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インタビュー 2018年4月4日(水)20:30

「メガロボクス」主演・細谷佳正が明かす“偽物が本物になる物語”の舞台裏

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4月5日からTBSほかで放送を開始するテレビアニメ「メガロボクス」。肉体と最先端のギア・テクノロジーが融合した新時代の格闘技“メガロボクス”の死闘を描く同作は、高森朝雄氏とちばてつや氏による名作ボクシング漫画「あしたのジョー」を原案としたオリジナル新作だ。地下の賭け試合の淀みから抜け出し、輝かしい一大トーナメント“メガロニア”に挑んでいくハングリーな主人公“ジャンクドッグ”を演じる細谷佳正に、収録の舞台裏を聞いた。

――主人公“ジャンクドッグ”役に決まったさいの心境はいかがでしたか。

細谷:うれしかったですね。オーディションを受けたのが2017年の休業直前で、結果が出たのが休業期間中だったので、復帰に向けての大きな励みになりました。休業中にニューヨークに行っていたのですが、帰りの機内で見た映画が「クリード チャンプを継ぐ男」(※「ロッキー」シリーズのスピンオフ作品)だったんですよ。こうして“カムバック”できることが、まるで「ロッキー」のようで、不思議なめぐり合わせを感じました。

――細谷さんは、今作の原案である「あしたのジョー」について思い入れはありますか。

細谷:全話を通して見たことはないのですが、子どもの頃から何度か拝見しています。物心ついてからも、僕が声優の研究生だったころ、実家に帰省したさいに再放送を見ていました。特に記憶に残っている回は、ボクシングのシーンではなく、ジョー(矢吹丈)が紀ちゃん(林紀子)と2人で話すシーンがメインだったのですが、「なんてカッコイイんだろう!」と思いました。当時アニメの主人公といえば、明るく元気だったり、熱血漢だったりすることが多かったのですが、そうではない主人公像に衝撃を受けたんです。お芝居の先生から、「セリフは人に伝えるためにある。それを念頭においた芝居をしなさい」と言われていたときに見たので、ジョー役を演じるあおい輝彦さんの「聞いていなくても構わないけれど、俺はこう思っているんだ」という、まるでひとりごちるような語りに痺れました。「いつかこんな役に巡り会えたらいいな」と強く思ったのを覚えています。
 また、専門学校で卒業公演として演じた「僕の東京日記」に、「我々は『あしたのジョー』である」というセリフがあったことも印象的です。それが「何度打ちのめされても、自分たちの思想を守るために立ち上がる」ことを現した、学生運動当時の気風を象徴するようなセリフだということを知り、なるほどなと思いました。

――ジャンクドッグとは、どのようなキャラクターなのでしょうか。

細谷:ジャンクドッグは、自分の可能性を信じ、それを試したいと思いながらも、それが実現できる状況になく、その状況を変えようともしない自分に対して「どうせ俺なんて偽物なんだろ」と鬱屈(うっくつ)を抱いている男です。僕としても、その気持ちはよくわかる部分があって、とても魅力的なキャラクターだと思います。演じるにあたっては、序盤は特に、あえて嫌なヤツに聞こえるように心がけています。第1話の、雨の中でジャンクドッグが勇利と向かい合うシーンの「誰だっていいんだよ。あんたでもな」というセリフでは、「なんて嫌な奴なんだ」と思われるような皮肉めいた態度を意識しました。今作には「これは偽物だった男が本物と出会い、本物になっていく話だ」とのコンセプトワードがあるのですが、まだジャンクドッグは偽物なんです。彼は本物に憧れていますが、だからこそ批判してしまう……相手のすごさを認めるがゆえに、意地を張ってしまうことは現実でもままありますよね。

(C) 高森朝雄・ちばてつや/講談社/メガロボクスプロジェクト

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――そんなジャンクドッグを演じていて、難しいところはありますか。

細谷:「メガロボクス」は脚本も本当に素晴らしいんです。たとえば「ありがとう」という何気ない一言でも、普通ならば感謝の気持ちを表す言葉ですが、今作の場合、そこに「殺してやる」くらいの真逆の感情が込められていたりするんです。想像すればするほど、たくさんのニュアンスが思い浮かんでくるので、ジャンクドッグがどんな気持ちなのか、どう演じたらいいのか、迷ってしまいます。それだけ、しっかりと“人間”を描いているんだと思いますし、あえてひとつの感情に確定してしまうのは野暮だなと思わせてくれる脚本です。ゲストキャラクターを演じるみなさんも、それを感じながらお芝居されていたと思います。

――お芝居について、スタッフの方々に相談したり、細谷さんの方から提案したりすることはあるのでしょうか。

細谷:森山洋監督や三好慶一郎音響監督から「細谷くんの気になることがあれば、どんどん言ってくれ」と言われています。むしろ監督サイドからの「こうしてほしい」というディレクションが少なく、もしかすると休業をしたことから僕に気をつかって言えなくなっていらっしゃるのかなと思ったくらいで、僕のほうが「本当にこれでいいのかな」と不安になることもありました(笑)。第9話までアフレコが進んだ段階で、第1話の関係者試写を見て、ようやく「これはいける!」という確信がもてたんです。

作品情報

メガロボクス

メガロボクス 22

薄暗い地下のリング。JD(ジャンク・ドッグ)と呼ばれる男が今日も八百長試合に身を沈めていた。生きるために。だが――。彼は出会ってしまう。自分のすべてを賭けて挑みたい、「運命」に。

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