2018年10月4日(木)18:30
「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」小野大輔と鈴村健一が長い“航海”を振り返る SFアニメの金字塔を次の世代へ
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1978年に公開された「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」をベースに、新たなヤマトの旅路を描く「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」(以下「2202」)。11月2日には全7章で劇場上映中の第6章「回生篇」が上映開始、さらに10月5日深夜からテレビ放送もスタートする。前作「宇宙戦艦ヤマト2199」(以下「2199」)から引き続き、主人公の古代進を演じる小野大輔(写真右)と、ヤマトの航海長として古代を支える島大介役の鈴村健一に、テレビ放送開始を間近にした現在の心境と、同作の楽しみ方を聞いた。
――いよいよテレビ放送がスタートします。現在の心境はいかがですか。
小野:「2199」から、ずっと長い旅を続けている感覚です。果てしなく続くヤマトの旅路に、ようやく終着点が見えてきました。そんなタイミングでテレビ放送が決定したのは、本当に意義深いことだと思っています。いわゆる“ヤマト世代”のみなさまは、1970年代当時の興奮をよみがえらせるべく、熱狂しながら見てくださっています。テレビ放送では、その熱狂を、まだ「ヤマト」を知らない次の世代へと伝えていくことができるのではないかと思っています。クライマックスへの盛り上がりと、新たな視聴者のみなさまへのアプローチ、その両方を同時に体験できることが、「ヤマト」に関わる、いちクルーとしてとてもうれしいです。
鈴村:「2199」のときも、まず劇場で上映して、その後にテレビ放送をするという流れだったので、今回も「ついに来たか!」という感じです。テレビ放送の開始と、クライマックスに突入する劇場上映との相乗効果で、大きなムーブメントが巻き起こるのを楽しみにしています。
小野:「2202」は、2クールを1年半~2年ほどかけて収録してきました。テレビシリーズの場合、こんなに長期にわたって収録する作品はほとんどないので、テレビで毎週見たらどんな気分になるのか、「2199」を経た今回でも、なかなか想像できませんね。
鈴村:僕たちキャストは、劇場上映される作品として収録に臨んできたし、スタッフも同じ気持ちだったと思います。すでに劇場でご覧になった方はご承知のとおり、絵も音も劇場のクオリティなんです。それが毎週テレビで見られるというだけでも、すごいことだと思います。
かつての「ヤマト」は、劇場からムーブメントが起きた“アニメ映画”の金字塔ですが、「テレビシリーズから劇場へ」という流れでした。「2199」と「2202」は、それとは逆のプロセスをたどってきているのが、とても斬新でおもしろいなと。「ヤマト」って、いつの時代もパイオニアなんだなと思いますね。
(C) 西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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――長い期間をかけて「2202」を収録されてきたのですね。その間、役を演じるにあたって、アプローチの仕方に変化はありましたか。
小野:とくに変わっていませんね。僕は「2199」から一貫して、先の展開をあえて知らずに、古代を演じてきました。未来を見据えて感情を用意しておくのではなく、いつも“その時々のベストを尽くす”ことだけを目指してきたんです。「ヤマト」は偉大な作品なので、先のことを知りたい欲求に駆られることもありますが、重大な決断を迫られて迷う古代の胸中と、自分をリンクさせたいと思って演じてきました。それが、僕が古代を演じる上での心構えです。
鈴村:物語の軸として、ブレてはいけない古代。そんな彼を支える島は、古代以上に、より明確な意思を持っています。そんな島も「2202」では、一歩引いた立ち位置になりました。「2199」では、古代を“支えている”感じが強かったのですが、「2202」では、古代が大きく成長したことを受けて、彼がひとりで立つことを尊重してあげられるようになったのだと思います。そのあたりの胸中は、セリフがない絵だけのお芝居で描かれることも多いので、「これぞアニメーション!」と思う反面、「もっと演じたいな」という一抹の寂しさもありますね(笑)。
小野:羽原信義監督の演出手法だと思いますが、「2199」に比べて、視線や挙動だけで、島が古代を支えてくれていることがわかるような、自然な描写が多いんです。そういえば、吉田知弘音響監督も、息づかいだけを入れるアドリブをあまり録りません。最初は驚いたのですが、実際に完成した映像を見ると、そこに音が必要ない意味がわかりました。
鈴村:旧作「ヤマト」は、アニメーションが子ども向けだった時代に、大人の心理描写を描くSFに昇華させた作品でしたから、羽原監督も大きな影響を受けて、ていねいな描写に努めていらっしゃるのだと思います。
小野:結果として、島のセリフは少なくなってしまいましたけれど(笑)。
鈴村:とはいえ、島は毎週欠かさず登場するはずなので、注目していてください。絵のお芝居を積み重ねたうえで出てくるセリフは、だからこそ、とても重たいものだと思っています。島といえば「ワープ!」ですが、心に余裕にあるときの「ワープ!」と、大ピンチの「ワープ!」、古代の決断を受けての「ワープ!」……たくさんの「ワープ!」があるんです。セリフが少ないぶん、僕は(キーマン役の)神谷浩史くんから「ワープマン」って茶化されてしまうくらい、「ワープ!」が主なセリフなんですが、絵のお芝居のおかげで、毎回ちゃんと島の存在感があるんですよ。
小野:ぜひとも、毎週島を探してみてください。
鈴村:島を「ウォーリーをさがせ!」みたいにするのやめてくれる?(笑)
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――(笑)。ところで、収録現場の雰囲気はいかがですか。
小野:鈴村さんがいてくれて、本当にありがたいです。ベテランが勢ぞろいしている現場なので、僕ひとりでは緊張してしまって……。
鈴村:「2199」に比べても、ベテランに囲まれることが多くなったよね。
小野:「2199」は、若手がクルーを演じるヤマト艦内でお話が進むことが多かったのですが、「2202」では、地球からヤマトを追いかけてくる軍人役の方々が、みなさん重鎮なので……。
鈴村:それは、青春群像劇の側面があった「2199」と、政治劇の要素を持った「2202」の違いでもあるね。
小野:そんななかで、歳の近い鈴村さんや神谷さんがいてくれるのは本当に助かります。こんなに多くのベテランの方々と、ガッツリお仕事させていただく機会ってあまり多くはないので。同じヤマトクルーの(真田志郎役の)大塚芳忠さんと話すときですら、最初は緊張していましたね。でも、鈴村さんや神谷さんとワイワイやっていると、芳忠さんも麦さん(徳川彦左衛門役の麦人)も気さくな方なので、話に入ってきてくださるんですよ。現場の雰囲気を盛り上げてくれるという意味でも、鈴村さんには感謝しています。
鈴村:今の発言はぜひ、太字で書いておいてください(笑)。
小野:島がいてくれなかったら、古代は今ごろ艦長代理ではなかったでしょう。僕も同じなんです。ですから、セリフに出ないところからも、古代と島の信頼関係を感じとっていただけるとうれしいですね。
――先ほどお名前が出てきた神谷さんは「2202」からの出演ですね。
鈴村:浩史が入ってきたことで「2202」は、「2199」とはぜんぜん違う印象の現場になりました。でも、いったいどうしてなんだろう?
小野:神谷さんは、羽原監督や脚本の福井晴敏さんのところに、ディスカッションしにいくんです。キーマンというキャラクターが謎に満ちた存在なので、どういう思惑があるのか、どんな意味を込めたセリフなのか、といったことを積極的に聞き出そうとする。あえて先のことを知らないようにしている僕とは真逆のアプローチで、「これから先に起きることを全部知りたい」とおっしゃっていました。
鈴村:なるほど、そこだね。僕たちは脚本から読み解ける範囲で役作りをするけれど、、浩史が演じるキーマンは、監督たちから聞き出さないと謎だらけだから。そうそう、3人のディスカッションが終わったところに、僕が合流して4人でごはんを食べに行くのも、恒例になっています。D(※小野さんの愛称)は主役なので、本編アフレコ後も、CMの収録やインタビューなどの仕事が多く、なかなか一緒に行けないんですよね。
小野:毎回うらやましいんです。僕も連れて行ってほしい!!
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時に西暦2202年。あの壮大な片道16万8000光年にも及ぶイスカンダルへの大航海から宇宙戦艦ヤマトが帰還して、既に3年――。〈コスモリバース・システム〉により、かつての青い姿を取り戻した地球は...
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