2021年3月29日(月)19:00
細谷佳正が「NOMAD メガロボクス2」の収録で手放していったもの
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ボクシング漫画「あしたのジョー」を原案に、肉体と強化外骨格(ギア)を融合した究極の格闘技に生身で挑む男“ギアレス・ジョー”の生きざまを描いたテレビアニメ「メガロボクス」。その7年後を舞台にした続編「NOMAD」は、伝説のチャンピオンになったはずのジョーが名前を“ノマド”に変え、再び最下層の地下リングで戦うところからはじまる。はたして彼に何があったのか――。
ジョー/ノマド役の細谷佳正に、一問一答形式のメールインタビューで役への取り組み方をうかがった。(質問作成・文:五所光太郎/アニメハック編集部)
――「ネトフリアニメ部」に出演されたさい、「(当時)声優の仕事をしてやりたかったお芝居を『メガロボクス』で全部やりきれた」と話されていました(https://twitter.com/NetflixJP_Anime/status/1233346103841640448)。2018年に放送された前作を振り返られて、収録を終えたときのお気持ちをあらためてお聞かせください。
「メガロボクス」の収録を終えた時点では、ジョーと勇利の勝負の結果はわかりませんでした。
「あしたのジョー」に対する作品の敬意は、収録時から感じていたので、2人の拳が交差してお互いにパンチをもらい、相打ちなのかと想像していたのかも知れないです。「あしたのジョー」にそういったイメージを持っていたから。
実際に上がりを見た時に、アフレコ時にはなかったテロップが付いていて、それでジョーが勝った事を知りました。
森山洋監督には、個人的に、極めて勝手な想像なんですけど、「セオリー通りにはしない人」みたいなものを何処かで感じていたんだと思うんですね(笑)。だからジョーが勝ったと分かった時は、「あれっ?」という感覚がありました。ジョーは好きな役だったので、もっと喜べるかとおもったんですけどね(笑)。「あれっ?」でしたね(笑)。
――同じく「ネトフリアニメ部」で、「メガロボクス」のジョーは、細谷さんがお好きな「カウボーイビパップ」の主役、スパイク・スピーゲル(CV:山寺宏一)にインスピレーションを受けた部分があるとおっしゃられていました。どんなところで影響を受けられたのか、よろしければお聞かせください(セリフ以外の「言外」のニュアンスを大事にされているところなどが、そのひとつなのかなと感じました)。
第1話のアフレコ映像を確認した時に、「『カウボーイビバップ』だな」と直感的に感じたんだと思います。脚本に書かれたジョーの台詞の「リズム」というか、七・五調で言うところの「調子」みたいなものに、ある種のナルティシズムみたいなものを感じました。
「キザ」に表されるような甘さではなくて、もっと苦々しくて使い古されたような、くたびれや綻びみたいものがあって、でもそこにある種の美しさみたいなものがある気がしました。
それが何か似てると、僕は感じたんですよね(笑)、スパイク・スピーゲルに。
比べる事自体、僕は無意味だと思うし、とても大それた事だとわかってはいるんですけど、矢吹丈はあおい輝彦さんが演じられていて、比べ物にならないのに、でも比べられると思ったんですよ。視聴者の方はそう観るだろうなと。「あしたのジョー」への敬意を持った作品だから。
だから、その時は35歳だったかな?……35年間生きて来た中で出会った、自分が最もカッコいいと思った人間やキャラクターを全部、「ジョーを作るために使おう」と思ったんだと思います。
それが、スパイク・スピーゲルに自分の中では似ていたのかも知れないですね。
髪型とかね(笑)。
――本作発表時のコメントで、続編の話を聞いたときに「(アフレコ当日まで)何も思わないようにしていました」とおっしゃられていました。何も思わないようにされたということは、意識しないと何か考えてしまうということだったのかなと想像しました。そのあたりのアンビバレンツなお気持ちを、もう少し詳しく聞かせていただけるとありがたいです。
そうやって良いイメージで見て頂けているのは大変ありがたいのですが、本当に何も思ってなかったんですよ(笑)。期待を全くしてなかったんですね(笑)。どんなに想像をしたところで、台本の中身や映像が「自分の想像」とかけ離れていたら意味ないじゃないですか(笑)?
なので、本当に何も考えてなかったです。考えすぎて疲れたくないじゃないですか(笑)。
「映像みれば分かるし、その場に行けばやるんだし」と思っていましたね。
でも……キービジュアルというか、予告PVみたいなのがあって、それを見た時に「このヒゲの男は…森山洋監督かな?」とは思った様な気がします。
――綺麗に終わった「メガロボクス」の続編をどうつくるのだろうと思っていましたが、3話まで拝見してとても感銘をうけ、続きが楽しみになりました。細谷さんが序盤の台本を読まれたときのご感想を聞かせてください(本作は予備知識なしで見たほうがより楽しめると思いますので、具体的なご感想というより、受けられた印象をお答えいただけると大変ありがたいです)。
ありがとうございます。そう思って頂けるのは嬉しいです。
最初に思ったのは、「あのヒゲの男は森山監督じゃなかったのか……果たして本当にそうなのかな?」でした(笑)。
もう一つ思った事は、森山洋監督が制作した実写映画を観てみたいな、でした。
――発表時のコメントで、「いろんなものを手放す」ことを自身に課したとおっしゃられていました。今回のジョーが「ノマド」という名前をもっていることとも関係するのかなと思ったのですが、どのように「いろんなものを手放」されていったのかもう少し詳しくお聞かせください。
承認欲求というのが、一番近いかもしれないです。
全てがそうではないけれど、大半はそうだなと自分がただ感じているだけなんですけど、よく「セリフに〇〇を込める」と言う言葉が出てくるんですよ。働いてると。
これ、誠実にみえるんですよ、僕には。一見。
でも、結果ではなくて、原因がそうあればいいじゃない? と僕は思うんですよね。
何でもありなのは前提としてね。
作品の種類による話だとは思うんですけど、それをするには、自分の場合、持っていても仕方ないものがあった、という事なんだと思います。
――アフレコのさい森山洋監督とお話されたこと、森山監督からの言葉で印象に残っているものがありましたら、お聞かせください。
僕「大変ですね」
森山監督「大変ですよ」
僕「大丈夫そうですか?」
森山監督「大丈夫です」
これくらい、めちゃくちゃ会話は少なかったですね(笑)。
――発表時のコメントで「制限の多い部分はありました、それでも何とか大事なものは維持しながら、創る事が出来たのではないか? と思います」とおっしゃられていました。「制限の多い部分」とはどんなところだったのか、お話できる範囲でお聞かせください。
ソーシャルディスタンスを取るために、スタジオ内で同時に音声収録出来る人数が限られていた事、それが制限でした。
それでも同じシーンに出演している演者の皆さんと、可能な限り同時収録できるように、音響制作の方々が尽力して下さっていました。
「大事なもの」というのは一緒に台詞のやりとりが出来た、という事だったと思います。
――前作以上に、ノマド/ジョーの言動には「痛み」のようなものが感じられました。演じられたあとも役を引きずってしまうような内容だとも感じられましたが、アフレコ後にどのように気持ちを切り替えられた(もしくは切り替えられなかった)でしょうか。
役を引きずるタイプではないんです(笑)。
「演じる」という感覚を、「使う事」はしていたと思いますが、作品を作っていたという感じなので。そんな高尚な演者では、自分はないです(笑)。それが高尚かどうかもよくわからないですが(笑)。
「絵を描いている」という感覚が、言葉で表現するとしたら、一番近い感覚かもしれないです。
――序盤に登場するチーフ(CV:田中美央)がとても良いキャラクターで、ジョーとの会話で出てくるセリフ「生きることは恥ずかしいことじゃない」など、とても心に残りました。これから見る方の興をそがない範囲で、チーフというキャラクターについて思われたこと、田中美央さんとの共演で思い出深いことなどありましたら、お聞かせください。
田中さんの声優デビュー作にご一緒させて頂いていたんですよ。その話を空き時間によくお話されていました。昔話というか、和やかでした(笑)。
優しい雰囲気の中に、他者に対してではなく、自分の仕事、自分の芝居に対して向ける、ギラギラした鋭さの様なものを持っていらっしゃる、素晴らしい演者さんだなと感じました。
あくまでも個人的な印象です。
田中さんは、今買って履いたのかな? と思うくらいいつも綺麗な白いスニーカーを履いてらっしゃって……あくまで記憶ですけど、それが印象に残っています。
――前作を見た方、また前作を見ていない方に向けて、本作のお勧めポイントを教えてください(もしくは、最後におっしゃられたいことを自由に書いていただけるとありがたいです)。
「NOMAD」って、遊牧民という意味があるらしいんですけど、最初ノマドワーカーを連想したんですよね。
僕、今年で多分フリーになって7年目? だったと思うんですよ。
No Madって表記したら、「まだ狂ってはいない」「辛うじて正気」とか、面白いなと思います。
前作みてからのほうが、いいだろうなとは思います。
ですが、どんな形であれ、見て頂けたら嬉しく思います。
アニメハック公式Twitter、フォロー&RTプレゼントキャンペーン
<賞品>
細谷佳正さんサイン色紙、1名様
<応募期間>
3月29日~5月30日23:59
<応募方法>
1.アニメハック公式Twitterをフォロー。
2.公式Twitterがツイートした、プレゼント告知のツイートをRT(リツイート)。キャンペーン終了までフォローを外さないようご注意ください。
対象ツイートはこちら⇒
3.当選された方には、キャンペーン終了後、公式twitterアカウントからDM(ダイレクトメッセージ)をお送りします。
作品情報
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肉体とギア・テクノロジーを融合させた究極の格闘技“メガロボクス”。その頂点を決めるトーナメント“メガロニア”に、ギアを着けず生身の体で挑んだボクサー“ギアレス・ジョー”。最下層の地下リングからた...
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