2025年12月8日(月)18:30
板垣李光人、生きている実感を感じるのは「鼻腔が痛くなる時」、中村倫也は「スーパーで」【「ペリリュー 楽園のゲルニカ」初日舞台挨拶】
戦争漫画の新たなる金字塔を劇場版アニメーションとして映画化した「ペリリュー 楽園のゲルニカ」(上映中)の公開初日舞台挨拶が12月5日、東京・新宿バルト9で行われ、主演の板垣李光人、共演の中村倫也、久慈悟郎監督、原作・共同脚本の武田一義が出席した。主題歌を担当した上白石萌音からはサプライズのビデオメッセージが届いた。
本作は、戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田氏の同名戦争漫画を、「魔都精兵のスレイブ」などの久慈悟郎監督がアニメーション映画化。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリュー島を舞台に、死んだ仲間の最期を書き記す「功績係」を務める日本兵・田丸を主人公に、極限状態の中でも懸命に生きた若者たちの姿を描いた作品。漫画家志望の主人公・田丸均を板垣、相棒の吉敷佳助を中村が演じている。
満席の客席を前にした板垣は「感無量です」と無事に公開初日を迎えた喜びを語り、「皆さんの感想もSNS等で届いておりますので、今日映画をご覧になった方も自分の中で整理したり、SNSに書き留めたり、感想をお聞かせください」と観客に呼び掛けた。
一方、田丸の相棒である吉敷を担当した中村は、「観て、知って、感じていただきたい作品」と作品を紹介しつつ、客席に阪神タイガースのユニフォームを着た子どもを見つけると「タイガースファンなの? 映画怖かったね。でもその記憶が大人になっても残る貴重なものになるので…阪神と共に応援してください」とジョークを交えつつ、ファンと交流した。
久慈監督は、板垣と中村の熱演に触れ、「ペリリュー島にいる等身大の若者の声を表現してほしかった。中でも最後のセリフは外せないところだったので、アフレコ時はスタッフ一同注目して聴いていたけれど、バシッと一発で決めていただけた」と絶賛。武田も「お二人の第一声が想像を超えていて、自分がイメージしていた田丸と吉敷過ぎた」と称えた。これに中村は「声優としての仕事増えますかね? 売れたいな~!」と大喜びしていた。
作品の反響について問われた板垣は「子供の頃に祖父から戦争の話を聞いた事を思い出したとか、そういう声を頂く。そんな記憶が本作をきっかけに呼び起こされて、戦争に対する理解が進むきっかけを作れたのではと思う。それこそがこの作品を世に届ける意味の一つになって来るので嬉しいです」としみじみと語った。
なお、ステージの背景には試写会で既に本作を鑑賞した観客からの「若い世代にこそ見てほしい心震える映画」「かわいい絵が、戦争の残酷さを浮き彫りにする」「自然の綺麗さと残酷さの対比」「もうずっと泣いてた」「今ある当たり前の日常をもっと大事にしなきゃいけない」といった感想が記されたパネルを設置。
それを見た武田は「戦争ものは視聴年齢層が高くなりがちなので、そのハードルを下げて若い人に観てもらうために絵柄や主人公の性格などを設定した。だからお子さんが観てくれるのが本当に嬉しい。原作ファンの方から“ちゃんと『ペリリュー』だ”と言ってもらえたことにもホッとしている」と素直な心境を吐露した。
また、板垣は「泣く、というのは僕らが伝えたいものが伝わって、それが涙となっていると思うので、そのような反応が生まれ手応え嬉しい事」と観客の反応の手応えを語り、中村は「歴史を題材にした作品の特徴は結末を知っているという事。この作品も太平洋戦争の結末を知っている状態で観始めると思うので、物語の中で起こる人間たちの会話や葛藤、選択の一つ一つが新鮮かつダイレクトに届いたのではないか」と分析した。
「生きている実感を得る時」を聞かれた板垣は「今の季節、外に出て冷たい空気を吸うと鼻腔が痛くなる。それ」と照れながら回答。中村から「それは感覚で得るの? それとも季節が巡っている事で感じるの?」などとツッコまれると、「季節の変化によって体が反応する。痛覚として自分の中に季節の変化が…」と解説を始め、中村は「痛覚!?こういう場で痛覚という言葉を持ち出す俳優はなかなか珍しい」と板垣のワードチョイスに爆笑していた。
一方、中村は「中身が詰まっているキャベツを見たり、今年はブロッコリーが小さいなと思ったり、スーパーで主に感じます。生活している実感というか、仕事している時は生きている実感は感じないけれど、そことは離れた生活で“わし、生きとる”と。“頑張って今朝も物を食べようとしとる”と感じる」と独特な感性で生きている実感を言語化すると「…これ、どんなネットニュースになるの?怖えーよ」と苦笑いしていた。
ここで本作の主題歌「奇跡のようなこと」を担当した上白石萌音からサプライズで届いたビデオメッセージが披露され、白石は「本当に優しい歌詞とメロディー。そして当たり前のようによう生きている日々は、実は当たり前ではなくて、誰かが頑張ってできているもの。奇跡のようなことだけど、奇跡ではない」、と主題歌と本作の魅力を噛みしめた。そんな白石の主題歌について、板垣は「エンドロールと共に主題歌が流れて来る事が心地よくて、余韻を優しく撫でてくれるような曲だと思いました」と語り、中村も「子守歌のような、鎮魂歌のような。包み込みながら透き通ったメロディと声で前を向かせてくれる美しく優しい温かい主題歌」と絶賛した。
作品情報

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1万人中たった34人しか生き残れなかった、地獄のような戦場、ペリリュー島で、若者たちは何を想い、生きたのか、その壮絶な戦いを描く。昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、...
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