「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」EDテーマを歌う茅原実里　石立監督の挨拶に触発された歌詞

イメージを拡大

京都アニメーション制作のテレビアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のエンディング主題歌「みちしるべ」は、茅原実里が作詞も手がける楽曲。タイアップ曲の作詞がはじめての彼女が参考にしたのは、第1話のアフレコ前に行われた石立太一監督からの挨拶だった。

――「みちしるべ」は、ピアノの伴奏だけのシンプルな楽曲で、歌いだしからハッとさせられました。ご自身が作詞も手がけられていますが、どんなふうにつくっていったのでしょうか。

茅原：エンディング主題歌を担当することが決まって、いつもお世話になっている作曲家の菊田大介さんが作ってくださった楽曲をいただきました。そのときに、「作詞を実里ちゃんがしてみたら？」とプロデューサーに言われまして。アニメのタイアップ曲で作詞をした経験がなかったので、すごくプレッシャーを感じたのですが、曲を聴いて「歌詞を書いてみたいな」と素直に思えたので、挑戦させてもらいました。
　原作を読むと、主人公であるヴァイオレット・エヴァーガーデンの生き様に感動しました。彼女にとって、戦時中にともに過ごしたギルベルト少佐の存在がとても大きく、彼の存在がヴァイオレットにとって人生の道しるべになっていて。ヴァイオレットをとおして感じたのは、自分も含めて誰もが長い人生のなかで出会う家族や友達、恋人、そういった特別な人達の存在が、未来を照らしてくれる道しるべになっている瞬間がたくさんあるんじゃないかなってことです。なので、自分の人生を振り返りながら、私を支え続けてくれている家族や友達、大切な人を思い浮かべながら詞を書きました。監督のダッティとも打ち合わせをさせてもらって。

――石立監督のことを「ダッティ」と呼ばれているのですか。

茅原：はい。いろいろな作品でお世話になっておりますので（笑）。

――茅原さん以外の方も？

茅原：呼んでいないかもしれないです（笑）。でも、私はアニメ「境界の彼方」でお世話になったときから「ダッティ」って呼んでいます。ダッティは素朴で真面目で優しくて、作品愛に溢れているとても素敵な監督さんです。今回、実は作詞に取りかかる前に、第1話のアフレコ見学に行かせてもらったんです。私が演じるキャラクター（※エリカ・ブラウン）の出番はまだなかったのですが、何か作詞するヒントが見つかるかな？　と。そのときに、ダッティが最初の挨拶でキャストに向けて、「ヴァイオレット・エヴァーガーデンは子どものような存在で、彼女の成長物語でもある。父性をもって彼女を見守って欲しい」というようなことを話されていたんです。なので、「親心」というものを詞の中に取り入れてみようと思いました。親が子どもを思う心、子どもが親を思う心……。エンディング曲ということもあったので、俯瞰から作品を包み込めるような深い愛をテーマにすることにしました。

――レコーディングは、いかがだったでしょうか。

茅原：曲がシンプルなぶん、とても難しかったです。アニメ本編には儚くて悲しいお話がいくつも詰まっているので、作詞の時と同様、エンディング曲の役割として、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」という作品を、希望をもって優しく包みこめるようなボーカルにしたいなと思って臨んだのですが、なかなか歌に余裕がもてなくて。とくに1コーラス目は歌とピアノのみなので、なかなか理想どおりには歌えなくて……。もどかしい思いを抱きながらテイクを重ねていきました。時間をかけたぶん、納得のいく歌になりましたが、集中力をすごく使ったので疲れました（笑）。

――とてもいい余韻を感じさせてくれる楽曲になっていると思いました。

茅原：ありがとうございます。メロディもアレンジも本当に素晴らしいですよね。最初は、こんなにも素敵な物語のタイアップをいただいて、しかも自分で作詞させてもらえることにプレッシャーを感じていましたが、今となっては本当に書かせてもらってよかった、挑戦させてもらってよかったと心から思っています。