2016年8月22日(月)19:00
「傷物語〈Ⅱ 熱血篇〉」主演・神谷浩史インタビュー 7年間もの蓄積が描き出す、始まりの阿良々木暦
(C) 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
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8月19日から公開される〈物語〉シリーズ劇場版最新作「傷物語〈Ⅱ熱血篇〉」は、シリーズの主人公・阿良々木暦が、いかにして吸血鬼・キスショットの眷属になったのかという、シリーズ始まりのストーリーを描く3部作の第2部だ。今回は同作の公開にあわせて、主人公の暦を演じる声優・神谷浩史に収録の裏側や作品の見どころを語ってもらった。
09年放送のテレビアニメ「化物語」以来7年間にわたって暦を演じ続けてきた神谷は、尾石達也監督から「僕よりも暦のことを理解していると思う」と、劇場版3部作における暦のキャラクター造形を一任された。当初2012年とされていた公開予定を延期し、4年もの歳月をかけて作品を準備してきた尾石監督から想いを託され、重責と役者冥利の双方を感じつつ神谷は収録に臨んだという。
そんな「傷物語」3部作で、物語の時間軸では最初期となる暦を演じるにあたり、神谷が特に心がけたことはあるのだろうか。
「『化物語』で最初に暦を演じた時の印象は『誰かと会話しているところが想像できない少年』でした。今作は『化物語』の前日譚ということで、当初の印象に立ち返っています。現在の、ヒロインたちと楽しく会話している暦を知っている視聴者の方には、逆に新鮮に感じていただけるかもしれません。もしも違和感を抱いていただけたなら、それで正解なのかなと思っています」
7年間の蓄積が「傷物語」での暦像に与えた影響もあった。神谷は「たとえば『傷物語』で印象的な“友達はいらない。人間強度が下がるから”というセリフの裏付けは、(15年放送の)『終物語』で明らかにされました。それを知った上で、このセリフを口にするのと、そうでないのとでは表現が違っていたはず。当初の予定通り12年に公開されていたよりも、もっといいお芝居ができたんじゃないかと思います」と胸を張る。
(C) 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
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キスショットとの出会いを描いた「鉄血篇」に続く今作「熱血篇」は、暦とドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッターといったヴァンパイア・ハンターたちとのバトルがストーリーの主軸となる、シリーズ屈指のアクション大作だ。その壮絶さたるや、神谷が「精神的に人間のままの暦にとっては『絶対に勝てない』強大な相手。原作を読んでいる方には勝敗がわかっているはずですが、それでもなお『これは勝てないかも』と思わせる展開になっています」と語るほど。
「一瞬でも油断すると死ぬ」と言う緊張感を感じながら演じたというバトルシーンでは、暦の必死さを表現するために、絵が動いているところすべてに、息による演技を付けるというアプローチが試みられた。それに対し、戦いの年季の差から泰然とした芝居を求められたドラマツルギー役の江原正士は「そんなに一生懸命だと、こっちも全力を出したくなる」と漏らし、神谷を羨ましがっていたのだとか。また、絵がない状態での収録もままあるテレビシリーズとは違い、今作では絵が完成した状態で収録に臨めたため、キャラクターが向いている方向や、階段の登り降りなどの動作、走る速さなどに合わせて呼吸の仕方を変える、という細かなこだわりもふんだんに盛り込んであるという。
(C) 西尾維新/講談社・アニプレックス・シャフト
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なお、江原とギロチンカッター役の大塚芳忠は「傷物語」がシリーズ初出演。大先輩であるベテラン声優2人に、神谷からお願いしたことがあったという。「『すべてが西尾維新さんの著作から発生している』というポリシーの上に成立している〈物語〉シリーズでは、たとえ正しいニュアンスでお芝居をしていても、一字一句が原作通りでないといけません。“だけれど”が“だけど”になっただけでNGになってしまう現場なんです。そのルールをおふたりに説明させていただき『ちょっと変わった作品なので、よろしくお願いします』と」
バトルのみならず、神谷が「めちゃくちゃカワイイ。絶対に好きになってしまうはず」と絶賛するヒロイン・羽川翼との青春ドラマも「熱血篇」のハイライトだ。「暦が羽川に『本当に――ありがとう』とお礼を言うシーンは台本に“キザに”という指示があったくらい、ロマンティックに描かれていて、そのおかげで羽川の魅力が一層際立っています。ところが、それは原作での表現とは大きく違っていて、暦は後々『化物語(つばさキャット)』で、ブラック羽川に“俺のご主人、お前のことが、好きにゃんだにゃん”と言われた時に、“そんなこと思いもよらなかった”と、がく然としなければいけない。美しい映像に対して、実は暦の気持ちのほうが追いついていないんです。そんな映像と原作(文章)との不一致や違和感を、間に立つ者として表現することには特に力を入れました」。神谷が「暦の中で一番繊細に扱われている」と考える、羽川との関係のスタートラインが描かれる作品だけに心理描写も周到だ。
見どころ満載の「熱血篇」だが、神谷が特に印象的なのは、羽川がとあるアイテムを暦に手渡すシーンだという。「とんでもないものを渡しているのに、ものすごくいいシーンなんですよ。絶対感動的に見えないはずなのに(笑)。西尾維新さんとスタッフのみなさんは天才だなと痛感しました」
最後に神谷は「アニメーションの本質である“動”のバトルシーンと、美しい“静”の青春シーンのメリハリがとても心地いい作品に仕上がっています」と作品のクオリティに太鼓判を押し、「本来ならば4年前に公開されているはずのものを、ここまで引っ張ってでも見せたかった“何か”がギッシリと詰まった、80本近くある長いシリーズの始まりの物語を、ぜひご自身の目で確かめていただきたいです」とアピールした。
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高校二年の春休みに、美しき吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会った阿良々木暦。四肢を失い、瀕死の状態にあった彼女を助けた暦は、しかし自らも吸血鬼になってしまう。人間...
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