2024年2月15日(木)19:00
加隈亜衣が「もふなで」で3歳児を演じるときに意識したこと いやされエピソードも披露
(C)向日葵・高上優里子/双葉社・もふなで製作委員会
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放送中のテレビアニメ「異世界でもふもふなでなでするためにがんばってます。」(通称「もふなで」)は、人間以外の動物に好かれる能力を与えられて異世界に転生した公爵家の3女、ネフェルティマ・オスフェ(通称ネマ)が主人公。かわいい動物をひたすら“もふもふなでなで”する暮らしをおくりながら、ネマは次第に世界の仕組みを知ることになる。
ネマ役を演じる加隈亜衣に、3歳のときのネマを演じるさいに意識したこと、共演者との収録エピソード、加隈自身がプライベートでいやされたひとときについて語ってもらった。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)
――ネマ役はオーディションで決まったそうですね。原作を読まれての感想から聞かせてください。
加隈:事務所から「オーディションがありますからテープを録らせてください」と話をもらってまずタイトルを聞いたとき、「え、かわいい。でも、『がんばってます。』ってどういうことだろう?」と思ったのが最初の印象でした。想像ができるようで難しいなと思いながらコミカライズを読ませていただいたら絵がすごくかわいくて、「あ、いやし系だ……やった! かわいい作品をうけることができてうれしいな」と思いました。
――オーディションはテープオーディションのみだったのでしょうか。
加隈:はい、テープでネマだけをうけました。オーディション用のテープを録るときは、いろいろなシーンのセリフがあるのではなく、ある特定のシーン中心だったと思います。しかも、原作のけっこう先のシーンで、アニメでは中盤ぐらいにでてくる子との出会いのシーンでしたので、ネマちゃんの成長などもアニメでは描かれていくんだろうなと想像しながら録りました。
――初回の収録はどのように進められていったのでしょう。
加隈:まだ分散収録の時期でしたが、掛けあいをとても大事にされている現場でした。私が演じるネマは1話ではずっとしゃべっているので、ネマと掛けあいの多い人とは一緒に録ろうと、基本私はずっとスタジオにいて、一緒に録る方々が時間をわけてスタジオに入られるかたちでした。
個人的な出来事として、ネマのお父さん役(デールラント・オスフェ)を演じられた古谷徹さんとは初めてご一緒したので、初回の収録は少し緊張していました。実際にご一緒して、やっぱりどこかオーラが違うなと感じ、古谷さんが演じられると現場の空気感が変わるところもすごいなと思いました。古谷さんに引っ張っていただくかたちで、自分自身もピッタリいった感じがありましたし、原作者の先生も古谷さんにお願いしたかったという話をきいて、先生も望んでいるかたちで作品づくりができているんだなというのもふくめて、うれしかったです。家族のシーンは、基本家族のキャストがそろって録ることができました。
――家族のひとりであるネマの兄・ラルフリード役の梅田修一朗さんの印象はいかがでしたか。
加隈:梅田さんはお会いして、「あ、この人、良い人だろうな」とパッと分かるような、すごくやさしい感じの方でした。他のキャストの方々も、「もふなで」がやさしい感じの作品だからか、皆さんおだやかな人が多い印象で、アフレコの合間にはお菓子を食べたりしながら、なごやかにおしゃべりしていることが多かったです。
キャラクターに、それぞれのパーソナルな部分が感じられるというか、ラルフは梅田さんのやさしい感じがピッタリですし、ヴィル役の大河(元気)さんとの相性がすごくよくて、梅田さんと大河さんは今回が初めてなのに、何度も現場が一緒だったんだろうなと思えるぐらい息のあった掛けあいでした。収録の合間も、梅田さんと大河さんの掛けあいのような会話を楽しくきくことが多かったです。
――この作品は、27歳で過労死した女性会社員が異世界に転生して幸せな世界を生きる物語です。そうした幸せな空気感が収録のあいだにもわりとあったわけですね。
加隈:そうですね。作品自体は、オープニングの映像を見ていただくと分かると思うのですが、「これはもしかして…」と思えるような、やさしいだけではない世界観も描かれているので、あるところからはちょっと緊張感のある展開も入ってきます。そのあたりの伏線は、1話冒頭の27歳の「秋津みどり」と神様との会話のなかで語られています。これから見るかたはその部分に注目していただくといいかもしれません。
――神様役は三木眞一郎さんが演じられています。
加隈:目が描かれず、ちょっとあやしくて飄々(ひょうひょう)としたところのある神様ですが、三木さんが演じられることによって奥深さのある感じになっていると思いました。三木さんとは1話前半の「秋津みどり」だった頃と、そこからネマに転生したアバンのところまでの収録をご一緒できて、そのときに「ネマちゃん、かわいいね」と言っていただけて、(うれしそうに)よかった……と思いました(笑)。やっぱり3歳の子を演じる不安はすごくありましたので、三木さんの言葉に勇気をいただけました。
――白虎のラース役は武虎さんが演じられています。これは加隈さんに聞くことではないかもしれませんが、白虎を武虎さんが演じているというのは偶然なのか狙いなのか、面白いなと思いました。
加隈:(笑)。武虎さんご自身は、虎もふくめて動物の役をされることが多いみたいですが、おっしゃるとおり、武虎さんが虎を……って、なんだかそれだけで楽しくなるところはありますよね。武虎さんはラースのもふもふ感をとても大事にしてくださって、12月に行われた先行上映イベントには、もふもふで手触りのいい白いジャケットを着てくださったんですけど、その日が12月なのにすごく暑くて、汗だくになりながらも着ておられたところに、すごく作品愛を感じました。
(C)向日葵・高上優里子/双葉社・もふなで製作委員会
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――さきほど3歳の子を演じる不安があったとお話されていました。ネマを演じるにあたってとくに気をつけられたところがあったら聞かせてください。
加隈:お話の設定で自分のなかでありがたいなと思ったのが、ネマは27歳の秋津みどりの気持ちや知識を脳に残したまま転生していることでした。子どもを演じるうえで、赤ちゃん言葉などをわざとらしくやるのはどうなのかなと思っていたときに、ネマのモノローグで「舌の筋肉が発達していないから上手くしゃべれない」というちゃんとした理由付けがあって、そういう理由付けがあるとやりやすいなとすごく助かりました。
そんなふうに気持ちのうえではすごく助かったのですが、いざ演じるときはやっぱり大変で、ネマは自分のフルネームを上手く言えないからと、台本には「ねふぇるてぃま・おすふぇ」みたいに、ひらがなで書かれていまして。
――なるほど。たどたどしい感じにしてほしいという意図で、ひらがなで書かれているわけですね。
加隈:ネマが3歳の頃のセリフにはひらがなが多くて、ぱっと台本を見たときに、「あ……読めない」と言葉の意味がすぐに理解できないことが多かったです(笑)。ひらがなで書かれているところは絶妙に間違った感じで言わないといけなくて、それが求められていることではあるのですが、ネマとしては「オスフェ」とちゃんと言いたい。でも、舌が発達していないから上手く口がまわらない。そんなところをどう表現したらいいんだろうと試行錯誤しました。
あと、子どもとして振る舞うけれど、やりすぎはあざとくなりすぎますし、でも、例えば制服を着ると気持ちがそっちに引っ張られてることってあるじゃないですか。それと同じように、外見が3歳児にかわると体が脳を導くように、頭は大人でも自然と子どもっぽい振る舞いになるのかな……とか考えながら、自分のなかで整合性をたもとうと意識していました。ここはまわりの目を気にしながら3歳児を楽しんでいる、ここでは自然と彼女のなかの3歳児がでちゃっているのかとか……ちょっと伝え方が難しいのですけれど。
――言われているニュアンス、分かる気がします。着るものが変わるだけでテンションが変わるように、姿かたちが変われば言葉や振る舞いもかわってくるといいますか。
加隈:「自分は本当は27歳だ」ということが頭から消えてしまう瞬間もきっとあるはずで、ここは本当に楽しんでいるんだろうな、ここは子どもであることを利用しているのだろうな、というような部分が散りばめられているのがこの作品の面白いところだなと思いました。どういう意図でこのシーンやセリフがあるんだろうと考えだすと、ほんわかとした雰囲気ではあるものの、演じるうえではけっこう難しい作品だなと思い、自分の解釈が必ずしも正解かどうかは分かりませんが、なるべくそこに気づけるようにしようと思いながら収録にのぞんでいました。
――チルアニメと銘打たれている本作にちなんで、加隈さんが日々の生活のなかでいやされる瞬間や、いやされるものがありましたら聞かせてください。
加隈:年始に弟が飼っているダックスフンド2匹に久しぶりに会えて、とてもいやされました。両方とも女の子なのですが、前はすごく懐いてくれたお姉ちゃんのほうが、妹ができてからは「私お姉さんだし」みたいな感じになって、なかなか懐いてくれなくなっていて。でもたまに誰にもかまってもらえないとき、自分のところに来てくれたときはすごくうれしくて、「やった!」みたいな(笑)。そういうときは、とてもハッピーな気持ちになります。
ちなみに、お姉ちゃんが人の膝の上で寝たのは私が最初らしく、弟夫婦の膝では寝ないのに私の膝では寝たよというのが、弟にたいする私の小さな自慢です(笑)
※加隈亜衣さんがゲスト出演した「徳井青空のアニメハックTV #30」もあわせてご視聴ください。
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