2022年4月29日(金)21:00
「ゴールデンカムイ」監修者がアイヌ語を書き起こし幻の祭が明らかに 「チロンヌプカムイ イオマンテ」本編映像
アイヌ長老の入魂の祈りを35年ぶりに甦らせる
(C)VisualFolklore
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アイヌ民族の知られざる祭祀を記録したドキュメンタリー「チロンヌプカムイ イオマンテ」の特別映像が公開された(※タイトル「チロンヌプ」の「プ」は小文字が正式表記)。司祭の日川善次郎エカシによる「火の神への祈り」が映し出される。本作は、実写映画化も決まった漫画「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者・中川裕がアイヌ語の現代日本語訳を担当しており、日川エカシの祈りの言葉はアイヌ語だが、中川がそのすべてを翻訳したことで、チロンヌプカムイの旅立ちを見守るアイヌの長老の思いが初めて明らかになった。
1986年、屈斜路湖を望む美幌峠で、75年ぶりに「チロンヌプカムイ イオマンテ」が行われた。狩猟民族であるアイヌの教えでは、動物は自らの肉や毛皮を土産にして人間の国へやって来るとされる。彼らはキタキツネを我が子のように育てると、そのキタキツネに祈りを捧げて歌や踊りで喜ばせ、土産を背負わせて神の国へ送る「イオマンテ」を執り行う。祭祀を司るアイヌ長老・日川善次郎エカシは、祈りの言葉の一言一句に魂を込める。60年代から日本とアジアの民族文化を撮り続けてきた北村皆雄監督が、86年当時の映像に2Kレストアを施し、貴重な祭祀の様子をよみがえらせた。
このほど公開された映像は、チロンヌプカムイの霊魂を確実に神の国に送り届けるため、火の神の助けを借りようと、囲炉裏の火に向かってカムイノミ(神への祈り)を行う様子が切り取られている。火の神は人間の生活の側にいる一番身近なカムイだ。日川エカシは繰り返し繰り返し、言葉を唱えて願いを伝えようとする。言葉を間違えたり、手落ちがあれば、チロンヌプカムイが神の国に帰ることができずに大変なことになるため、居合わせる者の真剣な表情から、神事の重さが伝わる。さらには、民族衣装に正装したアイヌたちがイクパスイ(献酒箸)で酒をすくって、火の神への供物・依り代であるイナウに捧げる姿など伝統的なアイヌ文化も確認できる。
4月30日から、ポレポレ東中野ほか全国順次公開。
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