交響詩篇エウレカセブンハイエボリューション1 4D 徹底解説特集
――「4DX版」の「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」を体験して、いかがでしたか。
向:ムチャクチャよかったです! 僕は、今回の「ハイエボリューション1」で、はじめて「4D版」を体験しましたが、「マジか!?」というぐらい(座席が)動くのに驚かされました。
特に、前半の「サマー・オブ・ラブ」のメカアクションシーンは圧巻で、とにかく(座席が)ずっと動いている。ひと通り動いたあとに、「ここは大丈夫だろう」と思って水のペットボトルに手をかけた途端、ガタガタって(笑)。
爆発シーンでは、座席の首のあたりから温風がふきだしますし、まるで戦場にいるかのような没入感がありました。「正直ナメてました! ごめんなさい」と、スタッフのみなさんに謝りたい気分です。
――「4D版」の演出で、とくに印象的だったところを聞かせてください。
向:中盤、レントンがひとり寂しく雨に打たれるシーンにはビックリしました。本当に空(天井)から雨が降ってきましたから。普通に考えれば、雨漏りですよね(笑)。いったい、どういう仕組みで降っているんでしょう……。とにかく驚きました。
――すでに「ハイエボリューション1」を見ている方でも、「4D版」を楽しめると思われますか。
向:むしろ1度見た方にこそ、「4D版」を味わってもらいたいですね。混乱する戦場の壮絶さや、キャラクターの心情など、作品への理解がより深まることは間違いありません。
特に、前半の「サマー・オブ・ラブ」の息もつかせぬ怒涛のような演出は、ぜひとも体験してもらいたいです。
――「ハイエボリューション」と銘うたれた劇場版は、テレビシリーズからどのように“進化”していると思われますか。
向:劇場版は、時系列の展開がとてもめまぐるしいですね。振り落とされないようにしがみついていく感じが、映画ならではの見せ方なのかなと。
新たな構成によって、物語ではなく、“レントンの気持ち”をくみとっていくようになっていて、より自己投影ができる作品に仕上がっていると思います。
――本作で初めて描かれた「サマー・オブ・ラブ」はいかがでしたか。
向:ワクワクしかなかったですね!(テレビシリーズが放送された)12年前から抱えていた謎や疑問がピタッとハマった感じです。
アドロックたちがどのような心情で、物語の根幹に関わる大事件に挑んでいったのかを、ようやく知ることができました。いきなり、アドロックが嘔吐しているシーンからはじまったのも、とにかく人間味がある人なんだなということがわかって、なんだかうれしかったです。
――とくにお気に入りのシーンはどこでしょうか。
向:レントンが、養父のチャールズに“選ぶ”ことを促されるところです。テレビシリーズの時から大好きでしたが、今回の映画で凝縮してノンストップで見ることで、より心に残るシーンになりました。「ハイエボリューション1」ではこのシーンが2回でてきますが、僕は2回とも泣いてしまって、2回目にいたっては「こんなに泣くんだ」と思うくらい号泣してしまいました。
あと、16歳のタルホがムチャクチャかわいかったです(笑)。
――「ハイエボリューション1」のどんなところに魅力を感じられますか。
向:“家族愛”が大きく描かれているところが大好きです。絶対的な悪役がおらず、それぞれに正義を抱いて守るべき存在のために戦いを挑んでいく。
独身の僕からすると「家族がほしいな」と痛感させられる作品です。……彼女すらいないので、別の意味で泣きたくなってきました(笑)。
――「ハイエボリューション1」は、2005年放送のテレビシリーズから12年ぶりの新劇場版となります。
向:12年の間に、「エウレカセブン」が築いたものを受けて新しいアニメの形が生まれ、今や3DCGのアニメが受け入れられる時代です。本作は、まさに“待望の劇場版”ですが、12年という歳月をどうやって埋めていくのだろう、という期待と不安とがありました。
僕自身のことでいうと、2005年は、レイザーラモンHGさんが大ブレイクしたころで、相方の木村(卓寛)の“エロ詩吟”がブームになったのが08年のことですから、12年という時間は長く感じます。
でも、完成した映画を見ると「名作ってこういうものなんだ」と思いしりました。
昔はおもしろく見ていたけれど、今見るとそうでもない作品も少なからずあるものですが、「エウレカセブン」は、根底がまったく色あせておらず、新たな演出によって、新鮮な気持ちで楽しむことができました。
――「ハイエボリューション1」を見て、テレビシリーズ放送当時のことを思い出されましたか。
向:当時は、仕事もお金もなく、ただ時間だけはあったので、家でアニメばかり見ていました。あまり思い出したくない厳しい時期でしたが、それでも「自分に何ができるのかわからないけど、何かを形にしたい」との思いだけでガムシャラにやっていました。
だからこそ、当時テレビシリーズの「エウレカセブン」を見て、レントンのまっすぐな姿に、深く共感したのかもしれません。
あのころの自分に、「そのまま、お笑いを好きでいて間違いじゃないよ。12年後には、『エウレカセブン ハイエボリューション』のことを語らせてもらう仕事をいただける日がくるから」と教えてあげたいです。
――「ハイエボリューション2」以降に、期待することはありますか。
向:本作のラストで、「あれはいったい、なんだったんですか?」としか言えない、衝撃の次回予告を見てしまいましたから、期待は高まるばかりです。
「エウレカ」で、僕がいちばん好きなキャラクターはアネモネで、「ハイエボリューション2」では、ついに彼女が登場するようなので、とても楽しみにしています。
過酷な運命を受け入れ、絶望し、それを乗り越えていく、アネモネの儚さと強さの二面性が大好きなので。
……ゴタクを並べてみましたが、ピンク髪の女の子キャラが大好きなので、それだけでも85点くらいはあげられちゃうんですよね(笑)。あくまでも個人的な予想ですが、「ハイエボリューション2」のストーリーは、きっと「エウレカセブン」ならぬ「アネモネセブン」になるはずです!
――(笑)。「ハイエボリューション2」以降も、「4D版」があれば体験してみたいと思われますか。
向:もちろんです! やりますよね? やらなきゃダメだと思います。
――最後に、「エウレカ」ファン代表として「ハイエボリューション2」に臨むスタッフやキャストのみなさんにエールをお願いします。
向:「4D」版、堪能させていただきました。これからは、テレビシリーズだけでなく「ハイエボリューション1」のプレッシャーも背負いながらの制作になると思います。
でも、それを乗り越えて、すばらしい作品を届けてくれると、僕らファンは信じています。
さらに進化した「エウレカセブン」を見せてください!
これがもう一つの完成版。
色々なセクションの人たちが、補填をしてくれたおかげで、ここまでのものに完成できたと思っていた本作に、新たな力が加わって、もう一段上の完成版に仕上げていただきました。
一度観た方も、ぜひMX4Dで本作を観ていただけますと幸いです。
映画冒頭から、4D でのサマー・オブ・ラブ。
体全体で受けとる映像、音、音楽は圧倒的な迫力です。そして4D のその魅力は、映画後半に向けてレントンのドラマに、心まで揺さぶられます。劇場でしか味わえない映像体験を是非観てください。