「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」でララァ演じる早見沙織、シャア役・池田秀一に導かれ収録という名の“戦場”へ

イメージを拡大

「機動戦士ガンダム」でキャラクターデザインを務めた安彦良和が総監督を務め、自身の漫画をアニメ化する第4話「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅳ 運命の前夜」が、11月19日から2週間限定イベント上映される。同作は、テレビシリーズで描かれた大戦、「一年戦争」以前のエピソードをつまびらかにする、「シャア・セイラ編」の最終話。地球に向かったシャア・アズナブル（キャスバル・レム・ダイクン）と、ニュータイプの少女ララァ・スンの出会いや、史上初のモビルスーツ戦など、一年戦争の開戦前夜にあたるエピソードが描かれる。今回は、「宇宙世紀」シリーズきっての重要キャラクターであり、「運命の前夜」からいよいよ登場するララァ役を務めることになった声優・早見沙織に、収録の舞台裏を聞いた。

1979年のテレビシリーズ「機動戦士ガンダム」をはじめ、過去シリーズでは潘恵子が主に演じて来たララァ役に抜てきされた早見。2011年の「機動戦士ガンダムAGE」、13年の「ガンダムビルドファイターズ」への出演を経て、ガンダムシリーズの常連となりつつある彼女でも、シリーズの原点とも言うべきストーリーが語られる「THE ORIGIN」への参加、しかもララァという大役を演じるに当たっては、大きなプレッシャーがともなった。だが、シャア役を務める大ベテラン・池田秀一が、その緊張を解いてくれたのだという。「緊張いっぱいでスタジオに入った私に、池田（秀一）さんはスッと手を差し伸べて、あいさつをしてくださいました。そのおかげで、肩の力がスッと抜けたのをよく覚えています。収録の際にも池田さんは、今作でのララァが、テレビシリーズでは見せていない一面をうかがわせていることなどをレクチャーしてくださいました」と語る早見。池田と早見の姿は、作中におけるシャアと、彼に手を引かれ自身の歩むべき道を見出したララァにも重なる。

収録にあたり早見は、これまでのシリーズ作品でララァを演じてきた潘の芝居をそのままなぞるのではなく、潘のララァを参考に、そこから自身が感じとったキャラクターを表現したという。「私は（1981年から公開された）劇場版三部作から『ガンダム』に入りましたが、きっとテレビシリーズや劇場版などでは描かれていない人間性が、ララァにはあるんだろうなと思いました。今作では、少女らしくはしゃぐララァの姿も見られ、これまで知らなかった一面を垣間見ることができたように感じています」。なお、収録に際してスタッフからは、ララァの過酷な生い立ちを踏まえて、他人に対する「壁」を表現するべく「人慣れしすぎないように」とのオーダーを受けたという。

くしくも、早見がこれまでに演じてきた「ガンダムAGE」のユリン・ルシェルや「ビルドファイターズ」のアイラ・ユルキアイネンは、特殊能力を持ったミステリアスな少女で、主人公と心を通わせながらも、やがては敵として対峙することになるという、ララァに通じるキャラクターだった。しかし、早見としては各キャラクターのつながりをことさら意識することはなく、むしろ未来の戦争を描く「ガンダムAGE」と、シリーズ作品を俯瞰的視点から見る「ビルドファイターズ」という、大きく趣の異なる作品に出演したことで、ガンダムというシリーズの懐の広さを思い知ったのだという。

そんな早見が、今作のお気に入りの場面としてあげるのは、PVにも収録されている「ララァとシャアが星を見ながら会話しているシーン」。そのほかにも、とある人物の結婚秘話が描かれており、それが、シリアスなシーンの多い今作においては微笑ましいアクセントになっているのだという。

イメージを拡大

ララァの運命を大きく左右するシャアへの印象を聞くと、早見は「『アムロが主人公でシャアが敵』というレベルだった私の『ガンダム』への認識が、すっかり変わってしまいました。勉強疲れで寝てしまったガルマに上着をかけてあげるシーンや、訓練の際に雨よけを作ってあげるシーンなど、とても優しくて、私が思っているライバル像とはまったく違うものだったんです」と驚きを明らかに。「池田さんの声が、とても温かく穏やかなことが、ただの敵役ではないシャア像を完成させているんですよね」と納得の面持ちを見せながら、「私自身、時折見せるシャアの優しさに『いい人なのかも』って思ってしまいます。そんな話を収録現場でしていたら、横で聞いていた池田さんが『それは君がララァだからだよ』って（笑）」と微笑んでいた。

「機動戦士ガンダム THE ORIGIN Ⅳ 運命の前夜」は新宿ピカデリーほかにて、11月19日から2週間限定イベント上映。Blu-ray初回限定版、上映劇場にて先行発売。「全国上映劇場舞台挨拶キャンペーン開催」