2017年8月25日（金）20:30

「魔法陣グルグル」OPを歌うORESAMA　特に気をつけているのは「89秒で伝える」こと (2)

――レトロなものといいますと、具体的にどんな作品がお好きなのでしょうか。

ぽん：私は「うる星やつら」が大好きです。「Dr.スランプアラレちゃん」「スラムダンク」なども好きで、あの頃のセル画の感じがたまらなくて。小さい頃、家にひとりでいることが多くて、母がさみしいだろうとアニメのCSチャンネルを入れてくれたんです。

――ああ、なるほど。懐かしのアニメをよくやりますものね。

ぽん：ずっとCSでアニメを見ていて、80年代から90年代のアニメが大好きになりました。でも、1994年に作られた「魔法陣グルグル」のアニメはCSでは見ていないんですよ。なぜか家にビデオがあって、それを見て出合いました。

――小島さんは、どんな音楽がお好きなのでしょうか。

小島：僕は、70年代終わりから80年代にかけてのディスコミュージックが好きですね。最初のきっかけは、シックというバンドのギタリストをしているナイル・ロジャースという人で、彼の演奏を聴いて「こんなに格好よくギターを弾く人がいるんだ」と思ったんです。そこから掘り下げていくうちにディスコというジャンルに出会い、シック、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、スライ＆ザ・ファミリー・ストーンというグループを知りました。ディスコにブラックミュージックの要素が入った音楽が特に好きです。

――他のインタビューで、ダフト・パンクがお好きだと話されていましたが、今の音楽でディスコ的なものをやるのがお好きなんですね。

小島：そうですね。フランスのフレンチ・ハウスというジャンルでは、昔のディスコ音楽などをサンプリングして再構築する音楽で、ダフト・パンクもその中のひと組だと思います。ディスコが流行っていた当時のバブリーな感じにちょっと憧れを抱いていまして、それで好きになっていったところもあります。

――おふたりには、本来の年齢で出合うであろうアニメや音楽から離れたものがお好きという共通点があるのですね。

ぽん：言われてみるとそうですね。本当にたまたまなんですけれど。私たちの音楽も、ある意味、レトロと現代をハイブリッドさせることをやろうとしています。

小島：僕は新しいものも好きなんですが、そのなかに昔の要素が「匂う」ものを特に尊敬するんです。レトロのままでやったら昔の人にどうやっても勝てませんから、今の音楽とレトロなものを上手く混ぜ込んで構築できたらなと思っています。

――アニメの楽曲を作られるとき、特に気をつけていることがあったら聞かせてください。

ぽん：特に気をつけているのは「89秒で伝える」ことですね。ある意味、そこが全てかなと思うところもあります。アニメのオープニングが、私たちの音楽との最初の出合いになることが多いですし、そこで「いい」と思ってもらえたら全部聴いてもらえますから。

小島：音楽には、同じフレーズを1分半ずっと繰り返すような表現もありますが、アニメのオープニングの場合は89秒という制約のなかで、どれだけ人の心をつかみ、自分たちなりの世界観を表現できるかが大事になります。なので、普段の曲を作るよりも頭を使うというか、限られた尺のなかでパズルのように考えながら作っていますね。ここで1秒長くなってしまったぶん、どこを1秒縮めようか、それともテンポを速めようかとか、音楽的に破綻しないように考えながら楽しく作っています。

――例えば、「Trip Trip Trip」ではどんな工夫をされているのでしょう。