2022年11月10日(木)19:00
「うる星やつら」神谷浩史が明かす、“父”古川登志夫との不思議な縁 アフレコで2人のラムちゃんに混乱?【2022秋アニメインタビュー】
「うる星やつら」神谷浩史インタビュー!
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高橋留美子氏の連載デビュー作を再アニメ化した「うる星やつら」が10月13日から放送中だ。主人公・諸星あたる役を神谷浩史、ラム役を上坂すみれが務め、アニメ化発表直後から大きな注目を集めていた本作だが、そういった反響をキャストはどう受け止めていたのか。
第1話の放送を間近に控えていた10月上旬、アフレコ真っただ中の神谷に話を聞くと、「最高に楽しい時間」「これが一生続いてほしい」というポジティブな思いにあふれていた。そして、1981年のテレビアニメ版であたるを演じ、令和版「うる星やつら」では“あたる父”を演じている古川登志夫との不思議な縁も教えてくれた。(取材・文・写真/編集部)
■厳戒態勢で進んだ再アニメ化「自分以外のキャストが誰なのかも知りませんでした」
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――間もなく放送開始となりますが、現在の心境はいかがですか。
「うる星やつら」をもう一度アニメ化しますという噂を聞き、オーディションに合格しましたと言われてから1年以上が経っています。収録も去年の年末からはじまっていますから、ようやくオンエアにたどり着いたという気持ちです。ただ、「皆さんに見ていただきたい」と思う反面、「始まったら終わってしまう」という思いもある。その境目にいる状態ですね。
――ここまで長い道のりだったんですね。
2022年1月1日に「うる星やつら」再アニメ化が発表されるまでは、全てが秘密裏に進んでいました。関係者以外にはタイトルすら伏せられていて、自分以外のキャストが誰なのかも知りませんでした。あまりの厳戒態勢に出演の実感がわかず、「本当にやるの?」みたいな気持ちでした(笑)
オーディションは受かったけれど、どこかで「こんな夢みたいなことある?」と思っていたなか、年末にフジテレビで、ラムちゃんとすみぺ(上坂の愛称)、僕とあたるの“リンクビジュアル”を撮影しました。その時は「本当にあるんだ」「嘘じゃなかったんだね」みたいな感じでした(笑)
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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そして、ついに1月1日にアニメ化が発表になり、あたるとラムがお互いの名前を呼び合うPVやリンクビジュアルが公開されて、ようやく「本当に僕がやるんだ」という確かな実感がわきました。
――アニメ化が発表されて以降、ものすごい勢いで注目度があがっていますから、放送がはじまったらさらに反響がありそうですね。
原作を読んでいる方とそうじゃない方で、見方が違うと思うので、皆さんがどういう評価をされるのか楽しみです。僕ら作っている側は、今、最高に楽しい時間を過ごしながら、アフレコをしているので、できればこれが一生続いてほしいなあと思っています。そうはいかないですが(笑)
■「本作につながる布石のよう」“初代あたる”古川登志夫との不思議な縁
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――10月6日には、81年版「うる星やつら」であたるを演じた古川登志夫さんが「あたる父」、ラムを演じた平野文さんが「ラム母」を演じることが発表されました。おふたりの出演を知った時の心境はいかがでしたか?
まずは「そんな素敵なこと、素晴らしいことってないじゃん」と納得しちゃいました。おふたりとも青二プロダクション(神谷と同じ事務所)ですから、「おふたりは出演を了承してくださっているんですか?」と聞いたら、弊社のマネージャーが「もちろんです。快く引き受けてくださいました」と。それを聞いた瞬間「さすがだな」と思いました。
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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実は、過去にも古川さんが担っていたポジションをやらせていただく機会がありました。東映の実写作品「スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー」という作品のなかに、「デカレンジャー」のナレーションが盛り込まれているのですが、もともと古川さんが担当されていた「デカレンジャー」のナレーションを、その作品では僕がやらせていただきました。古川さんのポジションを引き継いだのはそれが最初でした。
その後、海外ドラマ「大草原の小さな家」のリマスター版に新規吹き替えキャストとして出演したのですが、過去に古川さんが演じたアルマンゾという役を担当したんです。アルマンゾの父親が出てくる回では、父親役を古川さんが担当してくださいました。
――まさに今回の「うる星やつら」のようなパターンですね!
「うる星やつら」に先駆けて古川さんとそういった関わりがあったことは、振り返ってみると本作につながる布石のようだと感じています。
■“あたるへのダメ出し”に古川がまさかの行動「うれしいなあと思っちゃいました(笑)」
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――古川さんと一緒に収録する機会はありましたか?
分散収録なのでなかなか機会がなかったのですが、この前初めてご一緒しました。音響監督が僕にダメ出しをする時に「あたる」と言ったら、古川さんが「はい。あ、私じゃないんだ」と誰よりも早く“あたるへのダメ出し”に反応したんです。なんかうれしいなあと思っちゃいました(笑)
――(笑)。ちなみに“初代あたる”である古川さんが現場にいらっしゃるのは、神谷さんにとっては「プレッシャー」「頼もしい存在」どちらでしょうか?
両方ですね。アフレコがはじまる前はプレッシャーのほうが強いと思っていました。でも、古川さんが僕ら(令和版キャスト)の後押しをして、お父さん役を全力で演じてくださっているので、それに応えなきゃいけないと感じるし、気合いが入ります。なにより、古川さんが僕らを認めてくださっているということが心強い。現場にいらっしゃると、緊張しますがとてもうれしいです。
■アフレコで“2人のラムちゃん”に混乱 今後の要注目キャラクターは?
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――神谷さんが思う「令和版ラムちゃん」の魅力を教えてください。上坂さんの演じるラムちゃんの印象はいかがですか。
すみぺは本当にラムちゃんなんですよね。非の打ち所がないラムちゃん。「あー、本当にラムちゃんだ」と思わされます。だからこそ、平野文さんがラムちゃんのお母さん役で登場するシーンで、“脳がバグる”ような瞬間がありました。
ラムのお母さんがしゃべる宇宙語を、ラムが地球語で翻訳するみたいなシーンがあったのですが、だんだんその翻訳のスピードが速くなっていくんです。僕はイヤホンをつけてアフレコをしたのですが、イヤホンからはラムちゃんの声(平野)の宇宙語が聞こえてくる。でも隣のマイクでは、すみぺがラムちゃんの声で地球語を話している。
――イヤホンからは昭和のラムちゃんの声が流れて、隣では令和のラムちゃんがしゃべってるという状態ですね(笑)
「もう意味分かんないな、この時間は」という体験しました(笑)。平野さんのラムちゃんとすみぺのラムちゃんは、もちろん同じではありませんが、両方ともちゃんとラムとして存在しています。どちらも唯一無二の存在感だと思います。
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――すでに発表されているキャスト陣が「全員主役級」ともいえる豪華な顔ぶれですが、今後控えているキャストも気になります。全4クール放送の本作ですが、今後登場する注目キャラクターを教えてください。
2クール目から(藤波)竜之介が出てきます。原作をご覧になっている方にお伝えすると、竜之介に関しては「皆さん期待している以上の何かが展開するはず」です。竜之介のシーンは、僕もめちゃくちゃ楽しかったです。竜之介というキャラクター自体もめちゃくちゃですが、竜之介の父親はもっとめちゃくちゃなので、その親子のコンビネーションが最高でした。
――親子のキャストにも期待ということですね。
あの2人が出てくるシーンは、2人でガンガンぶつかり合うだけで周りは外野、見物人になってしまうんです。その雰囲気を出せる人が演じています。「あの独特な感じを表現できるのは、この2人しかいないな」と納得しちゃいました。
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■「プレッシャーがないと言ったら嘘になります」――それでも「楽しい」と笑う理由
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――お話をうかがうまでは、「令和版『うる星やつら』の主演、2代目あたるとはどれほどのプレッシャーだろうか」と考えていたので、先ほど神谷さんがにこやかな表情で「最高に楽しい時間」「これが一生続いてほしい」と口にしたことに驚きました。
改めて聞かせていただきたいのですが、「うる星やつら」の現場は楽しいですか?
そりゃあ楽しいですよ。もちろんプレッシャーがないと言ったら嘘になります。でもオーディションで選んでいただいているし、過去にあたる役を務めた古川さんが応援してくださってますから。しかも、その古川さんも作品に参加していますから、同じスタジオで共演できる。こんなにありがたいことはないと痛感しています。
実は、最初は「緊張するんだろうな」とか、「嫌だな」ぐらいまで思った瞬間もありました(笑)。でも実際に現場に入ったら「案ずるより産むが易し」、その通りだと思いました。すべてのことに関して言えることですが、プレッシャーや不安に思っていることって、実際に行動してみたら、みんな優しかったりする。毎回楽しく収録しています。
(C)高橋留美子・小学館/アニメ「うる星やつら」製作委員会
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――現場の楽しさ、作品作りへの熱量が、視聴者にどのように伝わるか楽しみですね。
令和の時代に「うる星やつら」の新作アニメが毎週見られるって、ある意味、お祭りだと思うんです。お祭りは参加しないと損じゃないですか。はじまったら終わってしまいますから。
僕らも、このお祭りの時間を最大限に楽しんでいます。それを皆さんと共有して、楽しい時間だと思ってもらえるように全力で作品作りをしていきますので、ぜひお祭りに参加してください。
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