2025年4月18日(金)19:00
「 真・侍伝 YAIBA」細谷佳正が鬼丸の弱さに自らを重ねた理由 “レジェンド”高山みなみとの共演も振り返る
青山剛昌氏の代表作のひとつ「YAIBA」を新たにアニメ化した「真・侍伝 YAIBA」が、読売テレビ・日本テレビ系の毎週土曜・午後5時30分枠で放送されている(※一部地域除く)。第2話のラストでは鬼丸が風神剣を掲げて鬼となり、今週末の4月19日放送の第3話からはついに本格的な戦いの幕が上がる。物語のさらなる盛り上がりを前に、「真・侍伝 YAIBA」インタビューの第2弾として鬼丸 猛役の細谷佳正が登場!
本作のオーディション時のことを、「受けるオーディションに全て落ちていた」と振り返る細谷。自身のキャリアを交えて、キャラクターとの共通点を話す姿からは、率直な人柄とキャラクターへの共感や愛情がひしひしと伝わってきた。そしてもちろん、主人公・鉄 刃(くろがね・やいば)役を務め、青山剛昌作品の“顔”ともいえる存在、高山みなみとの共演についても存分に語ってくれた(取材・文・写真/編集部)

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
【概要・あらすじ】
原作漫画「YAIBA」は、「週刊少年サンデー」(小学館刊)で1988~1993年に連載されたアクション活劇。今作「真・侍伝 YAIBA」は、原作漫画の完結から約30年を経ての“完全アニメ化”となり、青山氏のシナリオ完全監修のもと制作される。さらに、青山氏のもうひとつの代表作である「名探偵コナン」との連続放送となり、土曜の午後5時30分からの1時間が“青山剛昌アワー”となることも注目を集めている。
物語は、真のサムライを目指してジャングルで修行にはげんでいた少年・刃(やいば)が、さらなる強さを求めて躍進していくアクション活劇。ひょんなことから日本に戻った刃は、父・剣十郎と縁のある峰家で暮らすことになる。峰家の娘・さやかとともに学校を訪れた刃は、剣道の実力者・鬼丸 猛(おにまる・たけし)と運命的な出会いを果たし、やがて互いに強さを求める2人に呼応するかのように“古の力”が目覚める――。

鬼丸 猛
(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
「行きたくなかった」オーディションでの葛藤
それでも出演を熱望し、「自分しかいない」と思った理由とは?
――キャスト発表時の細谷さんのコメントからは、並々ならぬ思いでオーディションに挑まれたことが伝わってきました。改めて、オーディション時の思いをお聞かせいただけますでしょうか。
キャスト発表時のコメントにも書きましたが、あの時期は、受けるオーディションに全部落ちていて。そんななか「これは受からなきゃいけない」と思ったのが「YAIBA」でした。
「YAIBA」のオーディションは、当初は自分で音源を録って提出するテープオーディションで決まるはずでしたが、監督から「迷っているので、スタジオに来て、マイク前でもう1回セリフを聞かせて欲しい」と連絡をいただきました。でもそんな時期だったので、スタジオに来てくれと言われた時は、「落ちてがっかりしたくないから、行きたくない」と思っていました(笑)。ちょっと後ろ向きな話ですが、「行かなければ落ちないしな」と(笑)。なので、本当に行きたくないと思いながらスタジオに行きましたね(笑)
――いざスタジオに入った時は、いかがでしたか?
恥ずかしい話なんですけど、緊張で力が入りすぎてずっと叫んでいるような台詞になってましたね(笑)。覚えているのは、テストか終わったら声がもう無くなりかけてしまっていたことです(笑)。そして、そのまま手応えもなく帰った、というのがオーディションでした。
久々にああいった緊張の仕方をしました。良い緊張ではなかったですね。
――合否を待つ期間は気が気でなかったのでは?
「YAIBA」の音響監督をされている山田陽さんという方がいらっしゃるんですけど、その方が高田純次さんのように飄々(ひょうひょう)とした方で「その役はもう細谷くんに決まったよ。大丈夫大丈夫〜」みたいに言ってくれたんですけど、信じていませんでした(笑)。そりゃスタジオではリップサービスくらいするよなと思っていたらそれから4カ月くらいたって、役が決まったと連絡をいただきました。
――(笑)。その分、喜びもひとしおだったのでは?
それがもう、ただただ安心したと言う感じで(笑)。「やっと1本決まった」という心境でした。
その頃、本当に箸にも棒にも引っ掛からなかったので(笑)
――オーディションを受けるのが怖いというマイナスな気持ちがあった一方で、キャスト発表時のコメントでは「自分しかいない」という気持ちもあったと明かしていました。これは、不安のなかにいながらも「鬼丸役は自分しかいない」と信じていたということでしょうか?
「自分しかいない」というのは、期待されるようなドラマチックな理由ではなくて、鬼丸にはなんだか理解できる所が多いなと思っていたからですね。内面的なものが(笑)。信じていたとかそういうカッコいい理由ではないです(笑)

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
――(笑)。こうしてお話をしながら、なんとなく鬼丸と細谷さんは似ているように思う瞬間がありましたし、そこに繊細さのようなものを感じていました。
理解できる部分が少しあるよ、というくらいですよ(笑)。似てるは言い過ぎましたね、失礼しました(笑)。僕はフリーで活動していて、後ろ盾がないので、現場で「なめられてはいけない」と思っていた時期が…まぁ、あったんですよ(笑)。今はもうそんなことないですけど。ピリピリしていたんですね…恥ずかしいですね(笑)
鬼丸は、弱い自分を隠すために「強くあらなければいけない」と自分に強く課しているところがあって、他人を強さや恐怖で威嚇するところがあるんですね。そういう鬼丸の姿が、舐められてはいけないと空回りして力んでいた頃の自分に重なって、鬼丸の気持ちが何となく理解できるなと思ったんだと思いますね(笑)

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
鬼丸は「心の部分が全くの未熟者」
強さを必死に追い求める姿は「かっこ悪いけどカッコいい」
――先ほど「理解できる」という話もありましたが、改めて鬼丸というキャラクターの印象を教えてください。
僕から見た鬼丸は、「精神的に未熟な時期に強さに取り憑かれてしまった人」です。怖そうな鎧や鬼丸城など、外側を武装して「俺は強いんだぞ」と威嚇しているところが、もうね…まさに未熟者って感じだなと(笑)。鬼丸と同じく僕も剣道をやっていたのですが、剣道には「心・技・体」という格言みたいな言葉があるんですね。鬼丸は「技」と「体」はエキスパートですが、「心」の部分は全くの未熟者。個人的には未熟ながらも強さを必死に追い求める姿は「かっこ悪いけどカッコいいな」と思ってます。自分が演じている役だから贔屓(ひいき)目にみてるのもしれないですけど(笑)
――鬼丸ふくめ、本作に登場する敵キャラはどこか憎めないですよね。
個人的な話ですけど、本当に悪いだけのキャラクターがいるイメージがないんですね。鬼丸は、鉄 刃を倒して、剣の道の頂点に登り詰めたいだけだし、強さの証明のために相手に勝つという思いがあります。なのであんまり悪人という感じは個人的にはしていません。(鬼丸の手下の)ナマコ男があんなにかわいい感じなのに、あれですごい悪人だったら、本当に嫌な感じしませんか?(笑)
――(笑)。そういったところ踏まえて、鬼丸を演じるうえで大切にしたことを教えてください。
ここまで鬼丸の未熟さばかりを話してしまいましたが、彼が「心・技・体」の「心」が未熟だということは、観てくださる方が何とな〜く感じるぐらいの雰囲気で出せればいいなと思ってやっています。
「YAIBA」の長い物語の中で、彼もまだ“途中の人”なんです。今は滑稽に見えるところがあるかもしれませんが、彼は彼なりの正義とか志があるんだなって感じてもらえたら、鬼丸のことをより好きになってもらえるかもしれないと思っています。

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
――お話をうかがっていると、鬼丸に親近感を抱いていることが伝わってきますし、見守っているようにも感じます。
鬼丸はまだ10代の中学生ですから、年齢的に自分は見守る方でいたいです(笑)。鬼丸はまだ、「強さ」というものをとらえている次元が低いと言うか。「俺は怖いだろう。強いだろう」と威嚇していて、それが何だか人間味を感じて好きなんです。そう言う時期って人間あるよなぁ〜って(笑)。鬼丸の弱いところが好きと言うか。とにかく、素敵な役をいただいたなと思っています。

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「自分もこういう人になりたい」
“レジェンド”高山みなみとのアフレコは特別な時間
――「真・侍伝 YAIBA」において、やはり主人公・刃を演じる高山みなみさんの存在は大きいかと思います。高山さんとのアフレコはいかがですか?
テレビで見ていた方なので、そういう意味でも、みなみさんと現場をご一緒させていただけることがすごくうれしかったですし、光栄でした。自分が子どもの頃に見ていた、レジェンドと呼ばれる方々と同じ立ち位置やライバルキャラで共演する機会を、自分たちの世代で与えられることはあまりないと思うので、すごく貴重な機会をいただいたと思っています。
第2話以降で、初めて刃と鬼丸が長くかけあうシーンがあって、僕はその収録をすごく楽しみにしていました。これはあくまで僕の感覚なんですけど、その収録ではみなみさんも楽しそうにされていたように見えたんです。だから、みなみさんもそのシーンの収録を楽しみにしてくださっていたのかもしれない、そうだったらいいな、と思ってましたね。

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
――アフレコの充実度が伝わってきます。
キャリアで考えたら足元にも及ばないような方じゃないですか。それなのに、それを感じさせないと言うか。僕が一生懸命やるのは当たり前ですが、みなみさんも当たり前に一生懸命にやられていて。それを見た時に「自分もこういう人でありたい」と思ったんですね。ベテランだから、若い人をフォローしたり、包んでくれたり安心させてくれるということではなく、そういうことを抜きに役としてまっすぐに立ち向かってきてくれたように感じました。そのフラットな感じがすごく素敵で。お芝居以前に人として素敵だなと思ったし、自分もこういう人になりたいし、こういう人でありたいと思いました。
――高山さんといえば、同じく青山剛昌作品である「名探偵コナン」でも主演を務めています。共演されていて、「青山剛昌作品への理解が深い」と感じるような瞬間はありましたか?
僕が言うのはおこがましいです(笑)。理解が深いという言葉では言い表せないですね。そういう次元ではないと言うか……。青山剛昌作品=高山みなみ。みたいな感じです。「名探偵コナン」や、「YAIBA」は、みなみさんの声がないとしっくりこないと言うか。子どもの頃から見てきた人からしたら、もしもみなみさんの声がなかったら「これは青山剛昌作品なのか?」となってしまうんじゃないかなと。多分みんなそうなんじゃないかと思います。なので「理解が深い」とか言う話ではないと思います。
――そういった作品で高山さんと共演するというのは、改めて特別な時間だったんですね。
本当に、すごく特別です。レジェンドと言われてる方と、ライバルキャラとして肩を並べてやらせていただくのは、有り難いことだなと思います。

(C)⻘山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会
――さらに特別なことに、本作「真・侍伝 YAIBA」は「名探偵コナン」との連続放送となり、土曜の午後5時30分からの1時間が“青山剛昌アワー”として盛り上がっています。細谷さんが思う「青山剛昌アワー」のアピールポイントはありますか?
アピールポイントは…青山剛昌先生が「名探偵コナン」を描く前に「YAIBA」という素晴らしい作品があったんですよということですかね。実は「YAIBA」の方が作品としては先なんですというところ(笑)
――そういえば、インタビュー前の写真撮影の合間に、細谷さんが着ぐるみの刃くんに「コナンくんより先輩だよ」と声をかけているのを目撃しました(笑)
どんな反応するのかなと思って伝えました(笑)
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作品情報
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真のサムライを目指し、ジャングルで修行に励んでいた鉄刃(くろがね やいば)。ひょんなことから日本に戻り、父・剣十郎と縁のある峰家に身を寄せることに。峰家の娘・さやかは破天荒な刃に戸惑いながらも暮...
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