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インタビュー 2016年2月12日(金)20:30

出し惜しみなしのオープニングが生まれた理由 「紅殻のパンドラ」名和宗則監督インタビュー

(C)2016士郎正宗・六道神士/KADOKAWA 角川書店/紅殻のパンドラ製作委員会

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近未来のリゾート島を舞台に、全身義体の少女・七転福音と、アンドロイド・クラリオンの活躍を描くテレビアニメ「紅殻のパンドラ」。女の子の可愛らしさとSF的世界観を巧みに両立させた、独特なノリが楽しい作品だ。「攻殻機動隊」の士郎正宗が原案、「エクセルサーガ」の六道神士が漫画を手がける原作を、「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。」「乃木坂春香の秘密」など、美少女ものを多く手がけてきた名和宗則監督が映像化に挑んでいる。制作まっただ中の名和監督に、どのように作品の方向性が決まっていったのか聞いた。

――監督を引き受けられた経緯を聞かせてください。

名和:「ハロー!!きんいろモザイク」の副監督をしているときに、Studio五組の柴田(知典)社長から「こういう原作があるんですが」と、声をかけてもらったのが最初です。士郎(正宗)先生、六道(神士)先生というビッグネームおふたりの作品であることにまず驚いて、「すごい原作がきたな」と思いました。また、士郎先生原案ということは、SF的要素が強いだろうという印象もありましたので、これまで自分が監督として手がけてきた女の子メインの作品とは少しテイストが違うなと。どういう意図で自分にこの作品を振ってきたのだろう、とも思いました。

――実際に原作を読まれて、どう思われましたか。

名和:本編でも触れられていますが、この作品は「ガール・ミーツ・ガール」の物語でもあるんですよね。そこに特化して女の子メインのかたちにしていければ、自分がこれまで培ってきた経験を生かして作っていけるのではないかと思ったんです。その後、KADOKAWAの伊藤(敦)プロデューサーとお会いしたときにも今と同じようなことをお話したところ、意見が合致しまして、正式に監督として就任させていただくことになりました。

(C)2016士郎正宗・六道神士/KADOKAWA 角川書店/紅殻のパンドラ製作委員会

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――実際に映像化するにあたって、どのようなプランで進めていかれたのでしょうか。

名和:最初は、原作の要素を残しつつも、アニメならではの基礎フォーマットを作ってシリーズを回していく可能性も考えました。毎回何かしら事件がおき、パンドーラ・デバイスを使って色々な職業に変身して解決するという、自分の世代でいうと「(魔法のプリンセス)ミンキーモモ」みたいな感じですね。最終的には原作の流れをくんで作ることになったのですが、そうなると3DCGを使ったメカニックやアクション描写は、どうしても外せない。ただ、監督である自分も、制作のStudio五組も、2Dのキャラに3DCGのメカがここまで絡む作品を、これまであまり手がけてこなかったので、その辺りのノウハウが薄かったんです。どのようにすれば円滑に作業が進むのかというところから、3D班や撮影会社さんの協力を仰ぎつつ、試行錯誤しながら現場を作っていきました。

――先行してイベント上映もされた1話と2話は、原作漫画にある細かな描写が忠実に再現されているのが印象的でした。相当なご苦労があったのでは?

名和:シリーズ構成の段階から、「1~2話で、ここまでやりたい」というのは皆の間で一致していました。ただ、実際にシナリオにおこしていくと、とにかく情報量が多い。ストーリーを進行させていくための要素も多いですし、キャラクターを見せていくための小ネタ的なものも、六道先生が細かく原作に描かれている。こちらとしては、あれも描きたいこれも描きたいと欲張ってしまうのですが、やはり尺のことを考えると削らないといけない部分は出てきて、その削り加減には最初苦労しました。例えば、自分の本来の感覚でいうと、序盤には島全体の描写などをもっと入れておきたいところなんです。これから主人公たちが生活する場所がどんなところか、もう少し絵的に描写したいのだけれど、単独でそうしたカットは入れ込めないぐらい要素がパンパンにつまっていて。なので、キャラクターが会話している後ろに町並みを流したりして、なるたけ背景を見せるようにしたりしています。

――2話から流れたオープニングも楽しかったです。原作コミックのかなり先に出てくる描写もある、サービス満点な内容に驚きました。

名和:オープニングの絵コンテ・演出をお願いした高橋亨(「いなり、こんこん、恋いろは。」監督など)は、専門学校時代の同期なんです。オープニングを頼むにあたっては、自分から「このキャラクターは登場させておいてくれ」という指定をしたんですが、打ち合わせのときに「他のキャラクターは登場させたら駄目なのかな。ネタバレになる?」と聞かれて、「ネタバレか……」とちょっと考えたんですよね。1クールしかない作品のオープニングで、はたして出し惜しみをする必要ってあるんだろうかと。で、ここはもう出血大放出で、ある程度先のネタも絵として入れていいんじゃないかという考えに至り、今のようなてんこ盛りの内容になりました。映画の予告編でも、実際に本編を見たら「あの絵、実はラストカットだったのか!」みたいなことってあるじゃないですか。これから本編を見ていって、「オープニングのあの絵は、この話数のことだったんだ」という風に楽しんでもらえたらなと思っています。

――最後に、現時点での手応えと、中盤に向けての見どころを聞かせてください。

名和:昨年末のイベント上映とは違って、不特定多数の方が見るテレビオンエアでどのように受け取られるのか少し不安でしたが、ツイッターでの反応などを見ると、おおむね好意的に見ていただけているのかないう印象です。今後も、お話は序盤と同じテイストで進んでいって、後半にはさらに個性豊かなキャラクターが登場していきます。1~2話を見て面白いと感じてもらえたのであれば、残りの話数もより面白く見ていただけるのではないかなと思っています。

作品情報

紅殻のパンドラ

紅殻のパンドラ 16

「全身義体」の少女、七転福音は、親類を頼って人造のリゾートアイランド「セナンクル島」に向かう。そこで待っていたのは重武装のテロリストや大量破壊兵器が跋扈する、途方もない「新生活」?だった。

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