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特集・コラム 2024年6月13日(木)19:00

「SHY」下地紫野、「シャイになりたい」からはじまった役への思い

(C)実樹ぶきみ(秋田書店)/SHY 製作委員会

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テレビアニメ「SHY」は、実樹ぶきみ氏が「週刊少年チャンピオン」で連載中の漫画が原作。ヒーローの登場によって地球から戦争がなくなった近未来を舞台に、日本の平和を担う恥ずかしがり屋のヒーロー・シャイ(紅葉山テル)の活躍が描かれる。
 シャイ役を演じる下地紫野に、オーディションやテレビアニメ第1期の収録を振り返ってもらいながら、7月からスタートする「SHY 東京奪還編」で新たに登場するキャラクターについても語ってもらった。「アニメハックTV」のアーカイブ動画とあわせて、読んでいただきたい。(取材・構成:五所光太郎/アニメハック編集部)

――「アニメハックTV」で徳井青空さんと共演されていかがでしたか。

下地:以前、別の番組で共演したときがはじめましてだったのですが、笑顔が素敵で気さくに声をかけてくださって、とてもやさしい方だなと思っていました。ですから今回も楽しみにしていましたが、想像以上に楽しい時間をすごすことができました。身をゆだねて安心しておしゃべりができて、ゲームでは一緒に頭を悩ませながらとりくめて楽しかったです。もっと仲が深めることができたらうれしいなと思い、また何かでご一緒することがあったら、いろいろお話したいと思っています。

――「アニメハックTV」で、「SHY」のオーディションの話をされていました。オーディションは、テープとスタジオの二段構えだったのでしょうか。

下地:はい、テープのあとスタジオに行きました。

――だいぶ前のことだと思いますが、テープオーディションのことで覚えていることがありましたら聞かせてください。

下地:テープオーディションのセリフにはいろいろなパターンがあって、掛け合っている相手のセリフも入った原稿のときもあるのですが、「SHY」はシャイのセリフだけの原稿だったのは、よく覚えています。原作を読みこんで、そのセリフの前後にシャイやテルちゃんにどんなことがおきていたのか、しっかり頭にいれて臨んだと思います。

――スタジオオーディションでは、いかがでしたか。

下地:オーディションってひとりずつブースに入ってやるんですが、会場のスタジオがすごく広くて。その広さが心細さを増幅させるような感じだったのを覚えています。スタッフの皆さんは、おそらく私の演技をどう思っているのか悟られないようなお顔をされていて、その上、ディレクション以外で言葉を交わすことはほぼなく、オーディションは進むんです。それだけに、終わって「お疲れさまでした」「ありがとうございました」と言う時間も緊張感がありすごく長く感じられて、なんだかとても怖かったです。
 スタジオオーディションに何人残っていたか分かりませんが、会場では誰にも会わずにひとりで臨み、「このオーディションに落ちたら、もうシャイを演じられない。もしかしたら彼女を演じるのはこの時間が最後なのかもしれない」と考えながら、でもどこか自分自身、気持ちが高ぶってしまっていたなと、今振り返ると思います。

――スタジオオーディションで、手応えはありましたか。

下地:なかったですね。番組でもお話しましたが、アクションシーンのアドリブを何テイクもやることになって。そうするとやっぱり、「ダメだから何回もやっているんじゃないか」という気持ちになるんです。もちろん時間をかけてやってくださっているということは、何か引っかかるものは感じていただいているのかもしれないのですが…。アクションの部分を重点的にやる想像をしていなかったので、やりながら、「(小さい声で)あ……これはダメなのでは……?」という気持ちにどんどんなってしまいまして。こんなに何テイクもやることになって悔しいなという気持ちはありました。

――「アニメハックTV」では、オーディションに受かった知らせをマネージャーさんからサプライズで知らされたという話のなかで、下地さんが「シャイになりたい」と役を熱望されていたエピソードを披露されていました。なぜそこまで思い詰めるように考えられていたのでしょうか。

下地:オーディションで作品を知ったときに、お話の面白さにくわえて、シャイやテルちゃんにとても共感したんです。他のヒーローたちもそうですが、それぞれのバックボーンに勇気づけられたところもあり、やりたいなと強く思ったんです。あとこれは、自分勝手な思いなのですが、自分の人生の節目や声優としてのキャリアを考えたときに、当時ちょっと切羽詰まったように考えていたところがあって、このタイミングが主役をやる最後のチャンスかもという気持ちもありました。それだけにシャイ役にきまったときは本当にうれしかったです。

――主役の方は、アフレコ現場で座長的な振る舞いが求められるという話をよく聞きます。収録のさい、そうした点は意識されたでしょうか。

下地:ほとんどの皆さんが私よりも芸歴が上でしたので、みんなを引っ張っていくみたいな感じではなかったですし、むしろ胸を借りてやらせていただいたところがありました。(小石川)惟子役の東山奈央さんが、「紫野ちゃんが一生懸命やっている姿を支えたいと、みんな思っていたはずだよ」と言ってくださり、私はその言葉を信じようと思いました。座長らしいことはできないけれど、自分なりに一生懸命やることしかできないから頑張ろう、という感じだったと第1期の収録を振り返ると思います。

――第1期の最終回では、戦いが終わったあと、シャイが風邪をひくというほっこりしたエピソードが描かれました。

下地:戦って終わりではなく、中学生のテルには彼女の日常があるところを描いているのが、とても素敵だなと思いました。シャイとしての成長を描いたあと、中学生のテルとして惟子ちゃんのことを下の名前で呼ぶという成長が描かれるのがすごくいいし、温かいなあと。あれだけ大きなことをなしとげたシャイと比べると、テルがやったことは小さな一歩かもしれませんが、彼女にとっては、とっても大きな一歩なんですよね。そうした地に足がついた、私たちが生きているような日常を彼女たちもおくっているんだというのを見せる「SHY」らしい最終回だったと思います。

――7月からスタートする「東京奪還編」には新たなキャラクターとして、小岩井ことりさんが演じる天王寺曖、上田瞳さんが演じるウツロが登場します。おふたりとご一緒しての感想とあわせて、「東京奪還編」の注目ポイントを聞かせてください。

下地:ことりさんの、おっとりしているけれど快活さもある曖ちゃんがすごく素敵で、ぴったりだなと思いながらお芝居を聴いていました。はんなりした方言の魅力だけでいくと、おっとりしている印象が強くなりそうなところを、曖ちゃんがもっている元気な女の子という部分を見事に表現されていると思います。
 ウツロ役の上田瞳さんは同じ事務所の後輩で、プライベートでよく話もする仲なのですが、アニメーションの現場でこうして掛け合うのはほとんど初めてに近いです。なので、上田さんがウツロ役を演じると聞いたときは、敵対する立場で一緒になるというのがまず意外でした。いつも、「下地さん、下地さん」ときてくれる彼女と敵対するというのは、面白いし、新鮮だなと。これは下地紫野としての思いなのですけれど(笑)
 「東京奪還編」でも、シャイは曖ちゃんと出会って、いろいろと戦いに挑むことになりますが、第1期があったからこそ感じられるシャイの成長や、彼女にたいする他のヒーローたちの新たな思いもみえてきて、それがすごく温かく感じられるシーンもあります。新たな舞台のバトルはもちろん、新しいシャイちゃんの姿を見られるんじゃないかと思います。

――下地さんご自身の、「東京奪還編」の収録の手応えはいかがですか。

下地:第1期のときとは別の意味で、とにかく必死というのが本当のところです。音響監督さんが、「もっとこうしてほしい」と丁寧にディレクションをしてくださるので、自分なりにこうしようああしようと、それに応えていくのに必死で、いつも足りていないなと思うことばかりです。アフレコ現場の皆さんが支えてくださったり引っ張ってくださったりして、やれているなと感謝しています。

下地紫野さんがゲスト出演した「徳井青空のアニメハックTV #33」もあわせてご視聴ください。

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アニメハック編集部

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[筆者紹介]
アニメハック編集部(アニメハックヘンシュウブ)
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SHY

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