2025年2月8日(土)19:00
日本動画協会「アニメ産業レポート2024」発刊 アニメ産業市場は3.3兆円で過去最高に
日本動画協会による「アニメ産業レポート2024」の発刊記念セミナーが2024年12月20日に都内で開催され、23年のアニメ産業市場は前年比114.3%増の3兆3465億円で史上最高値を更新し、業界市場も前年度比125.4%の4272億円となったことが報告された。
![](https://eiga.k-img.com/images/anime/news/123132/photo/0989913ded693b9e/320.jpg?1738580178)
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「アニメ産業市場」は周辺産業まで含めた広義の市場、「アニメ業界市場」はアニメの映像制作そのものの狭義の市場を指している。2023年の産業市場、及び前年比は次の通りだ。テレビ:973億円(103.18%)、映画:681億円(86.75%)、ビデオパッケージ:362億円(94.03%)、配信:2501億円(151.39%)、商品化:7008億円(104.71%)、音楽:267億円(97.45%)、海外:17222億円(118.02%)、遊興:3370億円(113.05%)、ライブエンターテインメント:1081億円(111.21%)、総計3兆3,465億円(114.30%)。
以下、各分野の特徴的な動向を紹介する。
テレビアニメでは製作ボリュームはさほど変わっておらず、制作費の上昇が市場拡大に影響していると思われる。このうち人件費の上昇に、制作費の上昇が追い付いていない場合もあり、業界の構造改革や予算の適切配分は継続した課題のようだ。
また放送枠では午後11時前後の枠が新たなアニメ枠として定着しており(日本テレビ「葬送のフリーレン」、MBS・TBS「呪術廻戦」など)、テレビ局でも事業部を設けてキャラクタービジネスの収益を拡大する傾向も見られる。一方で夕方枠やキッズ向けシリーズは縮小もあるようだ。
クリエイターへの分配に関してはレポートの総括部でも、メディアによる語りのみでなく、アニメーター/制作スタジオ(制作会社)、プロデュース企業/製作委員会など当事者間の交渉・折衝の重要性が指摘されている。
劇場アニメは堅調な水準で、海外興行の動きとしてスタジオジブリ「君たちはどう生きるか」は国内興行収入が87億円(23年内)に対し、北米で73億円、中国170億円と世界で大きな収入を得ている。同作の北米配給を担当した「GKIDS」は25年に東宝が買収することが報じられており、日本映画の海外興行を強化する流れにつながりそうだ。
また「劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD」のように音楽ライブ形式の作品も定着しており、映画館がライブエンターテインメント・体験価値の場所としても機能している。
ネット配信はコロナ禍の収束から市場拡大が止まるかと思われたが大きく伸長した。これは配信オリジナル作品の制作より、既存作品のカタログ購入傾向によるものとみられる。
また人気作を他社より数日、先行配信して差別化しようという動きも見られる。配信分野での今後の課題として、強い力を持つ配信プラットフォームからの脱却や、独自のプラットフォームを持つ重要性も指摘されている。
商品化も定番キャラクターに加え、インバウンド消費による増加や、展覧会やテーマパークなどのロケーションベースのエンターテインメント(グッズ販売を含む)の重要度が増している。広告プロモーションでは「うる星やつら」などリメイク作品で幅広いターゲットにアプローチする事例も見られた。
ライブエンターテインメントの新たな動向として、舞台「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」のロンドン公演、「進撃の巨人ミュージカル」のブロードウェイ公演など海外での評価も高まった。展示関係では「ジブリパーク」が開業し、アニメイトの展示スペース「Space Galleria」の整備、24年にはソニーグループの「CREATIVE MUSEUM TOKYO」など施設の整備が続いている。
海外市場は為替影響もあるものの円ベース、ドルベースでも拡大した。COVID-19による配信ブームは落ち着きいたが、VODサービスでの旧作のカタログ購入が堅調だったようだ。 海外のインフルエンサーが日本の流行をウォッチしていて、日本と同じ作品が人気になる傾向がある。
また今回はParrot Analytics社の協賛を得て、VOD等へのメディア貢献、関連商品市場の推計を行っている。
今年の特集として、アニメツーリズム協会による「アニメ聖地とインバウンド」が掲載されている。訪日外国人の観光動向として「聖地巡礼」は2010年には5%だったのに対し、23年には7.5%に増加しており、現在協会では訪日外国人向けのアンケート調査を実施しているという。
なお、内閣府の知的財産推戦略本部が24年6月に発表した「知的財産推進計画2024」ではコンテンツ産業を基幹産業と位置付け、22年に4.7兆円だったコンテンツ輸出を33年に20兆円とする目標が掲げられている。レポートではアニメーション分野でこれまでの海外市場の最大成長幅を超える、4500億円程度の成長が毎年必要だと試算しており、力強い戦略の必要性が指摘されている。この計画は更なる市場獲得のチャレンジとチャンスの機会になりそうだ。
レポートは渋谷の東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYA、池袋のアニメ東京ステーションほかの店頭、または通販で入手できる。価格は2万2000円(税込)。詳細は日本動画協会HPを確認して欲しい。また協会HPではサマリー版が公開されている。
作品情報
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