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インタビュー 2024年10月4日(金)19:30

坂本真綾、津田健次郎、速水奨の“チ”をめぐる思い【「チ。 ―地球の運動について―」インタビュー】

「チ。 ―地球の運動について―」坂本真綾、津田健次郎、速水奨インタビュー

チ。 ―地球の運動について―坂本真綾津田健次郎速水奨インタビュー

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魚豊(うおと)氏の漫画をテレビアニメ化する「チ。 ―地球の運動について―」が10月5日から放送開始となる。同作は、15世紀のヨーロッパを舞台に、禁じられた真理だった地動説を証明することに信念と命をかけ、その信念をつないでいく者たちの物語がつづられる。

地動説に魅せられていく12歳の神童ラファウ役を坂本真綾、謎の学者フベルト役を速水奨、彼らを追い詰める異端審査官ノヴァク役を津田健次郎が担当。それぞれのキャラクターの役割とは? ラファウやフベルトは何をつないでいるのか? そしてキャストが抱いた共感や身につまされた瞬間とは――? キャスト3人が、本作をより深く読み解くためのヒントや、作品の魅力を語ってくれた(取材・写真・文/編集部)。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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■原作ファンとして感じた映像化への驚きと期待
「きっと難しいだろうな」「よくアニメ化に踏み切ったな」

――原作漫画は、第26回手塚治虫文化賞のマンガ大賞など数々の賞に輝いた話題作ですが、作品の印象はいかがでしたか? 坂本さんと津田さんはもともと原作のファンだったそうですが。

坂本 原作漫画を読んで多くの感銘を受けましたが、「この作品をアニメ化するとなったら、どうやるんだろう。きっと難しいだろうな」というように、映像化を想像できない部分もありました。でも、そういった作品だからこそ、いちファンとしてはアニメ化がすごく楽しみでした。オーディションにお声がけいただいた時は、チャンスがあるならぜひ出演したいとは思いながらも、ラファウ役のオーディションだったことにまずびっくりしました。女性の登場人物が少ないお話なので、もし私がオーディションを受けられるとしたらヨレンタさんだと思っていたんです。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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坂本 ラファウは第1巻の表紙になっていて、最初のキーパーソンになる人物でもあるので、 難しい役ほどやりがいもあるなと感じていました。絶対に受かりたいという思いで、自宅でオーディションテープを必死に録りました。

――オーディションテープのセリフはどのようなものだったのでしょうか?

坂本 まんべんなく録りました。1話から3話の間に出てくるセリフと、実はラファウは後半にも出てくるのですが、そこは年齢感がちょっと違うので、両パターン録りました。漫画を読んで、私の中では(ラファウの)強いイメージがあったので、迷いなく演じられたという感覚でした。出演が決まりうれしかったです。

――津田さんは、原作者である魚豊さんと対談されているのを拝見しました。

津田 魚豊先生にお会いして、「何だ、この知識の深さと広さは!」と衝撃を受けました。改めて、素晴らしい作品に参加させていただけて光栄でした。
原作漫画は、非常に難解な部分もありますし、 生々しい部分もあるので、まずは「よくアニメ化に踏み切ったな」という思いでした。アニメ化に踏み切ったということは、おそらく相当の覚悟なのだろうと感じています。それに参加できるということは、非常にうれしかったと同時に、やはり緊張感もありました。生半可な役ではないので、頑張らねばと思いながらも、初回の収録はすごく楽しみにしていました。

アニメ化発表時のビジュアル

アニメ化発表時のビジュアル

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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――速水さんは、オーディションをきっかけに作品を知ったとのことですが、どのような感想をもたれましたか?

速水 オーディションに受かりましたと聞いた時、うれしさよりもプレッシャーのほうが強かったかもしれません。台本をいただいてみると(内容が)重かったので、これはちょっと……という躊躇もありましたが、役との出合いを大切にしたいので、しっかり演じようと思いました。

――台本を読んで、改めて作品テーマの深さを痛感したんですね。

速水 そうですね。(原作漫画の)最新刊もつい最近読んだところなので、ファンとしては僕が1番ホットかもしれません(笑)


■ラファウやフベルトの役割、立ち位置とは?
そして彼らが追い求めた「美的な探求と知的な探求」とは

――ある種の執念にも似た、強い信念を抱いているキャラクターがたくさん出てくる作品ですが、ご自身の担当キャラクターにどのような印象を抱き、その生き方に何を感じましたか?

坂本 最初は、すごく世渡り上手で、何事もなければこのまま順調にうまいことやっていける頭のいい子という印象でした。ですが、フベルトとの出会いをきっかけに、夢中になれるもの、本当に真剣に取り組みたいものに出合ってしまったことで、彼の好奇心、彼の中の正義や美というものを信じる気持ちを止めることができなくなっていきます。すごく素直に、ピュアにその思いに従っていくので、「上手な生き方」から「下手だな」となってしまう。
でも、その「下手」になっていく過程を、葛藤しながら受け入れて、より生き生きとした表情になっていく。そういった姿が面白いなと感じましたし、気がつくと「自分だったらどんな決断をするんだろう」と自らを重ねながら読んでいました。あっという間にこの主人公に引き込まれていったので、 その後の展開には本当に驚きました。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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――出演発表時のコメントでも坂本さんがおっしゃっていた通り、まさに「物語の起点」となっていくキャラクターですよね。

坂本 彼がフベルトと出会い、さらに“チ”と出合ったところが始まりだと思っていたのですが、もしかしたら「彼が次にバトンをわたす」ところが始まりなのかもしれません。「始まり」に立ち会えたことに面白さあるというか……彼は「プロローグの人」なのかもしれません。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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――アニメからご覧になる方には、「バトンをわたす」や「起点」「プロローグ」といった表現が何を意味しているのかという点にも注目していただきたいですね。そして、「禁じられていた研究」によって幽閉されていた異端者として、ラファウの前に登場するのがフベルトです。速水さんは、フベルトの生き方をどのようにご覧になっていましたか?

速水 フベルトの初登場シーンは、研究をやめて改心したから世に出されたという状況でした。「以前の彼に何があったんだろう」と考えてみると、フベルト自身も「誰かから受け継いできた側」なのではないか、「つなぐ者のひとり」としてラファウに“チ”をつないだのではないかと感じました。そしてフベルトは、いわゆる通常の生活者ではなく「心理を追求するだけの器」になっているような気もしました。肉体を超えて、魂が浄化された状態と言いますか。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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速水 作中に「私は美しくない宇宙に生きたくない」という象徴的なセリフが出てきます。彼の言う美しさとはなんだろうと考えたとき、美術的な美しさと、知の探求の美しさがあるように感じました。それはフベルトにとっての「生きる要素」の大きなところなのではないでしょうか。美的な探求と知的な探求が完全に一致している。そんな、人としてピュアなところが素晴らしいなと思っています。

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■ノヴァクは「1番僕らに近い人なのではないか」
作品の語り部も担う、独自ポジションのキャラクター

――異端審査官としてラファウやフベルトを取り締まろうとするのがノヴァクですが、津田さんは彼をどのような人物としてとらえていますか?

津田 原作漫画を読んだ時、ノヴァクというキャラクターが一番精神的に強く、なおかつ最も狂気をはらんだ危ない人という印象をもちましたが、読み進めるなかで「一番僕らに近い人なのではないか」という印象に変わっていきました。見方によって、人の印象とは随分変わるものだなと……実は1番泥臭くて、人間臭い人なのかもしれないとも感じています。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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――確かに、立場としては、ラファウたちは「天才」であり「異端」。ノヴァクが「一般」であり「大衆側」ですよね。狂気を感じるような行動が多いので、ただの悪者のようにも見えますが、実はノヴァクの視点が最も「一般=我々」に近いのかもしれないと考えると複雑な気持ちです。

津田 そして、異端審査官というだけでなく生活者でもあるという大きなギャップも持っています。あの世界では、(メインキャラクターのなかで)ある種、ノヴァクが一番ノーマルであるというか。少なくとも、ラファウやフベルトと比べれば一番普通。家族もいますし、普通の生活人なんです。そしてノヴァクは、語り部のようなポジションにもなっていきます。ノヴァクというキャラクターの作品上のポジション、そして作品の構造自体がとても面白いなと感じます。

――作品の構造上、物語が進むほどにノヴァクの役割が大きくなっているようにも感じました。

津田 1本の作品を通して描かれる彼の変化が、ある種、物語そのものの変化でもあるといいますか……。そういった意味で、いろんな面があって面白いキャラクターだなと思っています。

(C) 魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会

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――立場としては「我々側」といえるノヴァクですが、やはり彼に対して抱く感情は共感とはほど遠い……というのが正直なところです。津田さんは、彼はどんな人だと思って演じていたのでしょうか。

津田 「職務を頑張る人」でしょうか。これは僕の想像の範囲ですが、彼のなかには異端に対する恐怖があって、それは社会全体にある「異端に対する恐怖」にも通じるように思います。現代でも、尖った意見を言うと叩く人が続出することがある。そんな風に、作品全体を通して、現代社会にも通じる要素がたくさんあるなと思っているのですが、ノヴァクはそういった社会における汚れ役と言いますか。「汚れた仕事をする人」。単にそれだけの人とも言えると思います。


■「真剣に向き合う大変さと喜び」――作品に自らを重ねた瞬間とは?
覚悟を問われ「身につまされる」ことも

――本作を通して、知への渇望のようなものを感じました。皆さんにとっての「障害に負けず、妥協せずに求め続けたいもの」をあげるとしたらなんでしょうか?

坂本 正直、ここまでの覚悟はないかもしれないと思いながら読んでしまいました(笑)。でも、何かに打ち込んで、その苦労が後で一瞬にして全て報われるような経験というのは、生きてると何度かあります。やっぱり彼らの比ではないかもしれない、小さなスケールの話かもしれないけれど。でも、彼らが何か大変な思いをした後に、はっと空の美しさに気づいて、全てが報われたように優しい顔になるっていうのは、共感する部分があります。何かに真剣に向き合う大変さと喜びには共感できるですが、それを仕事と言うのは……恥ずかしいですね(笑)

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津田 でもやっぱり、ここで仕事、芝居って言うとかっこいいですよね(笑)。恥ずかしいですが、やはり希望的観測としては表現の追求。そうなれるといいなと思ってます。

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津田 この作品は、全然他人事ではなくて。例えば、自分だったら「もしも芝居が弾圧されたら、そのなかでも自分の思うように芝居を追求していけるか。そこに命をかけられるか」ということですよね。「それだけの覚悟がおありですか?」と問われているような。そう考えると、身につまされる作品でもありました。

――いろんな場面に自分を重ねながら見ると、気づきが多そうですね。速水さんは、いかがでしょう? 本作に、自らを重ねるような瞬間はありましたか。

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速水 実は、どうも僕は正義感が強いようなんです(笑)。ですから、現時点では本作ほどの「究極なこと」はありませんが、もしも本作ほどの状況に陥った場合、僕はまずい方にいってしまうタイプだと思います。例えば、みんなが逃げまどう方にあえて向かっていってしまうとか。そんなちょっと困った性格を、小さな正義感と思っています。そして、これが自分のアイデンティティなのかなとも思っていたりします。だから、この作品を読んでいても「多分、僕は『知りません』って言えないだろうな。嘘はつけないだろうな」と思う瞬間がありました。そういったところは共感しています。

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10月4日~11月4日23:59
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