2021年10月6日(水)19:00
【「ルパン三世 PART6」リレーインタビュー】沢城みゆき、峰不二子を演じるスローガン 現場で見つめた小林清志の戦い
リレーインタビュー第3弾は不二子役の沢城みゆき
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「ルパン三世」のアニメ化50周年を記念した新作テレビアニメ「ルパン三世 PART6」が、10月9日から放送開始となる。アニメハックと映画.com(https://eiga.com/)によるキャスト5人のリレーインタビュー、第3弾は峰不二子役の沢城みゆきが登場! 2011年に不二子、五ェ門、銭形のキャスト3人が交代となり、シリーズ出演歴は今年で10年目。沢城が考える峰不二子像、役を引き継ぐというプレッシャーのなかで抱いた“不二子を演じる際のスローガン”とは。そして、その目に焼きつけたという、次元大介役の前キャスト・小林清志の現場での戦いを明かしてくれた。(取材・文・写真/編集部)
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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「認め合い、意見をぶつけ合うような関係になれた」
テレビシリーズで高まったファミリー感
11年放送のテレビスペシャル第22弾「ルパン三世 血の刻印 ~永遠のMermaid~」から不二子役を引き継いだ沢城。当初はテレビスペシャル中心だったが、12年にスピンオフテレビアニメ「LUPIN the Third -峰不二子という女-」、そして15~16年に「ルパン三世 PART4」、18年に「ルパン三世 PART5」が放送され、テレビシリーズが定着した。沢城は「すさまじい熱量が必要とされるテレビシリーズを、『PART4』から途切れずにやらせていただける。そういう作品になったということがうれしいです」と明かし、「『PART5』が終わってから、ほとんど間をあけずに『PART6』をやらせてもらえることがありがたいです」と喜びを噛み締める。
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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スタッフやキャストの関係性、環境の変化を語るうえでも、テレビシリーズの存在は大きかった。毎週のように収録を行うからこそ、時に「スタッフのやりたいこと」と「キャストの思い」がぶつかることがあったが、それが結果としてファミリー感を高めたという。「毎週1回会えるわけですからね。たくさん時間を重ねるということは大きかったです。お互いを認め合い、意見をぶつけ合うような関係になれたと思った時に、ファミリーに近いのかなと感じるようになりましたし、お芝居をしていない時間の関係性も出来上がってきたと感じています」。
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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「ただただ目に焼きつけていました」
現場で目の当たりにした小林清志の戦い
そんな“ファミリー”に大きな変化が訪れた。1971年のアニメシリーズ開始当初から約50年にわたり次元を演じてきた小林の卒業、そして新キャスト・大塚明夫の加入。不二子役を引き継いでからの10年、沢城は自身のプレッシャーと向き合う一方、小林の戦う姿も見つめてきた。
「10年前に私たち3人(沢城、浪川、山寺)が入った時のスローガンは『視聴者に違和感がないように、似せられないけれど、なるべく肉迫する。なるべく寄せる』ということでした。つまり、前キャストが演じたキラキラしたキャラクターとの戦いだったんです。でも清志さんは、『昔の小林清志』対『今の小林清志』という戦いをされていました。おそらく、我々よりもはるかに大変な戦いだったのではないでしょうか。私は自分が歳を重ねていった先の姿をまだ想像できませんし、『自分がイメージしたものに近づけない日』が訪れることもまだ想像できませんが、最も大変な戦いだと思います。清志さんが『なんか違うな。もう1回』とご自身でリテイクを出しながら収録されている姿を、戦う姿を、ただただ目に焼きつけていました」
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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レジェンドの戦いを目の当たりにしてきたからこそ、引き継ぐ立場の大塚に対し「私たちは、寂しさであるとかいろんな気持ちに、自分のなかで決着をつけていけばいいけれど、大変なのは明夫さんです。おそらく並々ならぬ思いと、並々ならぬ清志さんへの敬意と、並々ならぬ技術をもって挑んでらっしゃる」と吐露。インタビューが6月だったこともあり、「実はまだ明夫さんとは一緒にアフレコができていません。だから、まだふわふわしていて、こうして取材をうけるなかで『(キャストが)変わるんだな』と心の準備が整っていくような感覚です」とも明かしていていた。
原作:モンキー・パンチ (C)TMS・NTV
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脚本ごとに異なる峰不二子像
演じるスローガンは「プレッシャーを感じず、とにかく楽しく」
今シリーズは、推理小説家でアニメ・特撮の脚本も手がける大倉崇裕がシリーズ構成を務め、作家の辻真先、芦辺拓、樋口明雄、湊かなえ、映画監督の押井守がオムニバスエピソードの脚本を執筆している。豪華脚本家が描いた峰不二子というキャラクターを、沢城はどのようにとらえていたのか。
「脚本ごとに『俺の峰不二子』があるんです。かしこかったり、キュートだったり、少し毒舌だったり、全方位に峰不二子の入り口がある。ひとつのキャラクターを演じているというよりは『峰不二子という大女優と、いろんなドラマの撮影に行っている』という気分ですね。ひとつのキャラクター像に執着するつもりはなく、作家さんの色に染まりにいくような感じでした。例えば押井さんだったら、『押井さんの世界に峰不二子が行ったら』というような立ち位置で、印象的でした」
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沢城の胸には今、不二子を演じるうえでの“もうひとつのスローガン”がある――「プレッシャーを感じず、とにかく楽しく演じるということが大事だと気づいたので、それからは(プレッシャーを)あまり背負わず、目の前にいる不二子をのびのびと演じられるよう集中することがスローガンです」。その言葉の通り、「今回の不二子は、いろんな人の色に染まり、いろんな衣装を着せてもらい、ファッションショーをしているような感覚で楽しかったです」と笑顔で語っていた。
だからこそ、作品ごとにさまざまな顔をのぞかせる峰不二子というキャラクター、そして「ルパン三世」シリーズへの期待や挑戦心は尽きない。
「取材をうけるにあたり、『PART4』『PART5』『峰不二子という女』を見直したのですが、どのシリーズもびっくりするくらいチャレンジングで、内容的に攻めていました。『PART6』は十人十色の作家さん方が、それぞれのアプローチで『ルパン』を料理してくださっていて、挑戦の場をたくさんいただけた体感があります。今までだったら、できるかな大丈夫かなと不安な気持ちが先行していましたがこのシリーズで癖になったのか(笑)、『次はどんな色に染めてもらえるの?』って、そんな気持ちが芽生えてきています」
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