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インタビュー 2025年4月4日(金)19:00

白石晴香がやめたことと、杉田智和が捨てたもの【「九龍ジェネリックロマンス」インタビュー】

恋は雨上がりのように」の眉月じゅん氏の最新作をテレビアニメ化する「九龍ジェネリックロマンス」が、4月5日から放送開始となる。アニメと実写の映像化が同時に発表されたことも話題となった本作。アニメ版では、メインキャラクターの鯨井令子(くじらい・れいこ)を白石晴香、工藤発(くどう・はじめ)を杉田智和が演じる。

本作は回を追うごとに謎が深まり、登場人物たちも多くの謎やドラマを抱えている。複雑に入り組んだ九龍の街のように、さまざまな角度から見る者を惑わし、魅了していくような作品世界だが、役作りやアフレコはどのように進んだのか。白石はフラットな状態で演じるために「途中から原作を読み返すことをやめました」と明かし、一方の杉田は「キャラクターとの距離でこんなに迷う経験はあまりない」と吐露し、「欲を捨て去った」という言葉も口にした――。それぞれの役との向き合い方や現場でのお互いの印象、収録時のエピソードについて話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)


(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

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【作品概要・あらすじ】
「週刊ヤングジャンプ」(集英社刊)で連載されている原作漫画は、ノスタルジーあふれる街「九龍城砦(くーろんじょうさい)」が舞台のミステリー・ラブロマンス。アニメ化のみならず、2025年夏には吉岡里帆水上恒司の主演による実写映画の公開も決まっている。

九龍の不動産屋で働く鯨井令子は、職場の先輩・工藤発に淡い恋心を抱いていたが、偶然見つけた一枚の写真から、工藤には過去に自分と瓜二つの婚約者がいたことを知る。そして、写真に映っている“もうひとりの鯨井令子”の存在をきっかけに、自分には過去の記憶がないことに気づく――。失くした記憶、もう1人の自分の正体、そして九龍の街に隠された巨大な秘密。過去・現在・未来が交錯するなか、恋が秘密を解き明かしていく。


アニメと実写での映像化は「それぞれが思う令子が、工藤さんがそこにいました」

――原作漫画の印象はいかがでしたか?

白石 もともと読んでいた作品だったので、オーディションの話をいただいた時はまずびっくりしました。嬉しいけれど、頑張りたいけれど、絶対決まりたいから……うわー! みたいな気持ちでした(笑)
原作漫画の印象は、ミステリーとラブロマンスがあわさって、どちらの行方も気になって、それぞれの伏線を追いながら混乱していく感じが楽しくてしょうがなくて、これはすごいなと感じていました。作品のパワーがすごかったです。作画、ストーリー、そしてキャラクターも含めて全部が魅力的で、出演が決まった時は「大変な作品に携わらせていただく」という気持ちでした。

杉田 原作者の眉月先生と以前対談をさせていただいた作品なので、特別な思い入れがありますが、「それをいかに表に出さないか」ということを意識して演じています。みんなが考察する余地がなくなってしまうのが一番良くないので、「役について考える」とか、そういうことじゃないところで「九龍っぽいとはなんだろう」と模索しました。

(C)眉月じゅん/集英社・映画「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会,(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――本作「九龍ジェネリックロマンス」はアニメと実写の映像化が同時に発表され、どちらも25年内に放送・公開となります。発表時は、アニメと実写がシンクロする超特報映像やキャラクタービジュアルも話題になりましたが、おふたりはオーディション段階から実写化されることはご存じだったのでしょうか?

杉田 お話は聞いていましたが、時期が近いということや、超特報映像として両方のキャストを発表するというのは知らなかったです。

――超特報映像はアニメと実写の映像が融合したような構成や、アニメ版と実写版の声が重なる場面が印象的でした。

白石 特報という形で“共演”させていただくことは、最初に資料をいただいていたのである程度は想像がついていましたが、実際に仕上がった映像が公開された時には「うわあ、すごい!」と鳥肌が立ちました。間違いなくそれぞれが思う令子がそこにいて、それぞれが思う工藤さんがそこにいました。それぞれの演じ方で、どちらの「九龍ジェネリックロマンス」もすごく良いだろうなって、あの映像を見た時に確信しました。
より盛り上がっていけると思いますし、すごく楽しみです。アニメと実写で一緒に頑張っていきたいです。


「鯨井、明日からよろしくな」
白石晴香を令子へと近づけた杉田智和からの連絡

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――おふたりは、ご自身の演じるキャラクターをどのような人物ととらえていますか?

白石 令子は、普段はとても明るくて、男女ともにわけ隔てなく仲良くできる人ですが、このお話の中で誰よりも変わっていく人です。第1話から最終話まで見たら、びっくりしちゃうくらいに変化があると思います。
「令子はこういう人」ということを説明するのは、物語の本筋と関わってくる部分でもあるのでとても難しいですが、あえて言うとしたら、視聴者の皆さんに一番近い立ち位置の人です。令子を軸に見ていくと、いろんな発見があったりして、ミステリーの部分にも入り込みやすいと思います。

杉田 工藤は本音を隠すのが上手なので、「演じるためには彼に寄らないといけない。そのために一番いい位置はどこだろう」と思いながら演じていました。でも、近寄りすぎると本当のことを言わないし、離れるとどこかにいってしまう。キャラクターとの距離でこんなに迷う経験はあまりないです。

――その距離感というのは、シーンごとに違うのでしょうか?

杉田 違いますね。「目の前の人と話してるのに、違うこと考えてるな」とか。

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――本作は令子と工藤の2人きりで会話をする場面が多いですが、おふたりは共演するうえで意識したことはありますか?

杉田 白石さんが収録現場で出してくる芝居を受け止める、何がきても受け止められるようにする、そういう雰囲気を作っておく。自分はそういう位置かなって。

――常にニュートラルな状態でいるということでしょうか?

杉田 引いたところにはいると思います。「自分から何かをしてやろう」という姿勢は欲につながるので。

白石 実は、収録前に杉田さんが工藤さんとして連絡をくださいました。「鯨井、明日からよろしくな」って。それで「あ、工藤さんだ。工藤さんから連絡がきた」という気持ちになったので、いざアフレコに行った時に自然と令子になれたし、現場にいたのも杉田さんじゃなくて工藤さんだと感じました。
杉田さんがそういう空気作りをしてくださったので、例えばマイク前に立ってかけ合う時も、何かを作り込んだりせずにすっと会話ができました。意識を向けたら、それだけで令子と工藤になれるという不思議な経験をしました。

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――白石さんから見て、今の杉田さんは杉田智和か工藤発か、どちらですか?

白石 でもやっぱり「九龍ジェネリックロマンス」の現場にいらっしゃる杉田さんは、どこか工藤さんを感じます。こうしてインタビューで答えられる内容も、工藤さんへのリスペクトや「工藤として答えるならこうだろう」という意識を常にお持ちだと感じます。

杉田 工藤のいいところって、誰に対しても下心がないんです。だからこそ、彼の執着するものがわかった時が恐ろしい。ただ、今はそれも分からなくていいんです。(視聴者は)工藤のことはちょっと話を聞いてくれる先輩くらいに思っていてくれたらいいなって。


「バランスを取ってくれるのが、白石さん演じる令子」
「杉田さんが演じる工藤さんは背中がかっこいい」

――先ほどアフレコ前に杉田さんから白石さんに連絡があったというお話がありましたが、収録中も作品や役について話し合うことはあったのでしょうか?

杉田 何か話したような気はしますが、意識して何かを話そうとはしなかったかな。

白石 私たち以外は考察をしながらアフレコをしていたんです。でも杉田さんはそこには一切入らず。私も途中までは入りたいなと思っていましたが、とあるシーンで「先が見えてしまっているリアクション」をしそうになる瞬間があったんです。でも令子は何も知らないで振り回される人物なので、(収録の)途中から原作を読み返すことをやめました。いつもはひたすら読み込んでからアフレコに行きますが、あえて読まず。もちろんお話全体を把握してはいますが、シーンや展開が具体的に頭に浮かんでこないように一旦フラットな状態にして、考察もストップして、自分の目の前にあるシーンに集中しようとしました。そこからは皆さんと考察をすることも我慢しました。

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――お話をうかがうほどに、おふたりがキャラクターとの距離感を大切に演じられたことが伝わってきますが、お互いのお芝居はどのように映っていたのでしょうか。収録するなかで、相手のお芝居に引きこまれた瞬間などはありましたか?

杉田 (白石が)どんどん鯨井令子になっていくのを感じましたが、そういうこともあまり考えないようにしました。支配欲、名誉欲、自己顕示欲、全く必要ないです。そのどれもが演技からにじみ出たら“工藤発”じゃなくなる。自然とそういう動きにさせてくれる、そういうバランスを取ってくれるのが、白石さん演じる令子でした。

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――白石さんは、杉田さんが演じる工藤のどんなところに魅力を感じましたか?

白石 杉田さんが演じる工藤さんは、すごく背中がかっこいい工藤さんです。「背中で全てを語ってくれる」みたいな感じがあって、哀愁もあるし、でも時には怖い瞬間もある。でもやっぱりついていきたくなるような、頼りたくなるような感じもあります。それが画面を通して目の前にいる工藤さんであり、現実にそこにいる杉田さんの背中も工藤さんである、そんな感覚でした。
杉田さんが演じる工藤さんは、ユニークさもあるんだけど、一歩近づききれない寂しさみたいなものを感じさせてくれるような、「もっと知りたいのにな」というもどかしい気持ちにもさせてくれるような。絶妙なお芝居。すごかったです。

杉田 つらくなった時に、この取材のコメントを見返します。スクショして貼っておきます。こんなに自己肯定感が上がるコメントはないです。

白石 (笑)


思わず自作した“九龍フード”とは? 作品の注目ポイントも紹介

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――物語の舞台となる九龍は、おいしそうな料理がたくさん出てきますが、特に印象に残った料理や食事シーンはありますか?

白石 工藤さんが連れていってくれて、水餃子を食べるシーンですね。食べずにはいられなくなっちゃって、水餃子を買って帰りました(笑)。じわっとあふれる肉汁の感じとか、2人(鯨井と工藤)のリアクションも含めて、すごくいいなって思いました。レモンチキンはすぐ近くにはなくてなかなか食べられないですが、水餃子は身近で手に入れやすいですし。

杉田 水餃子は作れないですが、レモンチキンは自作しました。でも、どんなものか把握しないまま作ったので違うものができました(笑)

白石 私も作りました!

杉田 多分、本来は甘酢のようなレモンが効いた味付けなんでしょうね、酢豚みたいな。でもそれとは明らかに違う、塩レモンの味の唐揚げみたいなものができて「うまいなあ……で、なんで作ったんだっけ?」となりました。

白石 (笑)。私が作ったレモンチキンも、同じように塩レモン系の味になってしまいました。

(C)眉月じゅん/集英社・「九龍ジェネリックロマンス」製作委員会

――最後に、これからご覧になる方に向けて序盤の注目ポイントを教えてください。

白石 最初から最後まで、登場人物ひとりひとりが見逃せない作品です。途中から新しい人物が出てきたら、そちらに目がいったりすると思いますが、一旦そっちにいくもよし。新しい登場人物が出てくると、ミステリーの部分がより一層深まっていきます。

杉田 (頷きながら)最初の頃に出てきたキャラクターを忘れないでほしいです。「こういう人いたな」くらいでいいので、覚えておくといいと思います。僕の口からはこれ以上は……。

白石 あとはお楽しみに、ですね(笑)

杉田 お楽しみに!

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白石晴香さん、杉田智和さん サイン色紙、1名様
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4月4日~5月4日23:59
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作品情報

九龍ジェネリックロマンス

九龍ジェネリックロマンス 11

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