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インタビュー 2015年9月11日(金)20:00

「攻殻機動隊」25周年リレーインタビュー 映画監督 押井守 後編 「攻殻」はI.Gでしか作れないと思う (2)

「イノセンス」場面カット

イノセンス」場面カット

(C)2004 士郎正宗/講談社・IG, ITNDDTD.

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その後、「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」のストーリーコンセプト、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0」などに関わりつつも、監督としては「攻殻」シリーズからは離れていた押井監督が、2015年6月19日に行われたオールナイトイベントにて「攻殻機動隊 新劇場版」を好意的に評したことが石川社長のインタビューで話題にあがった。具体的に、どんなところが良かったと感じられたのだろうか。

「本音として、よくできてるじゃんって思いましたよ。特に、あの素子のキャラクターには感心した。自分にはちょっとできないと思ったし、黄瀬(和哉)でなければできなかったと思う。映画自体も、僕のコピーでも神山(健治)のコピーでもなく、黄瀬の映画になってますよ。あいつは基本、女にしか興味のない男だから」

「攻殻機動隊ARISE」で黄瀬氏を総監督に抜てきしたのは「石川の慧眼(けいがん)だった」とも押井監督は語る。

「演出家ではなく、まさかアニメーターの黄瀬を選ぶとはって、みんな驚きだったはず。僕も最初に聞いたとき、『何、無茶やってんだ』と思ったから。ただ、石川が面白いのは、ここ一番で必ず大バクチをうって、大抵それは成功することなんです。『攻殻』をもう一度やるということは、リアルアニメーションの看板で売ってきたI.Gが生き残るかどうかの勝負じゃないですか。特に海外では『攻殻』を作れないI.Gを認めないだろうし、失敗は許されない」

そんな重圧のなか総監督となった黄瀬氏には、緊張した気配がまったく感じられなかったという。

「攻殻機動隊ARISE」場面カット

「攻殻機動隊ARISE」場面カット

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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「普通の監督だったら、やっぱり手が縮んじゃうと思う。僕が2本作って、神山があれだけやったあとだからね。必ず比較されるし、良くできて当たり前、ちょっとでもへこんでいたら、もう袋だたきにされるに決まっているんだから。でも、黄瀬って、そういうことを一切考えない。自分のやりたいことが明快で、やりたいことしかやらないし、興味がないところは全部人に任せてしまう。だから黄瀬を総監督にしたのは、ある意味で正しい人選だった」

最後に、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の公開から20年が経った今、「攻殻」シリーズの変わったところと変わらないところを聞いた。

「今後、『攻殻』が変わるとしたら、素子抜きでやる気があるかどうかですよね。素子がいなくても『攻殻』という世界ははたして成立するのか。これはまだ誰も試していない。『イノセンス』では、半分試しかけたんだけどね。デザインとしては、まったく素子は登場していないから。『攻殻』をひとつの世界観として成立させるには、実は素子離れする必要があると思う。黄瀬の『攻殻』では、素子を女の子にしたことで、素子のいない『攻殻』の可能性を違ったかたちで証明したんじゃないですかね。自分だったら逆におばさんにするけれど」

押井監督は、『攻殻』はI.Gでしか作れないとも語る。

「これだけボーダレスになっても、スタジオの伝統や個性みたいなものは、やっぱり残っているんですよ。士郎さんの漫画から生まれたアニメーションの『攻殻』は、どこかしらI.Gの看板であるし、石川やI.Gの手を離れると、たぶん『攻殻』ではなくなる。『ガンダム』はサンライズ以外で作れないし、作ってもしょうがないのと同じですよね。『攻殻』はI.Gで作るべきだし、I.Gでしか作れないと思います。たぶん石川は何年か経ったら、また『攻殻』をやるでしょう。その時に誰を選ぶのかが、あいつの目下のテーマだと思いますよ」

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イノセンス

イノセンス 3

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