2024年11月15日(金)19:00
小西克幸、中村悠一、仁見紗綾へと渡った「チ。」の物語――ここからどうなる?【「チ。 ―地球の運動について―」インタビュー】
魚豊(うおと)氏の漫画が原作のテレビアニメ「チ。 ―地球の運動について―」が、NHK総合で毎週土曜・午後11時45分から放送中だ。フベルトから「チ」を託されたラファウが第3話で衝撃的な最期を迎え、現在スポットが当たっているのがオクジー、バデーニ、ヨレンタの3人。彼らはどのように「チ」と向き合い、どのような運命をたどるのか――キャストの小西克幸、中村悠一、仁見紗綾に話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)
(C)魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会
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オーディション&アフレコ裏話
アフレコ大緊張の仁見紗綾、小西克幸&中村悠一の背中を見て……
――出演が決まった際の心境、原作漫画の印象はいかがでしたか?
小西 もともと原作は読んでいたのですが、その時から地動説を実証しようと命がけで頑張ってる人たちの姿がすごくかっこいいなと思っていました。それと同時に「こういう作品ってアニメになるのかな? どうなのかな?」とも感じていたので、「アニメになります」「オーディションがあります」と知った時は「絶対受けたい!」と思っていました。マネージャーからオクジー役のオーディションの話がきて、「絶対にこの役をやりたい」と思って受けたので、合格と聞いた時は非常に嬉しく、早く演じたいという気持ちでいっぱいでした。
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――もともとオクジーを演じたいと思っていたんですか?
小西 そうですね、バデーニは無理だと思っていたので(笑)。僕は泥くさい人が好きなので、オクジーの絶望しているところから夢中になれるものや自分なりの幸せを見つけていくような人生に惹かれ、演じてみたいと思っていました。
――中村さんは、原作の印象、オーディションの流れはどのようなものだったのでしょうか。
中村 原作漫画は読んだことはなかったのですが作品は知っていました。オーディションの時に作品に触れて、会話の中で彼らが思ってることや考えていること、どう変化していくか、どう行動するかということの全てを説明をしながら進んでいくので、オーディション段階からアニメを見る方が飽きないように、単調にならないように演じていかないといけないと感じました。
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――仁見さんは、どのような思いでオーディションに臨まれ、また出演が決まった時の心境はいかがしたか?
仁見 決まった時は、本当に驚きでいっぱいでした。オーディションをいただいた時に初めて原作を読んだのですが、読み切った直後くらいにテープオーディションを受けたので、読み終わった時の熱量そのままに、まっすぐにヨレンタのセリフに向き合えたことを覚えています。
決まった時は本当に嬉しかったです。同時にプレッシャーもありましたが、(キャストには)そうそうたる方々がいらっしゃるのだから、思い切って飛び込んでいこうと思いました。
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――仁見さんは出演発表時のコメントのなかで「毎回のアフレコは挑むような気持ち」とおしゃっていましたが、アフレコは緊張しましたか?
仁見 すごく緊張してしまって、テストの時に息が吸えていなかったり、どんどん声が高くなったりしてしまって、音響監督の小泉さんに「どこまでいくのかと思ったよ」と言われたこともありました。
小西 中村 (笑)
――緊張しているなかでも、小西さんと中村さんの存在は頼もしかったのでは?
仁見 そうですね。「落ち着かなきゃ」と思った時に、おふたりのマイク前の姿を見たら、「どっしり立ってる、息してる。私もちゃんと息しよう」と思えました(笑)。
受け継がれる魂、無常さのなかにあるドラマ、そして奇跡のような出会い
――作品を通して描かれるもの
――ラファウやフベルトの章が第3話で衝撃的な展開を迎え、彼らの信念は“次の誰か”へと託されました。そういった流れを踏まえて、皆さんの出演する章をどのような思いでご覧になっていますか。小西さんはいかがでしょう?
小西 前の章を踏まえるとしたら、自分の信じてるものを否定せず、信念を貫き通すために死を選ぶ覚悟というものが、地動説によってつながっていきます。時代が経っても、地動説を実証しようとする人たちはいて、その魂はずっと受け継がれていく。時代的なものもあるとは思いますが、そうやって自分の命をかけてまで夢中になる、熱中できるということが単純にすごいと思いますし、彼らの生き方に圧倒されます。
(C)魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について—製作委員会
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――今おっしゃっていた「つながっていく」ことは、本作の大きな要素ですよね。中村さんと仁見さんは、「前の章からのつながり」を踏まえて、オクジーらの章の見どころはどこだと思われますか?
中村 ラファウの章と我々の出演する章は、時間も何もかもが変化しています。前の章に出てきたラファウたちから、直接オクジーやバデーニへと引き継がれたのではなく、その間にも多くの人たちを介して、ここにたどり着きました。そういった大きな時間の流れがあることが、この作品の面白いところですよね。
そうやって見ていくと、ひとりひとりのキャラクターを色濃く描いているが、歴史の中ではほんの一瞬のこと、1つの要素でしかないという無情さがあります。でも、その中には確かにドラマがある。その両方が介在してるというのが、見どころであり面白さだと思います。
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仁見 私は、本作の「人との出会いの瞬間」がとても印象的です。求めている人に偶然行き会うような出会いは、奇跡的だと感じました。そして、そういった出会いがあったからこそ、後に研究所が関わり、つながりはどんどん大きくなっていき、研究を突き詰めていくことになります。
そういった意味で、私たちが出演する章は「1歩を踏み込む」ことが強く現れています。また、強い感動や誰かの胸を打つことに時代は関係ないということも本作を通して感じました。そういったところも、楽しんで見ていただきたいです。
オクジーとバデーニの「変化を与え合う」関係性
これからヨレンタはどう関わっていくのか?
――皆さんの担当キャラクターについても具体的にうかがっていきたいのですが、まずはオクジーとバデーニの関係性をどのようにとらえていらっしゃいますか?
中村 本来であれば、バデーニの人生において、オクジーのようなタイプの人と行動を共にすることはなかったと思います。でもだからこそ、オクジーと出会う運命となり、一緒に何かをするなかで、気づかされることがあったのではないでしょうか。
バデーニは、知識欲や探求心がすごく強いので、わからないものを排除することはしないと思うんですね。ただオクジーみたいなタイプの人と出会ってこなかっただけで、出会って、話してみたら、気づかされることがたくさんあって。そうやって、ちょっとずつオクジーを受け入れて、認めていって、バデーニ自身も変化していくんだろうなと感じました。いろんな変化を与えあっている2人。そして、引っ張ってるようで、実は引っ張られている。面白い関係値ですね。
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小西 オクジーは、出会いはひどかった2人ですが(笑)、一緒に行動して、さらにそこにヨレンタも入ってきて、やり取りをしていくなかで、オクジーはいろんなものにどんどん興味を持ちはじめます。
「こういう人がいるから、会いに行ってくれ」と託され、行ってみたら一緒に地動説を研究することになった。そんな風にどんどん巻き込まれていくだけだったオクジーですが、徐々に「僕はこう思っているんです」という意見をバデーニや他の人に言えるようになっていきます。そういう意味で、バデーニの存在が、オクジーにいい影響を与えてくれている気がします。彼自身がバデーニに何か影響を与えたのかということはまだわかりませんが、確実に「何かをもらってる」とは思います。
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――今後の物語は、後から仲間に加わったヨレンタが、これからどのように「チ」と関わっていくのかというところも気になります。ヨレンタは、オクジーとバデーニに出会ったことで、何か変化はあるのでしょうか?
仁見 大きな変化があります。研究所の中であまり良しとされてない状況だった彼女の前に、異端と呼ばれるようなことをしてる大人2人が現れたことで、彼女のなかの尺度みたいなものが変わったような気がしています。彼らと出会う前と後で、「自分の言葉をどの程度伝えるか」みたいな部分が違うんです。それも控えめに言うのではなく「相手に伝えたいから言う」というような主張がある。そういった変化は、演じながらじわじわ感じていました。
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