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インタビュー 2016年7月14日(木)20:00

第1回 宇野朴人(原作)インタビュー 「戦記物とキャラクター物の魅力が両立した作品になっています」 (2)

(C) 2016 宇野朴人/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/天鏡のアルデラミン製作委員会

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■「絆MAX」と「気に食わない」関係性

―― イクタとヤトリについては、大分語っていただきましたが、アニメ版の第1話では他に4人のキャラクターが出てきますね。

宇野 イクタ、ヤトリと合わせて6人で「騎士団」と呼ばれることになりますね。彼らはすごく仲良しで、見ているだけで「こんなグループの中に入りたいな」と、みんなに思ってもらえるような関係です。グループの中ではイクタが中心で、彼は仲間のことをよく理解していて、素直じゃない形で導いたりもする。ですから視聴者としては、イクタだけでなく、彼に導かれるキャラクター……トルウェイやマシューに対しても感情移入ができると思います。

―― 彼らもイクタやヤトリと同じく、足りないものがあるんですね。

宇野 はい。特にマシューは感情移入しやすいかと。彼は自分の能力に対して、周りに比べてコンプレックスを抱えているんです。

―― イクタ以上に我々に近いキャラクターなんですね。「騎士団」の中にはお姫様もいるようですが……。

宇野 ええ。シャミーユと言います。マシューやトルウェイはイクタから影響を与える側ですが、シャミーユに関してはイクタに対して影響力を持っている。メンバーの中では、特別なキャラクターなんですよ。

―― お姫様が仲間として行動するというのは、どういう発想からだったのですか?

宇野 自分は今までのデビュー作から3作、お姫様が出ていない作品がないくらいで。色々な形が有り得ますが、ヒロインに置くポジションとして、姫様という配役は限りなく魅力的だと思っています。

―― ああ。「アルデラミン」にはそういう要素もあるんですか。てっきりヤトリがヒロインなのだと……。

宇野 でも「アルデラミン」はそこまで素直に行かないというか(笑)。イクタは生い立ちが原因で皇族が嫌いなんですよ。だから「絆MAX」で始まるヤトリとは違って、ラブコメ的にいうと、「お互いに気に食わない」から始まっているんですよね。いわゆるヒロインとしてのドキドキ、もどかしさというのは、ヤトリよりシャミーユですかね。

―― イクタとシャミーユの関係に注目したいですね。

宇野 水瀬(いのり)さんは本当にいい演技をされているので、そこもぜひ楽しみにしていただけると(笑)

(C) 2016 宇野朴人/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/天鏡のアルデラミン製作委員会

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■精霊は家電みたいなもの?

―― アニメの第1話やPVでは、「起きてください、イクタ」なんて言う可愛らしいマスコットキャラが出てくるようですね。あれはどういう存在なんですか?

宇野 あれは「精霊」です。この世界には当たり前に存在しています。

―― ファンタジー的な魔法が使えたりするのでしょうか。

宇野 ううん……。いわゆる魔法的な存在とはちょっと違うんですよね。やれることが限定的なんです。言ってみれば、ライターと懐中電灯と、浄水器と扇風機みたいなものなんです(笑)

―― 火をおこしたり光を発したりはできるけど、なんでもできるわけではない?

宇野 ええ。「日常生活だとこれがないと困る」という位、人々の間に浸透していて、それが戦争にも利用されているんです。作中には、風銃といった、少し我々が住む世界とは違う武器がありますが、これらは精霊の力を利用したものなんです。武器の違いでも、世界観の独自性を出したかったんです。

―― あんなに可愛らしい精霊が、武器に利用されているんですか。

(C) 2016 宇野朴人/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/天鏡のアルデラミン製作委員会

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宇野 そうなんです。それが当たり前なんですね。精霊ありきで成り立っている文化というのは、それ自体が独自性になるなと思ったんです。そういった武器のデザインや細かい部分も、アニメはすごく掘り下げて作って下さっているので楽しみにしていてもらえればと思います。

―― なるほど。世界観の独自性というところでいうと、他にもアルデラ教など、文化的なディテールが細かく設定されているように思えます。

宇野 世界観全体は、中世ヨーロッパテイストではなくて、インド王朝……風味のものにしています(笑)。テンプレ的な世界観にはしたくなかったんですよ。主食は薄焼きパンであったり、香辛料の効いたカレー的な煮込み料理を食べていたりする。舞台になるカドヴァーナ帝国は常夏ですので、そのあたりは表現したいところではありました。

―― カトヴァーナ帝国と、キオカ共和国という国が主な舞台になるそうですね。

宇野 はい。カトヴァーナは帝政の、キオカ共和国は民主共和制の国です。キオカは多民族国家で、色々な文化が共存している。とはいえ、それ自体にも結構問題もはらんでいるのですが……。文化の成り立ちの違いからくる、それぞれの国家の印象の違いは、しっかり描きたかったところではありますね。

―― アニメでは、そのあたりの雰囲気も出ているのですか?

宇野 非常に良く出ていると思っています。美術に関しては、僕は専門ではないのですが、インドっぽい建築様式をしっかり描き込んでくれていますね。

作品情報

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 21

精霊が実体として存在し人間のパートナーとして共に生きる世界。「カトヴァーナ帝国」の少年イクタ・ソロークは、昼寝と徒食と女漁りに精を出し、日々を怠けながら過ごしていた。イクタは、軍部の名門イグセム...

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