方も印象的だったなあ。子育てものといえば、忘れちゃいけないのが「姫様“拷問”の時間です」2期の魔王様の娘・マオマオちゃん絡みのエピソードですよ。エピソードのリアリティレベルがいちばん高いのは多分これなのでは。存在しない子育ての記憶を流し込まれている気持ちになりました。「攻殻機動隊」かよ。「姫様“拷問”の時間です」はシリアスな演出でほのぼのしたシチュエーションを見せることによるギャップ笑いがポイントなこともあってか、映像が全体的にリッチな感触なのもよかったですね。そして今クールのその意味での話題作といえば「違国日記」も……って、そりゃちょっと違うか。ははは。

ともあれ、もしこれが実際に流行なのであって、これからもこうした企画の流れが続くのであれば、その背景には何があるのかを、あらためて掘り下げてみたい気もしますね。アニメファンの変化がそこには現れているのでは……そう、みんな大人になっちゃってさ……って、これじゃまるで「劇画・前Q」だよ、トホホ(昭和ノリの〆)。

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

魔王の娘は優しすぎる!!

魔王の娘は優しすぎる!! 41

悪の権化たる魔族たちを束ね、暴力と権力で世界を侵略していった魔王アーリマン。だが、そんな魔王がなぜか突然一切の侵略行為をやめてしまった!魔界最強の魔王が侵略をやめた理由……それは!魔王の娘のドゥ...

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