【この2.5次元がすごい】「『進撃の巨人』-the Musical-」が圧巻　テクノロジーとアナログが融合して作品世界を再現

※舞台写真は全て大阪公演での公式写真です
(C)諫山創・講談社／「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会

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世界的にも人気のある漫画「進撃の巨人」を原作に、現在上演中なのが「『進撃の巨人』-the Musical-」。諫山創氏による「進撃の巨人」は今年ついにアニメも完結する予定で、2021年の連載終了以降も注目度の高い作品です。
　実は私が漫画やアニメについて取材をしたり、記事を書いたりするようになったのは、「進撃の巨人」がきっかけでした。当時はあまり漫画を読む習慣もなかった私ですが、連載がはじまった頃に勧められて読んだ「進撃の巨人」の衝撃は忘れられません。そしてその衝撃的な世界が、アニメでは美しく残酷に描かれていて感動し、作品をさまざまな手法で魅力的に見せるメディアミックスに興味をもちました。そんな「進撃の巨人」の舞台化です。17年に一度舞台化の発表がありましたが、それは残念な事故により中止に……。今回の舞台化が発表されたときは、期待だけでなく当時のことも少し思い出してしまいましたが、実際に観劇すると見どころの多さや世界観の再現に驚かされ、あらためて大好きな作品だと再確認することができました。

ミュージカルだからこそ表現できるダークファンタジーの世界

今作の特徴はなんといってもミュージカルだということ。キャラクターの心情の心情だけでなく、絶望的なシーンも象徴するようにうまく取りいれられていました。例えば、巨人が壁を破り100年の平和が崩される場面では、人々の諦めや救いを求める気持ちが歌われます。決してメインキャストの見せ場ではありませんが、絶望感が街を包み込むような印象的なシーンでした。

(C)諫山創・講談社／「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会

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主人公のエレン・イェーガーを演じたのは岡宮来夢さん。幼馴染のアルミンと夢を語る表情や、巨人への怒り、そして戦う強い意志などエレンらしい姿を豊かに歌いあげます。また、歌だけでなく、岡宮さんはお芝居でも見せてくれました。母親との別れのシーンは涙なしでは見られません。

訓練兵時代に仲間と過ごす場面では、連帯感のあるダンスが取り入れられるなど、夢中になるポイントがたくさんありました。ミュージカルだからこそ表現できる「進撃の巨人」の世界といえるでしょう。

テクノロジーとアナログが融合する舞台演出

作品を見る前に気になるのは、やはり巨人はどのように表現するのだろう？　ということでしょう。作品のアイコン的な超大型巨人は映像で表現された頭部と、演劇的な手法でアナログに動かされる両手として舞台に登場しました。巨人の不気味さや恐怖がうまく表現されているように感じました。

(C)諫山創・講談社／「進撃の巨人」-the Musical-製作委員会

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一方で、すごくシンプルに表現しているなと思ったのが、調査兵団を率いる団長のエルヴィン・スミスと人類最強と言われるリヴァイのシーンです。兵士を鼓舞し、行き先が地獄であったとしてもそこへ導くエルヴィンと、そのエルヴィンを信じついていくリヴァイ。エルヴィンを演じる大野拓郎さんが歌い、その後ろで実際にフライングしながら松田凌さん演じるリヴァイが巨人と戦うという場面がありました。団長の歌声と戦う兵長の姿が、調査兵団の信念と希望を象徴しているようです。

キャラクターの再現度も高く、ミュージカルらしい魅力と力強いパフォーマンスが味わえる「『進撃の巨人』-the Musical-」は1月24日に東京・日本青年会館で千秋楽を迎えました。自由を求め巨人に立ち向かうエレンや兵士の思いに、私も何度涙したかわかりません。当日行われたライブ配信は31日まで視聴可能です。何度でも見たいし、早く続きも見せてほしいと思わされる作品でした。

大好きなあの人に奥行きが♡この2.5次元がすごい

[筆者紹介]
西岡 舞子（ニシオカ マイコ） オーストラリアのGriffithUniversityでジャーナリズムと犯罪心理学を学び、卒業後は出版やエンタメに携わる。舞台も音楽も仕事のあとの一杯もやっぱり生が好き！ いい舞台は何度もみたいし、記念に公演グッズも買っちゃう派です。好きな動物は猫とペンギンで好きな大福はいちご大福。