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特集・コラム 2021年1月29日(金)19:00

【この2.5次元がすごい】笑いはじめにもぴったり 完成度の高さが話題の舞台「パタリロ!」

(C)魔夜峰央/白泉社 (C)舞台「パタリロ!」製作委員会

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アニメや漫画、ゲームなどの原作を忠実に舞台の上に再現してくれる2.5次元ミュージカル。作品の持つ世界観を表現するために様々な工夫や演出を舞台ごとに見ることができます。ただそのまま再現すればいい、というわけではないのが2.5次元舞台の難しいところであり、観客の私たちにとっては楽しいところでもありますよね。

「パタリロ!」は独自の世界観をもったギャグ漫画。畳み掛けるようなギャグに、なんとも耽美で個性的なキャラクターたち、そして宇宙へ飛び出したりタイムワープしたりとSF要素も詰まっている作品です。

そして現在、東京・天王洲銀河劇場にて上演中なのが「舞台『パタリロ!』〜霧のロンドンエアポート〜」です。舞台「パタリロ!」は2016年に初演が行われ、18年には2作目が、さらに19年には劇場版が公開されるなど高い人気を集めています。全作を通じて主人公のパタリロを演じるのは加藤諒さん。初日に「ノンストップで千秋楽まで皆と走り抜けたいと思いますッ!!!」と意気込んでいました。その言葉通りノンストップで繰り広げられる舞台「パタリロ!」の世界観を紹介します。

■BL漫画の先駆けという言葉では表現できない「パタリロ!」ならではの世界観

今作の「霧のロンドンエアポート」というタイトルを聞いてピンときた人はきっと原作ファン方ではないでしょうか。私自身、高校時代にアニメの再放送を見たことをきっかけに「パタリロ!」を好きになり、原作も読むようになったファンのひとりなのですが、バンコランの過去を知ることができる今作はお気に入りのひとつ。宇野結也さん演じるバンコランを中心に後藤大さん演じるマライヒ、川上将大さん演じるデミアン・ナイトが過去と現在を描いていく今作。

「パタリロ!」は少女漫画界において、BL(ボーイズラブ)の先駆けともいえる作品でもあります。アニメや漫画に触れたときに「え、マライヒって男の子だったの?」とびっくりした経験がある人も多いのではないでしょうか。美少年キラーでもあるバンコラン、華やかで表情豊かなマライヒ、怪しい美しさを持つデミアン、そしてタマネギ頭の下には全員そろって美形というタマネギ部隊。最近ではBLをテーマにした作品も増えてきていますが、「パタリロ!」が見せてくれる耽美で怪しい世界は「BLの先駆け」という言葉では説明ができない独自の空気を持っています。例えば、バンコランとデミアンのラブシーンをパタリロが覗いているシーンでは、シリアスな2人に対してバタバタとコミカルな表情を見せてくれるパタリロの様子も見どころ。舞台でもそれは表現されていました。ベッドを上から見る視点と、陰からこっそり覗いているパタリロという視点をかえての演出がステージ上で繰り広げられることで、同じ空間でありながら漫画のコマを順番にみているような気持ちにもなりました。他にもスクリーンを効果的に使用することで、漫画的な展開の切り替わりもしっかり再現。シーンの切り替えなどテンポ良く進行する物語においていかれることなく楽しむことができました。

(C)魔夜峰央/白泉社 (C)舞台「パタリロ!」製作委員会

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■独特の世界観を表現する演技力にも注目

またシリアスとコメディの温度がうまく混ざっているのも舞台「パタリロ!」の魅力。それを支える役者さんの力にも注目です。

美少年キラーでもあるため目からビームを発射することができますが、それすらかっこいいのがバンコラン。パタリロの影響でコミカルなギャグの世界に巻き込まれがちな彼ですが、今作ではMI6の優秀なスパイとしての顔や、親友や恋人へ向き合う人間的な顔など様々な表情を見せてくれました。宇野さんはバトルシーンでは拳銃だけでなく、身体を使ってのアクションも披露。「毎日笑いに笑って、どうしようもないくらい破茶滅茶で愛おしい作品に仕上がりました」とコメントしていた宇野さんですが、笑いだけでなくしっかりとバンコランらしいかっこよさを演じてくれたのが印象的でした。

(C)魔夜峰央/白泉社 (C)舞台「パタリロ!」製作委員会

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もちろんその再現力の高さに。原作者である魔夜峰央さんからも太鼓判を押されている加藤さんのパタリロも必見です。めちゃくちゃなことをしながらも、事件を解決していくパタリロの愛さずにはいられない姿は今作でも健在でした。

独特な世界観をもつ原作だからこそ、2.5次元舞台でどこまで再現されるのか注目していましたが、舞台「パタリロ!」は今作もその期待を超えています。東京では緊急事態宣言が出ている中での公演。会場では消毒や検温はもちろんのこと、劇中でも扉を開けて行われる換気タイムにキャストたちがステージから客席に風を送るパフォーマンスを見せてくれました。「今の状況下、開幕できる事を心から感謝致します。マリネラ王国は"常春の国"なので、舞台を観た後に心が暖かくなり、笑顔の花を満開に咲かせていただけましたら幸いです」という加藤さんの言葉通り、笑顔いっぱいになれる今作は1月31日にいよいよ千秋楽を迎えます。千秋楽公演はライブ配信も予定されているので、笑顔の花は劇場だけでなくあちこちのおうちでも咲きそうですね。

西岡 舞子

大好きなあの人に奥行きが♡この2.5次元がすごい

[筆者紹介]
西岡 舞子(ニシオカ マイコ)
オーストラリアのGriffithUniversityでジャーナリズムと犯罪心理学を学び、卒業後は出版やエンタメに携わる。舞台も音楽も仕事のあとの一杯もやっぱり生が好き! いい舞台は何度もみたいし、記念に公演グッズも買っちゃう派です。好きな動物は猫とペンギンで好きな大福はいちご大福。

イベント情報・チケット情報

舞台『パタリロ!』~霧のロンドンエアポート【17回目】 0
開催日
2021年1月31日(日)
時間
16:00開始
場所
天王洲 銀河劇場(東京都)
出演
加藤諒, 宇野結也, 後藤大, …

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