2021年7月1日(木)19:00
梶裕貴と雨宮天が振り返るアニメ「七つの大罪」の7年と劇場版に感じた“「大罪」らしさ”
「週刊少年マガジン」連載の人気ファンタジー漫画を原作に、2014年から約7年にわたって展開されてきたアニメ「七つの大罪」シリーズ。20年に完結した原作漫画を最後までアニメ化し、「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」(7月2日公開)では原作者の鈴木央氏描き下ろしオリジナルストーリーで、テレビアニメ最終章の“その先”が描かれる。メリオダスとその弟ゼルドリスを演じる梶裕貴、エリザベス役の雨宮天に長期にわたったアニメシリーズの思い出とフィナーレを飾る劇場版への思いを聞いた。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――アニメ「七つの大罪」シリーズを振り返って、どう思われますか。
梶:これだけ長い期間、メインキャラクターの声優として作品に関わらせていただくのは初めての経験でしたので、本作とご縁があったこと自体に、本当に感謝しています。継続して演じ続けることの喜びや難しさを感じることのできた、恵まれた機会となりました。イベント等も含め、キャストやスタッフの皆さんと時間を共有しながら、役者として、1人の人間として、作品と全力で向き合ってきたこの7年間は、僕の人生にとって間違いなく、かけがえのない財産になったと感じています。
(C) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
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雨宮:最初のテレビシリーズのときは、まさかこんなにも長くやらせていただけるとは思っていませんでした。その後原作が完結して最後までアニメ化されることになり、最後までエリザベスを演じることができたのは本当にありがたいことだと実感しています。
演じてきた年数分、エリザベスの目をとおして世界を見せていただいたような感覚があります。自分とはまったく違う性格の彼女が世界を見て感じているからこそ、「こういう見方や感じ方があるんだ」と知ることができて、声優としていろいろな感情を勉強させていただきました。
(C) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
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――雨宮さんは、エリザベスとご自身の性格のどんなところが違うと感じられているのでしょうか。
雨宮:エリザベスはみんなを救うために戦いますが、私だったら相手を倒すために戦ってしまうかなと……(笑)。
梶:それはだいぶ違うね(笑)。
雨宮:私自身にはエリザベスほどの包容力はなくて、たぶん子どもっぽいんです(笑)。自分の感情を表にだすほうですし、どちらかというとまわりの人の包容力に助けられて生きてきたタイプですので、エリザベスにはまったく似ていないと思います。ものの感じ方も表現の仕方も違っていて、彼女の言動に共感はできないけれど、絶対に理解はしていたいとずっと思っていました。そのために何度も台本や原作を読みかえしながらアフレコに臨んでいました。
――今までの収録のなかで、印象的な出来事があったら聞かせてください。
梶:今はコロナ禍の影響で色々と難しくなってしまいましたが……それまでは毎年のように、まるで"お祭り"のような雰囲気のイベントも開催されていて、来場された皆さんと一緒に、我々キャストも弾けんばかりに盛り上がっていたのが記憶に新しいです。
「七つの大罪」に登場するキャラクターたちはみんな個性が強いですが……それとリンクするように、それぞれ声を担当する役者の個性もかなり強いメンバーが揃っていたように思います(笑)。お互いを尊重しながら、とてもいい空気感でアフレコができていました。コロナ禍になる前は、アフレコ後に、毎週のようにみんなでご飯を食べに行ったりしていましたね。
雨宮:行ってましたね。
梶:飲み会のときのリーダーは、バン役の鈴木達央さん。バンと達央さんは本当にそっくり! お酒が好きで、情に厚くて、友達を大事にする兄貴分。誰よりも役にシンクロした部分が多いように思います。達央さんを筆頭にスタッフ、キャストのみんなで飲みに行っていたのが懐かしいですね。
雨宮:テレビシリーズがはじまった当時、新人だった私は飲み会に行っていいのかどうかモジモジしていたんですけど、達央さんが「行きたいなら行こうぜ」と言って誘ってくださって。それからよくみんなで集まって飲むようになったのは、すごくいい思い出です。私は「七つの大罪」のアフレコ現場もなんだかクラスみたいだなと思っていて――。
梶:クラス、って学校の?
雨宮:そう、学校のクラスみたいだなって。音響監督の方が先生で、個性の強いクラスメイトの私たちがそれぞれ好き勝手に話していて、先生から「そろそろはじめるぞ」と言われてアフレコがはじまるという。みんな和気あいあいと、ときにはふざけあったりもして、いい意味で子どもっぽさのようなものがある楽しい現場だったなと思います。
梶:たしかに、作中の“豚の帽子亭”みたいに賑やかで楽しい現場だったよね。
梶が1人2役で演じるメリオダスとゼルドリス
(C) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
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――今回の劇場版では、テレビシリーズ最終章の「さらに先」が描かれます。劇場版の製作を知ったとき、どんなふうに思われたでしょうか。
梶:まずアニメとして、原作の最後までメリオダスを演じさせていただけたのが、とにかくうれしかったです。加えて、最終章のアニメ化とほぼ同じぐらいのタイミングで再び劇場版を製作予定だというお話を伺って……喜びも倍増でした! 劇場版の台本を読んだときに感じたのは「物語序盤の『大罪』らしい雰囲気がもどってきた!」という感触でした。和気あいあいとした賑やかな雰囲気も「七つの大罪」には欠かせない要素だと思いますので、それを感じられたのがまずうれしかったですね。それから……色々なすれ違いがあったとはいえ、これまでいがみあってきてしまったメリオダスとゼルドリス。そんな兄弟2人の共闘している姿を見られたのが、なんとも感慨深かったです。グッときましたね。まぁ、ということは同時に、台本にはメリオダスとゼルドリスの台詞がたくさん並んでいるわけでして……ここまでの分量を自分の役どうしで掛け合ったのは初めてだったので、結構大変でした(笑)。自分の声優人生の中でも、かなり貴重な経験となる1人2役。難しさもありましたが、なにより有り難く……そして、楽しかったです! この作品をもって「七つの大罪」を締めくくることができ、本当に幸せです。
雨宮:私は劇場版をやるという話を聞いたとき、まず「今回はエリザベスの出番がたくさんあるといいな」って(笑)。
梶:前回の劇場版では、お話の関係上なかなか出番が少なかったからね。
(C) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪」製作委員会
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雨宮:そうなんです。今回の台本を読んでみたらエリザベスの出番も多く、私が見たいシーンがたくさん詰まっているなとうれしくなりました。原作で描かれていなかった最高神とエリザベスのシーンもありましたし、こんなに心からウキウキしているエリザベスを演じるのは初めてなんじゃないかと思うぐらいでした。やっと心のおりが全部とれて、劇場版の物語ではこれから戦いがはじまるかもしれないという雰囲気のなかでも、なんだかエリザベスはちょっと楽しそうなんです(笑)。
梶:そうだったかもね(笑)。
雨宮:メリオダスと一緒にいられて、彼との約束された未来が幸せでたまらないんだろうなというエリザベスの気持ちが感じられて、すごくうれしかったです。
――劇場版の注目ポイントを教えてください。
梶:まずは、大罪ファンの皆様! 原作&テレビシリーズを最後まで見守っていただき、本当にありがとうございました! それに続いての、鈴木央先生描き下ろしオリジナルストーリーの劇場版公開ということで、僕も非常にうれしく思っています。原作ファンの方々がずっと気になっていたであろう存在・最高神、そして語られてはいたけれど、これまで登場する機会のなかったダリアやダブズまで参戦するという、見事に原作が補完されたエピソードになっています。
個人的には、メリオダスとゼリオダスの共闘、そしてメリオダスとエリザベスの愛、ゼルドリスとゲルダの愛が注目ポイントかなと思います。特にゼルドリスとの関係に少し罪悪感を抱いているメリオダスに対して、エリザベスが優しく言葉をかけるシーンがあり……そのセリフには、これまで約7年半の間エリザベスを演じてきた天ちゃんならではの愛情がものすごく詰まっていて。現場で聴いていてハッとさせられましたね。ドラマはもちろん、そういった細かい部分にも注目していただきつつ、ぜひ最後の「七つの大罪」を存分にお楽しみください!
雨宮:7年以上にわたり、最初から最後までエリザベスを演じられたことが本当にありがたいなと思います。最初にもお話したように、エリザベスという自分とは真逆の性格の子と一緒に歩んでこられたからこそ、私が今できるエリザベスがつまっている劇場版になっていると思います。
注目ポイントは、私自身ずっと見たかった最高神とのやりとりです。そして、エリザベスの母親は最高神ですが、もう1人の親である父上、リオネス王国の王バルトラとエリザベスとのやりとりにも注目していただけたらうれしいです。けして派手なシーンではないのですが、私はエリザベスと両親との関係がすごく好きだなと思いました。
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