2025年12月31日(水)19:00
【数土直志の「月刊アニメビジネス」】2025年アニメビジネス10大ニュース 「鬼滅」世界ヒットからAIまで

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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毎年お馴染みの1年間のアニメビジネスの振り返りを、今年も「10大ニュース」のかたちでしてみたい。まずは独断で選んだ2025年の10大ニュースだ。
(1)「鬼滅の刃」世界で大ヒット、興収1200億円、ゴールデングローブ候補に
(2)世界の日本アニメ市場、過去最高更新
(3)東映アニメ、年商1000億円を突破
(4)日本動画協会、日本漫画家協会、出版社「生成 AI」に共同声明
(5)ソニーG、バンナム、東映アニメ AIベンチャーに投資
(6)横浜アニメーション、WHITE FOX、ガイナなどに企業買収
(7)「Chao」アヌシー映画祭で審査員賞
(8)ガンダム新作テレビシリーズ「ジークアクス」制作にスタジオカラー
(9)国立美術館/映画・マンガ・アニメ作品等収蔵施設実現へ
(10)あいち・なごやで新しいアニメーション映画祭
■劇場版「鬼滅の刃」、世界で前作を上回る大ヒット
25年の最大の話題が、「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」の大ヒットであることは多くの人が頷くに違いない。原作完結、20年公開の前作「無限列車編」から5年ぶりの完全新作劇場映画は、人気のピークを過ぎたのでないかとの当初の懸念を見事に吹き飛ばした。国内興業収入は12月21日の時点で386億円と前作の407億円に及ばないが、世界では「無限列車編」をはるかに上回る。12月半ばまでで、世界興行収入は1200億円に達したとみられる。世界興行収入トップ10にランキングする。
興行収入に加えて26年の米国ゴールデングローブ賞長編アニメーション部門候補作にもなった。これまでも日本アニメのノミネートはあったが、テレビアニメからスタートし、長大なシリーズの中間エピソードを切り取った作品が賞レースを戦えると示したのは画期的だ。世界の長編アニメーションの評価さえ変えかねない。
海外のアワードでは、25年のアカデミー賞短編アニメーション部門に西尾大介監督「あめだま」がノミネートになった。国内最大のスタジオである東映アニメーション制作と、こちらも時代の変化を感じさせる。
フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭では、大平晋也監督「スター・ウォーズ:ビジョンズ BLACK」が短編部門にコンペイン、オープニング作品ともなった。商業シーンとアートシーンの融合はグローバルで進展し、日本アニメはその潮流に乗っている。
アヌシーでは青木康浩監督「ChaO」が審査員賞を受賞、22年以降日本作品は4年連続で長編映画のアワード獲得が続く。世界からの日本アニメへの関心はこんなところにも表れている。
■世界市場を更新続ける日本アニメ、国からも熱い視線
アニメにおける日本への関心は、ビジネスの数字にも表れている。日本動画協会の調べによれば、24年に日本アニメの世界市場は3兆8407億円と過去最高に達した。このうち海外が2兆1702億円と半分以上を占める。
伸び率では海外が国内を圧倒しており、過去10年で日本アニメは海外依存の高い産業に明確に変わった。それだけに海外情勢に大きく影響を受けやすく、逆に利用されやすくなっている。11月以降の日中の政治関係の緊張がアニメイベント中止などにつながったのもそのひとつだ。
アニメ産業の成長は国や産業界からも関心を集めている。国はコンテンツ産業海外売上20兆円の目標を定めたが、アニメもその中心として期待されている。
目標達成のためアニメ業界に向けた支援・振興予算が急増している。人材育成や海外展開支援のほか、文化活性化にも目が向けられるようになった。総合美術館・博物館はまだ準備段階だが、国立美術館の一部である映画・マンガ・アニメ作品等収蔵施設は実現が決定し、30年に神奈川県相模原市に完成予定だ。マンガ原画、アニメの原画・セル画などを保存する大型施設だ。
■著作権問題と技術革新の狭間のAI
25年に熱い議論になったのが、AIだ。とりわけ米国OpenAIが日本のアニメ・キャラクターと類似する画像・動画生成するツール「Sora2」を発表したことが事件となった。日本動画協会は日本漫画家協会や出版社17社と共同で「生成AI時代の創作と権利のあり方に関する声明」を発表し、著作権法上の懸念を示した。
一方でアニメ企業はAIの技術自体を否定するわけでない。各社のAI研究・開発は活発化している。東映アニメーションは講談社などとAI開発ベンチャーのプリファード・ネットワークスに出資、ソニーグループとバンダイナムコホールディングスもAI事業を展開するGaudiyに出資した。
そのGaudiyは3月に英語圏最大のアニメ・マンガのコミュニティサイト「MyAnimeList」を買収した。AIベンチャーではCreator’s XもアニメスタジオのBENTEN Film(旧社名:ガイナ)を子会社化しており、AIとアニメ・マンガビジネスは急接近を始めている。
■激変のなかのアニメ企業・スタジオの挑戦
激しい変化のなかでアニメ関連企業も急ピッチで体制を整える。25年3月期の決算でアニメ制作会社として初めて年間売上1000億円を超えた東映アニメーションは、大阪に新しいアニメスタジオを設立する構想を発表、東宝は25年からIP・アニメ事業部を独立させ、さらに積極的なM&Aを通じてビジネス拡大を図っている。
25年はアニメスタジオの連携強化も目立った。大人気となったテレビアニメ「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズのスタジオカラーが参画して話題になった。そのカラー代表取締役社長で映画監督・プロデューサーの庵野秀明氏は、Production I.Gの取締役に今年就任している。一方で「チェンソーマン」「呪術廻戦」のMAPPAの社外取締役には「SPY×FAMILY」のCloverWorks執行役員副社長の福島祐一氏が就任した。様々なかたちのスタジオの協力、合従連衡は今後も活発化しそうだ。
数土直志の「月刊アニメビジネス」
[筆者紹介]
数土 直志(スド タダシ) ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。国内外のアニメーションに関する取材・報道・執筆、またアニメーションビジネスの調査・研究をする。2004年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立、16年7月に独立。代表的な仕事は「デジタルコンテンツ白書」アニメーションパート、「アニメ産業レポート」の執筆など。主著に「誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命」(星海社新書)。
作品情報

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鬼となった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため鬼狩りの組織《鬼殺隊》に入った竈門炭治郎。入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。そして炭治郎は《鬼殺...
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