2017年9月15日(金)20:00
「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」京田知己総監督に聞く「メカアニメーターたちの仕事をアピールできる場所を作りたかった」 (2)
(C) 2017 BONES/Project EUREKA MOVIE
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――後半パートでは、レントンとビームス夫妻の物語が展開されます。テレビシリーズでも人気のエピソードでしたが、今回改めて、そこに焦点を当てたのはどうしてなのでしょうか。
京田:そうしたのは様々な事情があったからでもあるのですが、あえて技術的な面から言うと、ひとつはエウレカが画面に出てくる機会が少なかったからなのです。エウレカというキャラクターは、ご存知の通りエピソードが進むにつれてデザインも変化していくキャラクターです。それはテレビシリーズとしては有効な手段でしたが、映画という短い時間の中で考えた場合、次々とデザインが変わることがキャラクターのアイデンティティを不安定にさせる要素にもなってしまいます。もちろんデザインを統一するように作画の修正を行うという方法もありましたが、それを行ってもスケジュールと予算、そしてクオリティの保証に見合ったものになる可能性が低く、諦めざるをえない。そんな状況から逆算する形で「エウレカが出なくても、エウレカというキャラクターが鍵となっているように見える話」を作る必要がありました。
幸いにして、先行して制作が進んでいた冒頭30分「サマー・オブ・ラブ」のシークエンスでチャールズとレイに大きくフォーカスを当てていたこともあり、また前述したように”家族の話”が主人公レントンの物語の基盤である以上、ビームス夫妻の話を中心に据えることになるのは必然だったと思います。
――後半パートのストーリーの大筋はテレビシリーズを踏襲していますが、一方で、「ハイエボリューション」3部作としての世界観設定は、テレビシリーズから大きく変更されていますね。
京田:変更した、というよりも練りこんだと言った方が正しいかもしれません。今回は、SF設定にスタジオぬえの森田繁さんに入っていただき、テレビシリーズの頃からやりたかった舞台設定……星のサイズから社会システム、軍組織などを、細部に至るまで半年以上かけて作り込みました。当然、舞台となる世界の緯度や経度も計算していますし、劇中で登場するテロップについても、できる限り正確な描写や位置関係が書かれています。とはいえ、設定を描写するのが目的の作品ではありませんので、それらを完全に読み込んでもらう必要はありません。これらはあくまでも、レントンやチャールズ、レイたちといった登場人物が、この世界で生きて存在しているということを感じとってもらうための補助線なのです。補助線の解析も楽しいのですが、まずは主旋律のレントンの話を見ていただきたいですね。
――次回予告では、度肝を抜かれてしまいました。「2」では、本当に予告で描かれていることをやるのでしょうか。
(C) 2017 BONES/Project EUREKA MOVIE
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京田:その質問は野暮だと思いますが、答えられる範囲で言えば、基本的に「2」では、ああいうことをやります、という意思表示だと思っていただけたらと。制作中ということもあり、また様々なセクションの才能が、面白いフィルムになるよう、日々アップグレードを行っているところですので、結果として印象が異なるものになるかもしれません。それも踏まえて、どんなものになるか楽しみにしていただけたらと。
――最後に、ファンの方へのメッセージと「2」「3」への意気込みをいただけますか。
京田:作り始めた頃は、もっと王道のボーイミーツガール映画を目指していたのですが、諸般の事情でかなりトリッキーな構成の映画に「1」はなりました。それはそれで楽しんでいただけるものにはなったのではないかと思っています。また、その制作過程を経て、ようやく態勢を整えることができてきましたので「2」「3」では、よりエンターテインメント映画であり、かつ「エウレカセブン」らしい「エウレカセブン」を目指したいと考えています。映画という形ですので、ちょっと間は空いてしまいますけれども、ぜひ最後までお付き合いしていただけたらと思います。
作品情報
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10年前、世界を揺るがせた大事件「ファースト・サマー・オブ・ラブ」が起こった。そこで父アドロックを失った息子のレントンは今、辺境の街ベルフォレストで塔州連合軍軍学校に通っていた。英雄と讃えられる...
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