2020年2月15日(土)19:00
【前Qの「いいアニメを見にいこう」】第26回 増えろ! 犬系ヒロイン「群れなせ!シートン学園」
(C) 山下文吾・ Cygames /アニメ「群れなせ!シートン学園」製作委員会
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2020年、アニメの歴史が大きく塗り替えられた。「んばば・んばんば」といえば、もはや「南国少年パプワくん」ではない。「群れなせ!シートン学園」なのである。なんだそりゃ。いやまあ、思わずそんなことを思うくらい、おもしろいってことよ。「シー学」が。ワタクシ、こういうアニメが大好きなのだ。
内容は、様々な動物たちが通う学校を舞台に、少数派の生徒である人間の主人公と、他の種族の生徒たち(大半は動物擬人化美少女)の交流を描くライトなコメディだ。身も蓋もないことをいえば、「けものフレンズ」フォロワー的な企画でしょーね。原作コミックはそれと関係なく動いてたのかもしれないけど、アニメ化されたきっかけは、おそらくそうでしょう。社会現象級の大ヒット作が生まれるって、そういうこと(……われながら、知ったようなクチきいてんなー)。とまれ、メインヒロインであるところのオオカミ少女・大狼ランカちゃんが超かわいいんすなあ。オオカミとはいうものの、実質的な行動パターンは犬。機嫌によってしっぽをフリフリしたり、ご主人さまのまわりをぐるぐるかけまわったり、顔をペロペロしたり。たまらん。木野日菜さんの超音波ボイスもサイコーだ(朴訥に歌い上げるバラード調のEDテーマは必聴)。アニメの世界はどちらかというと猫耳ヒロインの勢力が強いですが、もっと犬系ヒロインも増えていいと思う。思うというか、増えてくれ。俺のために。俺のために〜♪(ボヘミアンなシャウト)
で。前々からいろんなとこで書いていることですが、テレビアニメで毎週、劇場作品やOVAに近いクオリティのものが無料で見られたら、そりゃ、うれしい。ありがたい。しかし、やはりテレビアニメにはテレビアニメらしい、「ほどよい」バランスがあると思うのです、ワタクシ。線の多いキャラクターがグリグリと動き回るような、コッテコテの映像美。どぎつい暴力や、セクシャルな表現。アバンギャルドな演出。そういうのって、テレビアニメにマストのものじゃない(下世話で直球なエロネタをやる「異種族レビュアーズ」みたいな尖ったアニメも、楽しいことは楽しいけどネ)。キャラクターが愛らしく、シンプルながらもよく練られた起承転結のはっきりしたシナリオがあり、キャストの芝居も活き活きしていて、映像のテンポがよければ、十分にアニメっておもしろい。むしろそのほうが、日々の激務に疲れた心と体には、スッと沁みわたるくらいだったりする。「シー学」って、そういう「ほどよい」ラインを見事に突いているアニメ。監督は「キラッとプリ☆チャン」も絶好調な博史池畠さんなわけですが(トークイベントで何度も共演してます(プチ自慢))、「宇宙戦艦ティラミス」といい、この人はそのあたりの絶妙なツボを押さえるのが本当に巧い。劇場アニメが分厚いステーキやカツ丼なら、「シー学」は毎日食べても飽きのこない味噌汁とご飯みたいな感じ。ぼ、ぼ、ぼくは、白いご飯が、大好きなんだな。こういうアニメが、1クールに最低でも1本くらいは、あってほしいんだな。できれば、もっと。そう願って、何度でも何度でも、ことあるごとにアピールしていきたい次第。ライターとしての切り口が少ないわけではないのです。ネタを使いまわしているわけではないのです。本当なのです。信じてほしいのです。
……ではまた、次回!
前Qの「いいアニメを見に行こう」
[筆者紹介]
前田 久(マエダ ヒサシ) 1982年生。ライター。「電撃萌王」(KADOKAWA)でコラム「俺の萌えキャラ王国」連載中。NHK-FM「三森すずことアニソンパラダイス」レギュラー出演者。
作品情報
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ここは様々な動物が共に生活する、動物たちの学園。その名も「私立シートン学園」。生徒たちが弱肉強食の精神を育むための神聖なる檻。各々の生存を懸け、絶えず異なる種族間での争いが日々巻き起こる。動物嫌...
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