2015年12月11日(金)20:00
「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー シリーズ構成・脚本 冲方丁 前編 「K4」が「ARISE」になるまで (2)
「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」場面カット
(C)1995 士郎正宗/講談社・バンダイビジュアル・MANGA ENTERTAINMENT
イメージを拡大
「K4」とは「第4の『攻殻』」という意味。正式タイトルが決まるまでのコードネームで、関係者の間では「K4企画」と呼ばれていた。
「『攻殻機動隊』から受けたインスピレショーンで自分のオリジナルを書くべきだとずっと考えていたので、はたして大元の作品に関わっていいのだろうかと考えました。ただ、石川社長も、同席したI.Gのプロデューサーさん達も、大体こちらが何を言うか読んできているので、瞬く間に反論されてしまい……(笑)。そこまでおっしゃるのでしたら、まずはイメージボードと企画書を拝見して、本当に作れるのかをみつつお受けしますと。そんなかたちで参加することになりました」
それから半年近く、企画の方向性を探るブレインストーミングの日々が続いた。今だからできる話として、「最初のうちは迷走していたと思います」と冲方氏は語る。
「やっぱり、みんな過去の作品に呪縛されてしまっているんですよね。どんなに打ち合わせを重ねても、最終的にでてくるのは『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』シリーズの続編や『イノセンス』の続編みたいなものになってしまう。こちらが出したプロット企画も通るのか通らないのか分からず、誰かが『それでいこう』と言うと、他の誰かが自分の『攻殻』論を語りだす……という感じでした。過去の作品に呪縛されたまま作ると、テイストは守れるかもしれませんが、自分達でコンテンツを消耗させることになるし、新しい味わいはなくなってしまう。そうすると、今回のために予算がでている必然性が崩れてしまうことになりますよね。そんなところをグルグルまわっているなかで、唯一、誰もこわがって触れなかったのが、士郎さんのイメージボードに描かれていた素子の過去だったんです」
「攻殻機動隊ARISE border:4 Ghost Stands Alone」場面カット
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
イメージを拡大
話し合いを進めるなかで冲方氏は、素子が仲間を集める話しかないと思っていったのだという。誰も見たことがない新しい「攻殻機動隊」を作るために素子の過去を描くのはよいのではと、総監督の黄瀬和哉氏、スーパーバイザーの藤咲淳一氏らも賛同し、度重なる会議の果て、公安9課の過去を描くことが決まった。
「最初、タイトルは『攻殻機動隊BEGINS』でいいんじゃないかと言ったら、どこかでかなり聞いたことがあるから他に変えてくれと(笑)。そこからウンウンうなって考えて、『攻殻機動隊ARISE』となりました。サブタイトルの『border』というのは心の状態ですね。精神が、ある状態を越えていくニュアンスです。そういうシンプルなところが決まって、ようやく具体的な脚本作りが始まっていきました」
作品情報
-
2029年3月、総理大臣暗殺事件という戦後最大の事件が発生した。被害者の中には草薙素子のかつての上司、501機関のクルツもいた。バトーやトグサたち寄せ集めメンバーと捜査を開始する草薙。「お前たち...
フォトギャラリー
フォトギャラリーへ
特集コラム・注目情報
関連記事
イベント情報・チケット情報
- 2023年6月22日(木)
- 2020年12月20日(日)
- 2020年12月20日(日)
- 2020年11月29日(日)
- 2020年11月28日(土)