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特集・コラム 2018年9月20日(木)19:00

【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第8回 にゃんぱすー 映画「若おかみは小学生!」は必見なのん

(C) 令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会

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まったく、小学生は最高だぜ……と、書き出してみるけれども、筆者、ロリコンではありません。断じて違います。どちらかといえばお姉さんキャラが好きです(聞いてない)。若干遅ればせながら、「劇場版 のんのんびより ばけーしょん」を見たというだけのことです、はい。エンタテインメントのテンポ感はどんどん加速する傾向にありますが、そんな中、時代に逆行するかのように穏やかな時間を紡ぎ出し、人々の心を潤したテレビアニメ「のんのんびより」。その満を持しての劇場版。しかし、いい意味で、肩肘を張っていないところがよかった。沖縄旅行という特殊なシチュエーションこそ設定されるものの、流れる時間の感覚は、これまでのシリーズと同じゆったりしたもの。「劇場版なんだから神作画で神アクションをするスペシャルな見せ場を作らねば!!」みたいな妙な気負いナシ(背景美術は特濃ですけれども)。それがいい。サラッと、自然に、子どもの頃の「ひと夏の思い出」を疑似体験できる良作に仕上がっていました。すっかり季節は秋めいてきましたが、まだまだ見ごろかと。

で、劇場アニメといえば、21日から上映のはじまる映画「若おかみは小学生!」なんですよ。ま、また小学生……やっぱりロリコンなんじゃ……って、違うから。そういうフザけた話ではなく、これ、強くオススメです。家庭の事情で祖母が経営する小さな老舗温泉旅館に引き取られ、「若おかみ」としての修業を積むことになった少女・おっこの成長を、温泉街の美しい四季折々の風景描写を背景に描き出す。そんな物語の展開は穏やかなものです。もちろん、成長物語ですから、おっこの身にはさまざまな乗り越えなければならない困難が降りかかり、苦しい、悲しい瞬間も訪れます。でも、そのどれもが大げさな、いわゆるエンタテインメント的にわかりやすく盛り上がる構図に落とし込まれない。それでいて、落ち着いた演出と地に足の着いた丁寧な作画で、グイグイと画面に引き込まれるんですわ。静かなんだけど、すごみがある。ワタクシ、終盤の山寺宏一さん演じる中年男性とおっこちゃんとのあるやりとりで、涙腺が完全に決壊。そこから先はボロボロ泣きながら見ました。なお、テレビアニメも放映中で、こちらはこちらでまた楽しい作品なのですが、映画は映画で独立した1本の作品に仕上がっていますので、テレビアニメを未見の方でも安心して劇場に足を運ばれたし。ぜひに。

そうそう、最後になりましたが、オフィシャルライターとして関わらせていただいた(って、ようは作品の公式サイトとパンフレットのテキストを書いただけ)、劇場アニメ「君の膵臓をたべたい」もまだまだ公開中です。青春もの、アニメの日常芝居が好きな人であれば、見て損はない作品かと。コアなアニメファンが楽しめるポイントもちゃんとある(冒頭とか、中盤の海辺のシーンとか)ので、そういう興味関心のある方もチェックしてみてくださいまし。そして、そのへんを掘り下げたパンフレットもゲットしていただけると幸甚でございます……って、ガチ宣伝やん! それでいいのか!? ……いいか、うん。

前田 久

前Qの「いいアニメを見に行こう」

[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ)
1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。

作品情報

若おかみは小学生!

若おかみは小学生! 4

6年生のおっこは交通事故で両親をなくし、祖母の経営する旅館”春の屋”に引きとられる。そこに住みつくユーレイ少年・ウリ坊や、転校先の同級生てライバル旅館のあととり娘の真月らと知り合ったおっこは、ひ...

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